No.15456 Re: 標準偏回帰係数の標準誤差について 【青木繁伸】 2011/10/06(Thu) 22:56
> 重回帰分析の結果において標準偏回帰係数の標準誤差を報告すべきと聞いたのですが
誰か らそんな馬鹿な(?)事を聞いたのでしょうかねぇ。そんなものは必要とも思えませんし,必要だとしても簡単な関係式から導けます。あるいは,標準偏回帰係 数の定義通り,元の変数(従属変数,独立変数とも)標準化して重回帰分析を行ったときに,偏回帰係数の所に表示されるのが標準偏回帰係数,標準誤差の所に 表示されるのが標準偏回帰係数の標準誤差。
偏回帰係数を B,その標準誤差を SE,
標準偏回帰係数を β,その標準誤差を未知数 x とする。
B/SE = β/x なんとならば,偏回帰係数の検定と標準偏回帰係数の検定は同じでなければならないから(そうでないと,パニックが起こります)。
だから,x = β×SE / B
単純至極な関係式です。
ご不審な向きには,以下のテストデータの分析結果をよく吟味すれば宜しいでしょう。
データy x1 x2重回帰分析の結果は
2 3 4
3 5 6
5 4 5
3 3 4
7 1 3偏回帰係数 標準誤差 t 値 P 値 標準化偏回帰係数標準化したデータは
x1 -4.5455 2.2231 -2.04465 0.17756 -3.3710
x2 5.0000 2.8920 1.72891 0.22597 2.8504
定数項 -3.4545 6.0254 -0.57333 0.62430y x1 x2重回帰分析の結果は
-1.0 -0.1348400 -0.3508232
-0.5 1.2135598 1.4032928
0.5 0.5393599 0.5262348
-0.5 -0.1348400 -0.3508232
1.5 -1.4832397 -1.2278812偏回帰係数 標準誤差 t 値 P 値 標準化偏回帰係数標準化偏回帰係数の標準誤差は,-3.3710*2.2231/(-4.5455) = 1.648679 と 2.8504*2.8920/5 = 1.648671 ちゃんと,計算式通りの数値になりましたね。
x1 -3.3710e+00 1.64869 -2.0447e+00 0.17756 -3.3710
x2 2.8504e+00 1.64869 1.7289e+00 0.22597 2.8504
定数項 5.2615e-16 0.32333 1.6272e-15 1.00000
変な要求をする人は何にも知らない困った人でしょうけど,変な要求をされた人も,それが変な要求だと言うことに気づかないといけませんね。
No.15457 Re: 標準偏回帰係数の標準誤差について 【医学系】 2011/10/06(Thu) 23:34
早速のご回答ありがとうございました。なるほど…標準化したデータによる吟味に納得です。医学論文での重回帰分析 にはβとβのSE,決定係数の調整R2乗,P値を報告することと言われ,医学統計の教科書にもそのように書いてあるものがありました。しかしどうしてか は…どうしてなんでしょう。。やはり数式に弱い医学者達による統計分析ですので慣習化している面があるのでしょうか。もっと勉強してそのあたり考えてみた いと思います。ありがとうございました。
No.15458 Re: 標準偏回帰係数の標準誤差について 【青木繁伸】 2011/10/07(Fri) 00:03
> 医学論文での重回帰分析にはβとβのSE,決定係数の調整R2乗,P値を報告することと言われ,医学統計の教科書にもそのように書いてあるものがありました
βとBを取り違えていませんか?βの標準誤差を書くなんて言うのはあり得ない。
実際にそのように書いてある教科書や論文があるのなら,教えてください。
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