No.14821 カイ2乗検定について  【ふじもん】 2011/06/23(Thu) 21:36

カイ2乗検定について,「1からのマーケティング分析」という書籍を読んでいて疑問に思ったのでお尋ねさせてください。

ある授業の受講者の実数値
    男性 女性 合計
1年生 80  70  150
2年生 70  80  150
合計  150  150 300

この値と期待値75とのズレでカイ2乗検定を行い,性別と学年という変数が独立かどうか,と説明しているのですが,これは不適切ではないでしょうか?

母集団から無作為抽出したサンプルの2変数間で期待値とのズレがあった時,そのズレがただの標本誤差なのか,母集団でもズレているのか,を見るのがカイ2乗による独立性の検定で,そのズレが意味のあるものかどうかはその後考えることと理解していました。

この事例では母集団からの抽出ではなく,そもそも受講者の実数値があるのだから,100回人数をカウントしても100回同じ値にしかなりませんし,単純にそのまま期待値75と80,75のズレに意味があるのかどうかを考えればよいのではないでしょうか?

No.14822 Re: カイ2乗検定について  【青木繁伸】 2011/06/23(Thu) 22:27

> この事例では母集団からの抽出ではなく,そもそも受講者の実数値があるのだから,100回人数をカウントしても100回同じ値にしかなりませんし

検 定は,母集団からの標本において計算した検定統計量がある値より大きくなる確率に基づいて,意思決定をするものですから,「 この事例では母集団からの抽出ではなく」というのがそもそもおかしいです。「,100回人数をカウントしても100回同じ値にしかなりませんし」は,その ような母数を持つ母集団から抽出した場合には標本誤差が必ず生じるので,毎回同じ値であることは普通はあり得ません。
「この値と期待値75とのズレでカイ2乗検定を行い,性別と学年という変数が独立かどうか」という説明は,独立性の検定の計算の説明に過ぎず,特におかしいとは思えませんけど?
なお,「1からのマーケティング分析」の詳しい書誌情報,著者,発行所などの情報は併記するべきでしょう。

No.14824 Re: カイ2乗検定について  【ふじもん】 2011/06/23(Thu) 22:44

この書籍で例示しているのは,授業の受講者全体から一部を無作為抽出した標本の数値ではなく,全体で300人の受講者のうち1年生,2年生,男,女,の人数がこうであるという数値です。(1,2年生しかいなく,もちろん男か女しかいません)

なので検定すること自体おかしいのではないでしょうか?
というより検定を行うデータの事例として適切ではないのではないでしょうか。
300人の母集団の性別と学年を全数調査した結果なわけですから。

書籍は
「1からのマーケティング分析」
硯学舎
編著 恩蔵直人・冨田健司
です

No.14826 Re: カイ2乗検定について  【青木繁伸】 2011/06/23(Thu) 23:01

母集団は何かと言うことでしょう。
母集団が「授業の受講者全体」ということなら仰るとおりでしょう。
しかし普通は,そのデータは,もっと大きな母集団,例えば全国の同じような大学生を仮定しているわけでしょう。それが,正当であるかはともかく。逆に言えば,「授業の受講者全体」は母集団と仮定するには余りにも小さく特殊過ぎる。
そういうことを否定すると,標本調査というものは存在しないし,当然ながら,推測統計(検定もそれに含まれる)がなりたちません。
検定を行う人も,自分が得たのは「母集団からの標本」だと思っているわけです(繰り返しますが,それが妥当かどうかは別問題)。

No.14827 Re: カイ2乗検定について  【ふじもん】 2011/06/23(Thu) 23:44

おっしゃるとおりです。

説明が足りませんでしたが,書籍内のその章で母集団,抽出,標本といった 単語は全く出てこず,「ある授業の受講者全体が300人で,その学年,性別の観測度数がこうである」としか提示されていないので,検定を解説する事例とし て余りよろしくないのではないかと思ったのです。

確かに「ある授業の受講者全体300人」が何らかの母集団からの妥当な標本であれば(正直思いつきませんが),その母集団の2変数の独立性を検定する事例になりますが,を推察するのは相当読者の好意と知識に拠るような・・・。

実際私は自分の理解度のほうをまず怪しんで青木先生を頼りにさせて頂いてしまいました。ともあれ「母集団が受講者全体ならばその理解で正しい」と伺えて疑問は解消できましたので,ありがとうございました。

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