No.13545 元データの不明な回帰係数の差の検定  【KUJIRA】 2010/10/06(Wed) 05:42

係数の異なる3つの一次式(y=ax+b)があるのですが,回帰式を当てはめた元データが不明です。この3本の直線が統計的に異なるかどうか検定をしたいと考えています。

その際,『統計的多重比較法の基礎』で紹介されていますボンフェローニの方法で検定することを検討しているのですが,『バイオサイエンスの統計学』等を参照すると,回帰係数の差は回帰式を当てはめた元データから標準誤差を求めて検定されています。

冒頭のように,回帰式を当てはめた元データが不明な状況で3本の回帰式が統計的に異なるということを検定する方法につきもしお心当たりのある方がございましたらご教示いただけないでしょうか。
どうぞ宜しくお願いいたします。

No.13546 Re: 元データの不明な回帰係数の差の検定  【青木繁伸】 2010/10/06(Wed) 07:29

3組の傾きと切片の値しかわからないときに,検定できるわけがありません。
傾きと切片の標準誤差がわかっているなら,漸近近似検定は出来るでしょう(公表されている傾きと切片,またその標準誤差の有効桁数が少ないと,当然ながら計算精度は落ちるでしょう)。

No.13562 Re: 元データの不明な回帰係数の差の検定  【KUJIRA】 2010/10/07(Thu) 19:59

ご返信誠にありがとうございました。
3組の傾きと切片,標準誤差がわかっているケースで,ボンフェローニの方法により有意差水準を0.05/3=0.017とし漸近近似検定(t検定)で検定をしてみようと思います。

ちなみにここで「漸近近似検定」はカイ二乗検定を指すのでしょうか。
もし上記の処理で誤りがあるようでしたらご指摘いただければと思います。

No.13563 Re: 元データの不明な回帰係数の差の検定  【青木繁伸】 2010/10/07(Thu) 20:34

> 「漸近近似検定」はカイ二乗検定を指すのでしょうか

違います。
(傾きa - 傾きb)/ √( (傾きの標準誤差a^2 + 傾きの標準誤差b^2)/2 )が標準正規分布に漸近近似できるという漸近近似検定です。(傾きa - 傾きb)^2/ (傾きの標準誤差a^2 + 傾きの標準誤差b^2)なら,自由度1のカイ二乗分布に従うのでχカイ二乗漸近検定でもありますけど。
切片についても同じように検定できます。

* 式を(傾きa - 傾きb)/ √( (傾きの標準誤差a^2 + 傾きの標準誤差b^2)/2 ) のように訂正しました。

No.13566 Re: 元データの不明な回帰係数の差の検定  【KUJIRA】 2010/10/08(Fri) 11:54

早々のご返信ありがとうございました。
上記の『バイオサイエンスの統計学』の例題7-3(p220)で試してみました。
y=0.52x-3.4
y=0.23x+3.1
という直線で,傾きの標準誤差がそれぞれ0.11, 0.14という場合,
(傾きa - 傾きb)/ √(傾きの標準誤差a^2 + 傾きの標準誤差b^2)
=(0.52-0.23)/√(0.11^2 + 0.14^2)
=1.62
となり,有意差水準0.017としますと標準正規分布表ではおよそ2.39となるため
1.62 < 2.39
より二つの傾きに有意差無しという結論になりました。
もしなにか間違って理解しているようでしたらご指摘いただければ幸いです。
他の事例や切片についても同様にやってみたいと思います。

No.13573 Re: 元データの不明な回帰係数の差の検定  【青木繁伸】 2010/10/08(Fri) 17:08

まあ,どうでも良いことではありますが,なぜ「有意差水準0.017としますと」なのでしょうか???有意水準は 0.05 とか 0.01 とかが慣例ですよ。
コンピュータで計算しているのでしょうから,z=1.62から,正確に p-value を求めると良いでしょう。その p-value と有意水準(0.05なり)を比較するのです。

No.13686 Re: 元データの不明な回帰係数の差の検定  【KUJIRA】 2010/10/29(Fri) 17:15

御礼が遅れ申し訳ありません。

ご指摘真にありがとうございました。

>なぜ「有意差水準0.017としますと」なのでしょうか???

4 つ前のレス(No. 13562)にあります「3組の傾きと切片,標準誤差がわかっているケース」での多重比較を想定して,他にもう一つ比較対象の直線(y=ax+b)がある という前提でボンフェローニの方法より,有意差水準を0.05/3=0.017として0.017という数字を使用した次第です。

ちなみに,z=1.62から正確に p-value を求めると,0.105になり有意水準と比較すると0.105>0.017で有意差なしとなりました。

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