No.14046 順序尺度を用いた介入前後の比較  【たま】 2010/12/28(Tue) 14:54

ある介入の前後で対象者の行動が変化したか調べています。
行動の評価は,その行動をとる頻度を週当たり1回以下,2〜3回・・というように5段階で質問しています。
また,その介入を行わなかった集団を対象においています。
(1) 介入群と対照群,それぞれについてウィルコクソンの符号付順位和検定を行い,介入群だけ前後で有意差があれば,介入効果があったといってもよいですか?介 入前の2群間に差が無いことも必要でしょうか?その場合は,Mann-Whitneyの Uテストでよろしいでしょうか?各群のデータは中央値を示せばよろしいでしょうか?
(2)そもそも順序尺度にウィルコクソンの符号付順位和検定は使えないとの指摘を人から受けました。(間隔尺度だけとのこと)自分の統計の本には全て使えると書いてあるのですが,何かもっと説得力のある説明方法はありますか?
(3)(2)より,マンテル−ヘンツェル法で検定し直すように言われましたが,本法が良く分からず,自分で調べる限りは目的に合わないような気がするのですが,どちらが正しいのでしょうか?(マンテル−ヘンツェル法では有意差がなくなってしまいます)
素人の質問ばかりで申し訳ありませんが,どなたかご教示いただければ幸いです。

No.14047 Re: 順序尺度を用いた介入前後の比較  【青木繁伸】 2010/12/28(Tue) 16:22

> 介入群だけ前後で有意差があれば,介入効果があったといってもよいですか

よくないでしょう。
非介入群にも同じくらいの(有意な)差があるかも知れず,その場合には,「介入」は原因ではなかったことになり,他の原因を探さなければならないでしょう。

> 介入前の2群間に差が無いことも必要でしょうか

必要でしょう。もともと介入群の方が介入効果を受けやすかったとかいうこともあるでしょうし。まあ,あり得ないことではないけど,非介入群の方が成績が良く,それ以上伸びる余地がなかったとか。
ということで,各対象を,2群に無作為割り付けするのがよいでしょう。小学校のクラス単位などで実験するような場合には無作為割付はできないので,事前に二群の男女比や年齢やその他,実験成績に影響を及ぼしそうな要因に差がないことを確かめておかないと行けませんね。

> その場合は,Mann-Whitneyの Uテストでよろしいでしょうか?

そういうことでしょう。

> 各群のデータは中央値を示せばよろしいでしょうか?

中央値にしろ平均値にしろ,一つの数値で分布を表現するのは不十分なので,度数分布を示せば良いと思いますよ。

> そもそも順序尺度にウィルコクソンの符号付順位和検定は使えないとの指摘を人から受けました。(間隔尺度だけとのこと)自分の統計の本には全て使えると書いてあるのですが,何かもっと説得力のある説明方法はありますか?

(1) 週1回以下,(2) 週2,3回,(3) 週4,5回,(4) 週6,7回
のようであれば,週1回以下は週0,1回ということで,4つのカテゴリーは精度こそ悪いですが間隔尺度なので,(4) が (3) になったのと (2) が (1) になったのと,差が 1 というのは同じなので問題ないですね。
しかし,(1) 無し,(2) 月1回以下,(3)月2,3回,(4) 週1回以下,(5) 週2〜3回,(6) 週4回以上
のようであったら,間隔尺度ではなくなり (6) が (4) になったのと,(3) が (1) になったので,差は同じく 2 ですが,両者の差は同じではないですよね。つまり,差を取った数値自体が間隔尺度でないとダメなのです。

> マンテル−ヘンツェル法で検定し直すように言われましたが,本法が良く分からず,自分で調べる限りは目的に合わないような気がするのですが

コクラン・マンテル・ヘンツェル検定ですかね?多層の2×2分割表の検定ではないですか?違うと思うんですけど,私はよくわかりません。その人に詳しく聞いてみればよいと思います。

> マンテル−ヘンツェル法では有意差がなくなってしまいます

同 じデータに適用できる方法はいくつかあり,それぞれに検定力(検出力)が異なる場合が多いです。特に,ある検定方法では P 値 < 0.05 になるのに別の方法では P > 0.05 になるなどということはあり得ることです。このような場合に,P < 0.05 になる検定法を取りたくなるのは世の常人の常ですが,それぞれの検定方法はそれぞれ適用できるための条件があるので,その条件に反して P < 0.05 の検定法を採用するのは本末転倒です。似たような検定方法をあれこれ探索して帰無仮説を棄却できる検定方法を求めるのも避けるべきです。最初からデータの 性質などを良く考慮して,データを集める前に分析法・検定法を考えておくべきなのです。

No.14048 Re: 順序尺度を用いた介入前後の比較  【たま】 2010/12/28(Tue) 17:42

早々のご教示ありがとうございます!

実際の尺度は,
(1) 週0回,(2) 週1回,(3) 週2,3回,(4) 週4,5回,(5)ほぼ毎日
です・・・・

これだと各尺度の差は等間隔ではないので,間隔尺度ではないということですね。
そうすると,ウィルコクソンの符号付順位和検定は使えないということでしょうか?
既存の調査票を使用する必要性もあり,十分検討していなかったのが失敗ですが,もし,このような尺度でも前後の変化を検定できる方法があればお教えいただけますでしょうか。
何度も申し訳ありませんが,よろしくお願いいたします。

No.14049 Re: 順序尺度を用いた介入前後の比較  【青木繁伸】 2010/12/28(Tue) 18:01

前後のどちらが優れているかという条件だけを用いる「符号検定」というのがあります。
検出力は,ひどく低いでしょう。

No.14050 Re: 順序尺度を用いた介入前後の比較  【たま】 2010/12/28(Tue) 18:31

お返事ありがとうございます。
早速一番肝の項目に,符号検定を実施してみたところ,有意差が得られました!

次回調査票を作る上でも大変勉強になりました。
重ねて御礼申し上げます。

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