No.23043 検定と推定について  【ビギナー】 2021/03/02(Tue) 11:38

検定は差があるかないか,推定はどれくらい差があるかを知ることができますので,検定より推定の方が優れていると思います。
なぜ,群間比較はt検定や順位和検定で行い,信頼区間で行わないのでしょうか?

t検定や順位和検定の方が信頼区間法より優れているのでしょうか?

統計初心者のため,わかりません。
ご教授いただきたくお願い致します。

No.23045 Re: 検定と推定について  【aoki】 2021/03/03(Wed) 10:10

記事中の「信頼区間」は何を指していますか?例えば独立2標本の平均値の差の検定(t検定)における各群の平均値の信頼区間ですか?それとも平均値の差の信頼区間ですか?後者であれば,検定結果の p 値とほとんど同じです。

前 者であれば,添付する図をみてください。この図は独立2標本の平均値の差の検定を10回行った結果を示しています。母平均値が50と55,母標準偏差はと もに10の正規分布から各群のサンプルサイズ10のデータを抽出したものです。抽出後に片方の平均値が50になるように,もう一方の平均値が50以下にな るように調整してあります。黒丸・赤丸は平均値,両側の鬚は 95% 信頼区間を示しています。
さて,1〜10の検定で,どれがいわゆる「有意」であるかわかりますか?その理由が説明できますか?(この質問をするのはちょっと不適切なんですけど。不適切であるなら,その理由を書いてください。)


No.23046 Re: 検定と推定について  【ビギナー】 2021/03/03(Wed) 12:53

青木先生

ご回答いただきありがとうございました。
記事中の信頼区間は独立2標本の平均値の差の検定(t検定)における各群の平均値の信頼区間を指しております。

1〜10の検定で有意があるものはないと思います。両群間に有意差が認められる場合,両信頼区間は重ならないと思いますが,例題の場合,黒丸と髭の区間と赤丸と髭の区間が重なっている部分があるからです。

No.23047 Re: 検定と推定について  【aoki】 2021/03/03(Wed) 16:45

解答です
   mean.x    lcl.x    ucl.x mean.y    lcl.y    ucl.y     p.value        lcl      ucl
1 50 43.36605 56.63395 38.4 30.82787 45.97213 0.018018299 2.2388342 20.96117
2 50 44.34511 55.65489 38.7 32.82952 44.57048 0.005717402 3.7291162 18.87088
3 50 43.69295 56.30705 42.4 34.42556 50.37444 0.108992210 -1.8785161 17.07852
4 50 42.07707 57.92293 43.0 33.98284 52.01716 0.203902693 -4.1611125 18.16111
5 50 45.59734 54.40266 43.7 39.41847 47.98153 0.032260477 0.5961526 12.00385
6 50 41.25299 58.74701 43.9 37.79776 50.00224 0.213992524 -3.8903974 16.09040
7 50 38.51932 61.48068 44.8 40.30785 49.29215 0.359308760 -6.7087364 17.10874
8 50 41.42732 58.57268 47.0 39.77328 54.22672 0.552769866 -7.4345706 13.43457
9 50 40.86102 59.13898 47.7 42.08953 53.31047 0.634584602 -7.8076382 12.40764
10 50 43.93749 56.06251 48.5 40.56667 56.43333 0.738173514 -7.8189914 10.81899
有意な差があるのは,1,2,5 です。p.value の列を見てください。
よく,「95%信頼区間が重なれば有意差はない(重ならなければ有意差がある)」といわれたりしますが,それが正しくないのはシミュレーションすればすぐにわかります。

「こ の質問をするのはちょっと不適切なんですけど」と述べたのは,じつはこの図は何の説明力もないからなんです。信頼区間は信頼区間でも,「2群の平均値の差 の信頼区間」が必要なのです。「2群の平均値の差の95%信頼区間が0を含まなければ,有意水準5%で平均値に差がある」からです。これと,「p値が5% より小さければ,有意水準5%で平均値に差がある」ということは同じです。ただし,p値に基づく判断は all or none であるのに対し,信頼区間に基づく判断は all or none とともに,「差はどれくらいの範囲にあるか」という情報を使えます。
上の表の lcl, ucl が差の信頼区間です。 「p < 0.05」と「信頼区間に 0 が含まれない」が対応しているのがわかります。

「なぜ,群間比較はt検定や順位和検定で行い,信頼区間で行わないのでしょうか?」の問いに対する答えは,「平均値の差は各群の信頼区間からは評価できない」からです。「平均値の差の信頼区間なら評価可能です。差が有意かどうかは p 値からも評価可能です。」

No.23048 Re: 検定と推定について  【ビギナー】 2021/03/04(Thu) 14:37

青木先生

ご多忙中のところ,詳細にご説明いただきありがとうございました。
大変よく理解できました。
こちらの掲示板に記載する前に,成書やネットで調べてみたのですが,どこにも私の疑問を解決してくれる記載がありませんでした。
95%信頼区間が重なっていても有意な場合があることを知り,驚きとともに不思議な感じがいたしました。
本当にありがとうございました。
感謝!感謝!でございます。

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