No.14712 Re: 有意差に関する表現 【青木繁伸】 2011/05/29(Sun) 21:03
> 単に数値として「低い」場合と,有意差が認められた場合の「有意に低い」を一緒に書くのは間違いでしょうか。
厳密に言えば,「有意に低い」と言うためには,片側検定を行う必要があるだろうとは思います。両側検定ならば,「差が認められた」としか言えません。
片側検定を行ったのならば,「(有意ではないが)低い」,「有意に低い」が併存していても何ら問題はないでしょう。
両側検定を行ったのならば,「(有意ではないが)差がある」,「有意な差がある」ということになるでしょう。
No.14713 Re: 有意差に関する表現 【渡邊まゆみ】 2011/05/30(Mon) 01:36
さっそくのお返事をありがとうございます。
両側検定をしたので「有意な差がある」と書くようにします。
実は,文系の雑誌の査読者から統計処理について,次のように言われました。
「平均が低い」と言えるかどうかをチェックするのが統計的検定ですから,統計的検定をした結果有意差が認められないものについて「平均が低い」というのは論理的矛盾です。「高年層は中年層,若年層より平均が低い」の部分は科学的記述としては意味がなく,無駄な文です。
高 年層とそれ以外の世代との差は27ポイント以上で,言語使用の頻度としては決して小さい差ではありません。統計的に意味がなくても,事実として重要なので 述べておきたいと思っていたのですが,先生の「(有意ではないが)差がある」「有意な差がある」からすると,「高年層の場合は中年層,若年層により使用頻 度が低い。多重比較の結果では,このうち高年層と若年層に有意差が認められた」などのような書き方は,いけないことになるのでしょうか。
やはり,統計的な根拠のない「高年層の場合は中年層,若年層により使用頻度が低い」は削除すべきでしょうか。
しつこいようで申し訳ないですが,よろしくお願いいたします。
No.14714 Re: 有意差に関する表現 【青木繁伸】 2011/05/30(Mon) 06:53
> 統計的検定をした結果有意差が認められないものについて「平均が低い」というのは論理的矛盾です。
硬直化しているとしか言えないと思います。
平 均値を見てどちらが小さいか大きいか(その差が実質的な意味を持つかどうか)は統計(検定)を使わなくても分かることで,その後(それに引き続いて)その 差が統計学的に有意かどうかを述べることになるわけです。検定で有意でない場合(項目)についてどこまで書かれるか分かるでしょう。
ちょっと別な観点から。
有 意であるかどうかは有意水準によって判断されるものです。有意水準は著者が設定するもので,通常は0.05とされることが多いですが,それは固定されてい るものではありません。読者は読者の有意水準をもって(例えば 0.01)論文を評価することができます。論文中に著者が P=0.034 で(5%の有意水準で)有意としていても,読者は有意ではないと判定します。読者にとって見れば,「有意水準 0.05 で有意な差があった」という記述は無意味なものになりますけど,それはだれも批難しませんよね。逆に,著者が α=0.01 で検定を行ったとき,P=0.034 は有意でないから何の記述もできないとタガをはめられたら,論文を書きにくいこと甚だしい。
No.14715 Re: 有意差に関する表現 【渡邊まゆみ】 2011/05/30(Mon) 19:32
ご意見を本当にありがとうございます。とても勇気づけられました。頑張ります。
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