No.14140 順序のあるカテゴリデータの分析について  【Kawaguchi】 2011/01/10(Mon) 17:54

はじめまして。普段統計を使う機会がないのですが,アンケート結果を分析してまとめることになり,いろいろ調べるうちにこちらのページを見つけ,大変参考にさせて頂いています。ありがとうございます。

さっそくお尋ねしたい内容に入りますが,分析したいのは,親を対象に子育てに関する質問をしたアンケートです。
A群,B群の親に,

・子育てが楽しい
・自分は子育てに向いていない

など子育てに関する18の質問項目について,

「1.非常にそう」
「2.まあまあそう」
「3.あまりそうではない」
「4.全然そうではない」
の4件法で回答を求めています。

具体的には
   1  2  3  4
A群 96 91 5 2
B群 28 78 15 3
のようなクロス表で,AB2群の差を検討しようとしています。
ヒストグラムで見て差があるように思える項目が複数あり,ほとんどの場合どちらかの群が他方に比べて1の側または4の側に偏っているようであったので,ウィルコクソンの順位和検定を行いました。

まず,ここまでの進め方で不備な点などご指摘願えると幸いです。
ここから先もご指導願いたい点がありますので,長くなりますが続けて書きます。

ウィ ルコクソンの順位和検定では平均順位の差を検定しているので,一方の群が他方に対し上位に位置するデータが多い(または下位が多い)場合には2群の差を検 出できますが,上位と下位が同程度に多い(すなわち中位が少ない)ような場合には平均順位に差が出ず,2群に差がないことになってしまうと理解していま す。

今回分析する質問項目で,A群がB群に比べて1または4を選びやすい傾向があるのではないかと思っているものが一つありまして,それをどう扱えばよいか考えています。その質問に対する回答は,
   1  2  3  4
A群 70 97 18 10
B群 37 64 23 1
となっています。Fisherの直接法で
> x <- matrix(c(70,97,18,10,37,64,23,1), ncol=4, byrow=TRUE) 
> fisher.test(x)

Fisher's Exact Test for Count Data

data: x
p-value = 0.01752
alternative hypothesis: two.sided
となり,有意差が出るのですが,ここから「A群がB群に比べて1または4を選びやすい」という論をすすめることはできるでしょうか。

また,他の項目についてもFisher法を試みたところ,順位和検定で有意になっているものはほとんどFisher法でも有意でしたが,2項目だけFisher法では有意にならないもの(P値が0.076と0.067)が出ています。
ちなみに,その2項目への回答は
   1  2  3  4
A群 112 68 13 2
B群 57 49 16 3

   1  2  3  4
A群 106 70 13 4
B群 51 58 14 2
となっています。

順位和検定とFisher法の両方の結果を示して考察すべきか,その場合はFisher法で有意にならない2項目をどう扱ったらよいか,ということについてもご意見頂けましたらありがたく存じます。

なにぶん付け焼刃でやらざるを得ない状況で,見当違いなことを書いているのではないか,また状況の説明が不十分な点があるのではないか,と危惧しておりますが,どうぞよろしくお願いいたします。

No.14143 Re: 順序のあるカテゴリデータの分析について  【青木繁伸】 2011/01/10(Mon) 20:47

> ヒストグラムで見て差があるように思える

お尋ねではないですが,ヒストグラムは間隔尺度以上の変数に適用するもので,順序尺度以下の変数では棒グラフ(バーグラフ)です。

> まず,ここまでの進め方で不備な点などご指摘願えると幸いです。

書かれている内容の限りにおいては,とくにはないと思います。

> 一方の群が他方に対し上位に位置するデータが多い(または下位が多い)場合には2群の差を検出できますが,上位と下位が同程度に多い(すなわち中位が少ない)ような場合には平均順位に差が出ず,2群に差がないことになってしまうと理解しています。

別にそのような U 字型分布のような特殊な状況でなくても,中央値に差がなければ平均順位に差がないということになります。

> A群がB群に比べて1または4を選びやすい傾向があるのではないかと思っているものが一つありまして,それをどう扱えばよいか考えています。

別に,挙げられたような度数分布の場合を特別扱いする必要はさらさらないように思いますが?

> Fisherの直接法で

順序尺度のデータ(分割表)で,Fisher の直説法を使う必要性はありません。というか,不適切です。

> ここから「A群がB群に比べて1または4を選びやすい」という論をすすめることはできるでしょうか。

できないでしょう。実際,挙げられたデータで,1 または 4 が選ばれやすいという状況はないですし。

> 順位和検定で有意になっているものはほとんどFisher法でも有意でしたが,2項目だけFisher法では有意にならないもの(P値が0.076と0.067)が出ています。
> 順位和検定とFisher法の両方の結果を示して考察すべきか,その場合はFisher法で有意にならない2項目をどう扱ったらよいか

検定方法が異なれば結果が違っても不思議ではないでしょう。とくに,その検定方法が適切かどうかということになれば,両方の結果を挙げるとか比較すること自体意味のないことですし。

No.14151 Re: 順序のあるカテゴリデータの分析について  【Kawaguchi】 2011/01/11(Tue) 18:35

ありがとうございます。
大変勉強になりました。やはりお尋ねしてよかったです。

>別に,挙げられたような度数分布の場合を特別扱いする必要はさらさらないように思いますが?

もしA群が,B群と比べて1や4を選ぶ人の割合が多いということがあれば,それも両群のもつ性質の違いとして考えておくのが良いかと思ったのです。
たとえば,
   1 2 3 4
A群 50 50 50 50
B群 30 70 70 30

のような集計表が得られたとしたら,この集計表に見えている特徴を統計を利用して抽出したい(中央値は同じだが分布の様相が異なる)ときにはどのような方法が考えられるのでしょうか。

No.14152 Re: 順序のあるカテゴリデータの分析について  【青木繁伸】 2011/01/11(Tue) 18:41

> 中央値は同じだが分布の様相が異なる

ということを検定したいのならば,分布の違いの検定(実質は独立性の検定=カイ二乗検定・フィッシャーの正確検定と同じ)か2標本コルモゴロフ・スミルノフ検定を用いればよいでしょう。

No.14409 Re: 順序のあるカテゴリデータの分析について  【Kawaguchi】 2011/03/03(Thu) 21:21

おかげさまで,無事アンケート報告をまとめることができました。
ありがとうございました。
御礼が遅くなり,失礼いたしました。

● 「統計学関連なんでもあり」の過去ログ--- 044 の目次へジャンプ
● 「統計学関連なんでもあり」の目次へジャンプ
● 直前のページへ戻る