No.14279 少数例解析での傾向スコア使用の是非について  【島国の医師】 2011/02/04(Fri) 11:26

日頃,統計学関連で勉強させて頂いております。

非循環器領域で,ある治療法の有用性について検討したいのですが,observational studyであり,治療法の有無での2群でselection biasの寄与が相当に予想されるため,傾向スコア使用を検討しています。

治 療有56例,治療無300例で,患者背景・施設などの20因子を使用した傾向スコア0.03以内でのmatchingを行い,1:1では,56:56例, 1:2では,56:88例,1:3では52:109例とmatchingされ,それぞれのmatchingで傾向スコアの重なりはまずまずです。検討した いoutcomeは3個で,50%程度の生起率です。

質問は,一般的に循環器領域で傾向スコアを使用した論文は1000例以上のものが多 いのですが,このような少数例での傾向スコア解析は妥当なのかということです。私としては,「少数例の検討であっても,randomized controlled trialではないため,治療の効果を検討する際にも,多変量解析に多数の因子を入れざるを得ないことを考えれば,まず多重ロジスティック回帰でスコア算 定してもよいのではないか」と考えました。また,使用するのであれば,matching比の選定に関する基準などあるのでしょうか。

御教示頂ければ幸いです。宜しくお願い致します。

No.14281 Re: 少数例解析での傾向スコア使用の是非について  【highway】 2011/02/07(Mon) 12:01

> このような少数例での傾向スコア解析は妥当なのかということです。

傾向スコアとは propensity scoreのことでしょうか。傾向スコア解析であるから,特に最適なサンプル・サイズと云うものは無いと思います。サンプル・サイズは,大きいに越したこ とはないでしょうが,少数例では,分散が大きくなり,帰無仮説が棄却され難いだけなのではないでしょか。

> matching比の選定に関する基準などあるのでしょうか。

特に無いと思います。Case-control studyからの類推で云えば,患者:対照=1:nとするとnは,大きい方がいいでしょうが,1:3~4程度が多いようです。nを大きくすることの利得とコストの関係でその程度とされるのだと思います。

こ こからは,逆に質問なのですが,selection bianを制御するのに従来の多変量解析ではなく,傾向(propensity?)スコアを用いるのはなぜでしょうか?有限個の因子で不均衡を調整するの も,propensity スコアで似たもの同士をグループにするのも考え方としては,大きな違いは無いように私には感じられるのですが。

最 後に,小さな事ですが,propensity スコア0.03以内でmatchingを行ったとの事ですが,matchingの群内で,治療群,無治療群のサンプル・サイズは異なるとは思いますが, “1:2では,56:88例,1:3では52:109例”では,数が違い過ぎるような印象を受けるのですが。

No.14285 Re: 少数例解析での傾向スコア使用の是非について  【島国の医師】 2011/02/08(Tue) 11:23

御回答ありがとうございます。

propensity scoreの意図で,傾向スコアと書いておりました。失礼致しました。
今 回,propensity score使用を考えた理由としては,primary outcomeとする早期死亡率有無への寄与を多変量解析する分には,多重ロジスティック回帰でも問題ないと考えたのですが,secondary outcomeと考える入院期間・コストなどを従属変数に設定して,比較していくには,propensity scoreで患者背景の時点で補正できれば良いかと考えたからでした。
入院期間を長期・短期など2分変数に変換すれば良いのだとは思いますが,数値変数のまま比較できればと考え,重回帰分析などで比較しているものを,見なかったもので検討してみました。

No.14286 Re: 少数例解析での傾向スコア使用の是非について  【highway】 2011/02/08(Tue) 15:02

最初,propensity scoreが登場した頃,observational studyでRCT並みの信頼性が望めるとの触れ込みでしたので,期待してやってみたのですが,解析プログラムが煩雑になるだけで,私には,その有用性が 見い出せませんでした。しかし,本例では,outcomeの生起率が50%程度と高く,そうなると,オッズ比と相対危険度は,大きく乖離することになりま すので,確かにpropensity scoreによる調整の方がより望ましいかもしれません。

No.14287 Re: 少数例解析での傾向スコア使用の是非について  【島国の医師】 2011/02/08(Tue) 18:38

貴重な御意見ありがとうございます。

その他,生存時間解析をKaplan-Meier法でできたらと考えておりました。
参考にさせて頂きます。

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