No.16960 きわめて少数例で有意を検討できるのか  【酒井 敦】 2012/05/25(Fri) 20:27

統計は初心者なので教えてください。ある論文で以下のような表をみました。標本数が少ないので,Chi-square testではなく,Fisher's exact testを用いたのでしょうか。

私 の疑問は,この論文のデータ解析方法は適切なのか? 治療介入群の有効が3例,非介入群の有効が0例となっておりますが,このようなきわめて少数の症例で 有意あり・なしが検討できるのか,臨床的に意味があるのか,強く疑問に思っております。このような検定で臨床的な意義を論じるのが適切かどうかについてご 指導ください。

Statistical analysis; Differences in frequency between groups were examined by the Chi-square test with Yates correction or Fisher's exact test, wherever appropriate. A p value of <.05 was considered statistically significant.

介入群 非介入群 
有効  3  0    p=0.006
無効  7  41

No.16962 Re: きわめて少数例で有意を検討できるのか  【青木繁伸】 2012/05/25(Fri) 23:14

できます。
解析方法は,Fisher's exact test ですが,妥当です。
> fisher.test(matrix(c(3, 0, 7, 41), 2))

Fisher's Exact Test for Count Data

data: matrix(c(3, 0, 7, 41), 2)
p-value = 0.005762
alternative hypothesis: true odds ratio is not equal to 1
95 percent confidence interval:
1.922215 Inf
sample estimates:
odds ratio
Inf
あ なたの記事中「"標本数"が少ない」は誤った用語法です。「サンプルサイズが小さい」と言うべきです。それはさておき,統計学的検定においては,得られた データに基づいて仮説の採否を決めるわけですから,サンプルサイズがどんなに小さくても,サンプルサイズに応じた結論が出ます。「統計学的に有意である」 という結果が出た場合,用いた検定手法が妥当であれば,どんなにサンプルサイズが小さくても結論は変わりません。

例えば,以下のように, 各群4例ずつで何かの処理の有効・無効を判定したとき,もし2つの処理の結果に差がないとすれば,このような結果,およびそれ以上に極端な結果が得られる 確率は 0.02857(これが P 値)で,有意水準 0.05 で検定すると,帰無仮説を棄却するということになります。

統計学検定というのは,そのように決められた,科学的なプロセスなんです。「サンプルサイズが小さいんじゃないの?」という情緒的な判断の入る余地はありません。
    有効 無効
処理A 4 0
処理B 0 4
> fisher.test(matrix(c(4, 0, 0, 4), 2))

Fisher's Exact Test for Count Data

data: matrix(c(4, 0, 0, 4), 2)
p-value = 0.02857
alternative hypothesis: true odds ratio is not equal to 1
95 percent confidence interval:
1.339059 Inf
sample estimates:
odds ratio
Inf

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