No.14411 検定方法は 合ってますか?  【たなみ】 2011/03/04(Fri) 10:56

私は,公立病院の単なる看護師です。臨床看護師でも看護研究をこなしている次第です。
さっそくですが,質問です。
外来看護師の感染防止のための手洗いについての「知識」と「行動」について,8項目の質問文をガイドラインから引用し作成しました。
例えば,「知識」業務開始前には 流水で石鹸を用いて手洗いをする必要がある。
回答方法:2点=知っている 1点=わからない 0点=知らない
    「行動」業務開始前には 流水で石鹸を用いて手洗いをしている。
     2点=している  1点=どちらでもない 0点=していない
*知識点満点16点 行動点満点16点 
*知らないやしていないよりも,わからない・どちらでもないのほうが,順序尺度的には上と判断した

上記のような対応した「知識」と「行動」を 同じ看護師に聞いた場合,知識と行動に差があるのかを,ウィルコクソン検定を使用してもいいのでしょうか?
対応のあるデータとして 捉えてみました。
順序尺度なので ノンパラメトリック検定を考えました。

No.14415 Re: 検定方法は 合ってますか?  【青木繁伸】 2011/03/04(Fri) 13:09

> 知らないやしていないよりも,わからない・どちらでもないのほうが,順序尺度的には上と判断した

「わからない」というのは,「知っている」と「知らない」の間にあるとは思いませんね。「よくわからない」ならまあそうかとも思うが,「よくわからない」が「はっきりとは知らない」という場合も「そのことについてよくわからない」という場合もありますしね。

> 知識点満点16点 行動点満点16点

これは,各項目を順序尺度としているのに「合計をする」というのは互いに矛盾するものですね。

> ウィルコクソン検定を使用してもいいのでしょうか?
> 対応のあるデータとして捉えてみました。

ウ イルコクソンの符号付順位和検定が対象にする「対応のあるデータ」ではないですね。ウイルコクソンの符号付順位和検定は,差を取ることに意味があるデータ でなければなりません。例えば,20人分の体重と身長のデータは差を取る意味がありません。それは,データの分布範囲やが異なるからではありません。例え ば,同じ100点満点の国語と数学の試験の成績もどちらが良い悪いは言えません。これに対して,例えばトレーニングの前と後で握力が増加したかどうかとい うデータならば,差を取ることに何の問題もないし,差を取ることに意味があります。

体重と身長とか,国語と数学の成績のような場合には, 二つの変数の間の「相関関係」を対象にすべきなのです。あなたの場合には(合計得点を計算するというところには目をつぶって,まあ中心極限定理が働くとし て),順位尺度変数としてスピアマンの順位相関係数を検討してみればいかがでしょうか。

No.14425 Re: 検定方法は 合ってますか?  【たなみ】 2011/03/04(Fri) 22:30

あまりに早い回答 本当にありがとうございます。実は当院の研究プロジェクトグループの一員でして,グループ内で も,「超入門らくらく使えるはじめての統計学」での検定フローチャートで見ると,ウィルコクソンの符号付順位和検定になりそうだけど,知識と行動をみるの だから,違うよね。となり χ二乗検定かしら?となっておりました。これはいかがでしょうか?
また,「らくらく使えるはじめての統計学」では,スピアマンの順位相関係数を使用するには,順位尺度は5段階以上なければいけない,そうです。  残念です。

No.14426 Re: 検定方法は 合ってますか?  【青木繁伸】 2011/03/05(Sat) 07:54

> 1スピアマンの順位相関係数を使用するには,順位尺度は5段階以上なければいけない,そうです。

別にそんなことはありませんよ。極端な場合,2段階でも可能です。
当然といえばとうでんで,可能であることと適切であることは違います。5段階でも不適切な場合はあります。

> χ二乗検定かしら

カイ二乗検定も,2変数間の相関を見るものですから,使用することはできます。
順 序が疑われるような「2点=知っている 1点=わからない 0点=知らない」のような場合は,むしろカイ二乗検定のほうが適切でしょう。カイ二乗検定はカ テゴリーの順序の情報を使わないので,順序がない場合には適しているわけです。逆に,順序があるのにカイ二乗検定を使うのは不適切ということになるわけで す。

No.14435 Re: 検定方法は 合ってますか?  【たなみ】 2011/03/06(Sun) 21:13

本当にお忙しいところ,いろいろなご指導ありがとうございます。
なんでも,χ二乗検定はできると 思ってしまっていましたが,順序がはっきりしているのに,χ二乗検定は不適切なわけですね。勉強になります。先生に言われてみると,なにかしっくりと ストンと頭にはいります。

昨日今日と,自分は質的研究の研修に行ってまいりました。先生はこのような分析法は使用するのでしょうか?
 データを逐語録に起こす作業から,コード化への洗い出し作業,そしてまとめ上げ作業と,延々につづくと感じる「分析」らしき作業は,果てしなすぎ臨床看護師にできるのか?という疑問でした。データが言葉 文章の場合は,本当に大変なことです。
考えることは必要なのですが・・・・。
やはり,自分は統計を使用するような 量的な研究のほうが性に合っているようです。難しいのですが,正解はあるようなので。

● 「統計学関連なんでもあり」の過去ログ--- 044 の目次へジャンプ
● 「統計学関連なんでもあり」の目次へジャンプ
● 直前のページへ戻る