問:永田靖 著「統計的方法のしくみ(正しく理解するための30の急所)」(日科技連)の中で,r 分布という単語が 132 ページ「無相関の検定」のとこで出てきました。r 分布とはなにものでしょうか。
 ピアソンの積率相関係数の有意性検定を行う式を r について解いたものです。

		r = t/sqrt(n-2+t*t)
 この式で分かっているのは,n と t です。

 t の値は検定結果が有意になるときの t 分布のパーセント点です。

 例えば,n = 32 のときは Pr{ | t | > 2.04227} = 0.05(両側)なので,r = 0.34937 となります。

 検算として無相関検定の公式を使って,

		t = 0.34937*sqrt(32-2)/sqrt(1-0.34937^2) = 2.04227
となります。

 標本サイズ n と P 値を変えて,前もって以下のように表を求めておけば,いちいち t 検定統計量を計算しなくても,示された値より大きい相関係数は有意だとすぐ分かることになり,大変便利(?)です。

 (?)つきなのは,最近の流れとしては,有意か有意じゃないのかだけではなく,P 値を示すことや,信頼限界を示すことが重視されているからです。

標本サイズ 臨界値(10%)  臨界値(5%)  臨界値(1%)
     20      0.37834      0.44376      0.56144
     21      0.36874      0.43286      0.54871
     22      0.35983      0.42271      0.53680
     23      0.35153      0.41325      0.52562
     24      0.34378      0.40439      0.51510
     25      0.33652      0.39607      0.50518
     26      0.32970      0.38824      0.49581
     27      0.32328      0.38086      0.48693
     28      0.31722      0.37389      0.47851
     29      0.31149      0.36728      0.47051
     30      0.30606      0.36101      0.46289
     31      0.30090      0.35505      0.45563
     32      0.29599      0.34937      0.44870
     33      0.29132      0.34396      0.44207
     34      0.28686      0.33879      0.43573
     35      0.28259      0.33384      0.42965
 このような表を計算する JavaScript を作りました。
Last modified: May 15, 2002

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