No.14010 Student's t検定とMann-Whitney U検定について  【Asash】 2010/12/21(Tue) 13:27

この度はお世話になります.

ある商品についての販売方法について検討しています.方法A(n=14)と方 法B(n=24)の販売方法でどちらがより早く完売するかということを調べています(同じ商品で,完売までの時間を比較しています).統計の手法はt検定 かMann-Whitney U検定のどちらかだと思います.そこで,正規分布しているかどうかをK-S(Kolmogorov-Smirnov)法で調べ,等分散しているかをF検定 で確認しました.その結果,Student's t検定を用い有意差が出ませんでした.しかし,Mann-Whitney U検定だと有意差がでます.この場合,ものの本によってはMann-Whitney U検定の方が厳しめの検定のためMann-Whitney U検定で有意差が出れば有意差ありとしていいとあるのですが,どうなのでしょうか?

Mann-Whitney U検定で有意差が出てStudent's t検定で有意差が出ないと言うことは,私のK-S法が間違っていたのでしょうか?

ご教授よろしくお願いします.

No.14011 Re: Student's t検定とMann-Whitney U検定について  【青木繁伸】 2010/12/21(Tue) 13:58

> Mann-Whitney U検定で有意差が出てStudent's t検定で有意差が出ない

そういうこともあるでしょう。

> と言うことは,私のK-S法が間違っていたのでしょうか?

データと検定結果を見せてくれれば,判断できるかも知れません。

それにしても,正規分布に従うかどうか n=14 とか 24 のデータで検定することにどの程度意味があるか疑問です。

No.14012 Re: Student's t検定とMann-Whitney U検定について  【Asash】 2010/12/21(Tue) 15:00

青木先生

早速のご返答,誠に有り難うござます.n=14とか24のデータで検定する意味についてはご容赦下さい.私は統計ソフトはStatView5.0を使っています.添付した下記データをK-S法で検定するとp値が0.0589となります.ご確認していただけますと幸いです.

最後に,今回の場合のようにMann-Whitney U検定で有意差が出たならば有意差ありとしていいのでしょうか?また参考までに,青木先生はどの程度のn数から正規分布の検定の必要性があるとお考えですか?

以上,何卒よろしくお願いいたします.

方法 時間 方法 時間
B 236   A 207
B 520   A 299
B 190   A 358
B 211   A 250
B 231   A 303
B 343   A 177
B 283   A 410
B 163   A 398
B 244   A 111
B 238   A 266
B 295   A 212
B 247   A 364
B 236   A 393
B 222   A 323
B 194
B 272
B 175
B 235
B 407
B 229
B 250
B 163
B 141
B 269

No.14014 Re: Student's t検定とMann-Whitney U検定について  【青木繁伸】 2010/12/21(Tue) 18:22

(1) B 群のデータは,正規分布に従っているとはいえない
(2) t 検定でも,マン・ホイットニーの U 検定でも,A, B 群に有意な差はない

A 群のデータは,「正規分布でないとはいえない」という結果

> a <- c(207, 299, 358, 250, 303, 177, 410, 398, 111, 266, 212, 364,
+ 393, 323)

> stem(a)

The decimal point is 2 digit(s) to the right of the |

1 | 18
2 | 1157
3 | 002669
4 | 01

> shapiro.test(a)

Shapiro-Wilk normality test

data: a
W = 0.9541, p-value = 0.6264
B 群のデータは,「正規分布ではない」という結果
> b <- c(236, 520, 190, 211, 231, 343, 283, 163, 244, 238, 295, 247, 
+ 236, 222, 194, 272, 175, 235, 407, 229, 250, 163, 141, 269)

> stem(b)

The decimal point is 2 digit(s) to the right of the |

1 | 466899
2 | 12334444455778
3 | 04
4 | 1
5 | 2

> shapiro.test(b)

Shapiro-Wilk normality test

data: b
W = 0.837, p-value = 0.001265 ★★ 正規性は否定される
等分散性の検定では,「等分散でないとはいえない」
> var.test(a, b)

F test to compare two variances

data: a and b
F = 1.2459, num df = 13, denom df = 23, p-value = 0.623
alternative hypothesis: true ratio of variances is not equal to 1
95 percent confidence interval:
0.492309 3.619641
sample estimates:
ratio of variances
1.245938
t 検定は,ウェルチの方法の場合も共に,「平均値の差があるとはいえない」という結果
> t.test(a, b)

Welch Two Sample t-test

data: a and b
t = 1.3899, df = 24.933, p-value = 0.1769
alternative hypothesis: true difference in means is not equal to 0
95 percent confidence interval:
-19.78075 101.85218
sample estimates:
mean of x mean of y
290.7857 249.7500

> t.test(a, b, var.equal=TRUE)

Two Sample t-test

data: a and b
t = 1.4317, df = 36, p-value = 0.1609
alternative hypothesis: true difference in means is not equal to 0
95 percent confidence interval:
-17.09476 99.16619
sample estimates:
mean of x mean of y
290.7857 249.7500
マン・ホイットニーの U 検定でも,「差があるとは言えない」
> wilcox.test(a, b)

Wilcoxon rank sum test with continuity correction

data: a and b
W = 224.5, p-value = 0.0901
alternative hypothesis: true location shift is not equal to 0

警告メッセージ:
In wilcox.test.default(a, b) :
タイがあるため,正確な p 値を計算することができません
> wilcox.test(a, b, correct=FALSE)

Wilcoxon rank sum test

data: a and b
W = 224.5, p-value = 0.08726
alternative hypothesis: true location shift is not equal to 0

警告メッセージ:
In wilcox.test.default(a, b, correct = FALSE) :
タイがあるため,正確な p 値を計算することができません
正確な P 値を求めるために,wilcox.exact を使っても,同じ結果
> library(exactRankTests)
> wilcox.exact(a, b)

Exact Wilcoxon rank sum test

data: a and b
W = 224.5, p-value = 0.08882 ★★ 有意な差ではない
alternative hypothesis: true mu is not equal to 0

No.14015 Re: Student's t検定とMann-Whitney U検定について  【青木繁伸】 2010/12/21(Tue) 18:50

> 正規分布に従うかどうか n=14 とか 24 のデータで検定することにどの程度意味があるか疑問です。

>> 青木先生はどの程度のn数から正規分布の検定の必要性があるとお考えですか?

サンプルサイズが小さいと,帰無仮説は棄却されにくい。
それにもかかわらず棄却されれば,正規性がないということでしょう。
だったら,最初からノンパラメトリック検定をやってもよいのではないのでしょうか。

No.14020 Re: Student's t検定とMann-Whitney U検定について  【Asash】 2010/12/21(Tue) 19:57

青木先生

わかりやすいご説明,誠にありがとうございました。

もう一度,検討しなおしてみます。

今後ともよろしくお願い致します。

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