No.14795 単変量解析の粗オッズ比について  【カメヒト】 2011/06/22(Wed) 20:04

はじめまして,
SPSSの多変量解析(二項ロジスティック)でオッズ比を求めると調整されたオッズ比が求められますが,単変量解析で調整されない(粗オッズ比)を求める際の求め方に関する質問です。
SPSS で求める際には,χ2乗検定で「相対リスク」をチェックして求めるとよいと教わりましたが,しかし,多変量解析(二項ロジスティック)で投入する独立変数 を一つだけにしたらどうなのでしょうか?二項ロジスティックで独立変数一つでは,なんだかよくないような気がし,間違っていると思いますが,理屈では,二 項ロジスティックで独立変数を一つにすると単変量解析の結果が出るようにも思えますが,χ2乗検定で相対リスクを求めた場合とは結果が異なります。
この違いをどのように考えたらよいのかお教え願います。

No.14796 Re: 単変量解析の粗オッズ比について  【star】 2011/06/22(Wed) 21:18

(1)理屈では,二項ロジスティックで独立変数を一つにすると単変量解析の結果が出るようにも思えます

その通りです。

(2)オッズ比と相対危険度は,定義が違います。異なって当然です。

       肺癌  無し 合計
-------------------------
   喫煙 a b a+b
   無し c d c+d
-------------------------

相対危険度= (a / (a+b)) / (c / (c+d))
   オッズ比 = (a*d)/(b*c)

ただし,aやcが,bやdに較べて非常に小さい場合(稀な疾患の場合)相対危険度とオッズ比は,殆ど等しくなります。

No.14811 Re: 単変量解析の粗オッズ比について  【カメヒト】 2011/06/23(Thu) 15:48

早速のご回答ありがとうございます。

オッズ比と相対危険度の違いの説明,ありがとうございます。

SPSSでχ二乗の「相対リスク」をチェックすると,結果に「○○のオッズ比,コーホート,○=○に対して」というように表示されるので,混乱してしまいました。

それでは,「調整されないオッズ比」と「調整されたオッズ比」の両方を提示する際には二項ロジスティック解析で独立変数を一つずつ投入して結果を出した値と,独立変数を一度にすべて投入した値との両方を提示するということでよろしいのでしょうか?

何度も済みませんが,よろしくお教え願います。

No.14818 Re: 単変量解析の粗オッズ比について  【star】 2011/06/23(Thu) 18:59

(1)蛇足ながら,相対危険度が求められるのは,コホート(前向き)研究だけです。患者・対照研究や横断研究で は,オッズ比しか求められません。SPSSに限らず,統計ソフトには,2*2分割表の結果がコホート研究で得られたのか,それ以外の研究デザインで得られ たのか,識別はできませんので,その様な形式で出力されるのだと思います。

(2)基本的には,それで結構と思いますが,単変量解析の結果を提示する理由は何でしょう?
   RCTの場合,単変量解析の結果を提示するのは,無作為割り付けがうまくいっている事を示す意味合いがあると思います。RCT以外の場合は,それぞれ理由があるのだと思いますが。

No.14820 Re: 単変量解析の粗オッズ比について  【カメヒト】 2011/06/23(Thu) 20:45

“star”先生,ご回答ありがとうございます。恥ずかしながらコホート研究か否かということは考えずに質問しておりました。

例えば,
『ロ ジスティック分析は,まず,目的変数と説明変数の2 変量の関連性を分析する(単変量分析)。各下位尺度および属性単独のリスクの大きさを,オッズ比を求めて定量的に確認する。しかし,2 変量で有意なリスク因子と確認されても,本当にその因子がリスクになっているとは限らない。他の因子を介して影響を及ぼしている可能性や互いに影響しあっ ている可能性もある。よって,リスク因子を評価するために通常,2 変量間のオッズ比(調整しないオッズ比,あるいは粗オッズ比)を求めた上で,多変量分析をすることによって,調整したオッズ比を計算する。』
といった内容を(いろいろ調べて)知ったので,考えてみた次第です。

“star” 先生の「RCTの場合,単変量解析の結果を提示するのは,無作為割り付けがうまくいっている事を示す意味合い」という説明を拝見して新たに教えていただき たくなってしまいました。なぜ,「単変量解析の結果を提示」することによって,「無作為割り付けがうまくいっている事」が示せるのか,もう少し教えていた だけないでしょうか?統計初心者ですみません。

No.14825 Re: 単変量解析の粗オッズ比について  【star】 2011/06/23(Thu) 22:56

「他の因子を介して影響を及ぼしている可能性」を疫学では,これを交絡(因子)と云います。交絡因子の影響を取り除く方法は,幾つかありますが,その内の2つを上げます。

(1)データ収集後:統計学的調整(多変量解析)
(2)データ収取前:無作為割り付け(RCT)

「曝露と関連し,かつ,疾病とも関連している因子」の事を交絡因子と云います。

曝露 -----> 疾病

  交絡因子

曝露と交絡因子は,「関連」よりも「不均衡」が判り易いと思います。つまり,データ収集後,曝露と交絡因子の不均衡の影響を調整するのが,統計学的調整で,そもそも,交絡してない,不均衡の無い,データを収集するのがRCTです。

RCT では,サイコロを振って無作為に,2つの群を選びます。サンプル・サイズが十分に大きければ,2つの群は,男女別,年齢分布,血圧分布等極めて似通った群 となる事が期待されます。また,それは,単変量解析を行えば,殆どの変数で,統計学的には兎も角,実質的には有意でなくなる事で判ります。

RCTでは,一方に実薬を他方に偽薬を与えます。2つの群は,あらゆる変数(例えば,AKB48のファンであるか否か,までも含めて)で不均衡は(願わくば)ありませんので,実薬/偽薬 ---> 疾病(治癒)の関係を歪める事はできません。

RCTでは,単変量解析で,無作為化がうまく行っていることを示せれば,極端に言えば,多変量解析は必要ない(多変量解析を行っても単変量解析の結果と同じ)と云う事になります。

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