因子の求め方     Last modified: May 16, 2002

  1. $p$ 種類の知能テストが測定する $m$ 種類の能力を $F_{1}, F_{2}, \dots , F_{m}$,知能テストの得点を $X_{1}, X_{2}, \dots , X_{p}$ としたとき,これらの得点は以下のように表せるであろう。 \[ \left \{ \begin{eqnarray} X_1 &=& a_{11}F_1 &+& a_{12}F_2 &+& \cdots &+& a_{1m}F_m &+& E_1 \\ \ \ \ \ \vdots \\ X_i &=& a_{i1}F_1 &+& a_{i2}F_2 &+& \cdots &+& a_{im}F_m &+& E_i \\ \ \ \ \ \vdots \\ X_p &=& a_{p1}F_1 &+& a_{p2}F_2 &+& \cdots &+& a_{pm}F_m &+& E_p \end{eqnarray} \right . \]
  2. $F_{1}, F_{2}, \dots , F_{m}$ は各知能テストが共通して把握できるある特性であり,共通因子と呼ばれるものである。

  3. 各特性が得点にどの程度反映されるかを表すのが $a_{ij}\ ( i = 1, 2, \dots , p;\ j = 1, 2, \dots , m)$ であり,共通因子と各知能テストの得点の間の相関係数に相当し因子負荷量と呼ばれる。

  4. $E_{1}, E_{2}, \dots , E_{p}$ は独自因子(特殊因子)と呼ばれ,各知能テストだけで把握される特性である。

  5. 因子分析の結果を表 2 のように表す。

    表 2.因子分析結果の表

    第1因子 第2因子  $\dots$  第$m$因子 共通性
    $X_{1}$ $a_{11}$ $a_{12}$ $\dots$ $a_{1m}$ $\displaystyle \sum_{k=1}^m a_{1k}^{2}$
    $X_{2}$ $a_{21}$ $a_{22}$ $\dots$ $a_{2m}$ $\displaystyle \sum_{k=1}^m a_{2k}^{2}$
    $\vdots$ $\vdots$ $\vdots$ $\dots$ $\vdots$ $\vdots$
    $X_{p}$ $a_{p1}$ $a_{p2}$ $\dots$ $a_{pm}$ $\displaystyle \sum_{k=1}^m a_{pk}^{2}$
    因子負荷量2乗和 $\displaystyle \sum_{j=1}^p a_{j1}^{2}$ $\displaystyle \sum_{j=1}^p a_{j2}^{2}$ $\dots$ $\displaystyle \sum_{j=1}^p a_{jm}^{2}$
    寄与率 $\displaystyle \frac{\displaystyle \sum_{j=1}^p a_{j1}^{2}}{p}$ $\displaystyle \frac{\displaystyle \sum_{j=1}^p a_{j2}^{2}}{p}$ $$\dots$$ $\displaystyle \frac{\displaystyle \sum_{j=1}^p a_{jm}^{2}}{p}$

  6. 共通性の欄は,各変数が $m$ 個の共通因子でどれくらい説明されるかを表す( $0 \leqq$ 共通性 $\leqq 1$ )。

  7. 共通性の推定は,重相関係数の 2 乗値( SMC )などを初期値として主因子解を求め,得られた因子負荷量から改善された共通性の推定値を求めるという手順を,収束するまで繰返す。

    主因子解の求め方は,主成分分析場合と似ている。異なる点は,相関係数行列の対角成分を共通性で置き換えたものを対象にすることと,結果として得られた共通性が一定になるまで反復推定する点である。

  8. 各因子がもとの情報をどれくらい説明しているかを表す因子の寄与率は,各因子の因子負荷量の 2 乗和を変数の数で割ったものである。例えば,第 $1$ 因子の寄与率は$\displaystyle \frac{\displaystyle \sum_{j=1}^p a_{j1}^2}{p}$である。


演習問題


応用問題


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