No.13307 カイ二乗検定におけるボンフェローニ補正  【かと】 2010/08/24(Tue) 12:23

いつも拝見させていただいております。
「8月5日のカイ二乗で対応がある場合」も必死で読ませていただいたのですが,理解不足の点があり,質問させていただきます。

扱っているのは医学臨床データです。

ある症候群Aについて,画像上のある異常がある群とない群において,治療効果ありなしおよび再発ありなしについて調査しました。
(我々の仮説としては,その画像異常がある群のほうが治療効果が出やすく,しかし再発もしやすいと考えています。)

集 められた例数が少なく,クロス集計表(2×2表)のセルに10例未満のセルがあったので,フィッシャーの正確検定を行いました。その結果,仮説の通り,画 像異常のある群が有意に治療効果があり(P=0.02),しかし再発もしやすい(p=0.01)という結果を得ました。
私は,ボンフェローニ法 は,分散分析多重比較のように,比較検定を重ねた場合にその回数分有意水準を厳しくするというイメージでとらえて,補正しなければならないと思っておりま した。そこで,今回は必要ないと思っていました。上記のような,クロス集計に基づくカイ二乗検定でもボンフェローニ補正を行う必要があるのでしょうか。行 うとすれば,有意水準p=0.05/4(=2×2)とすればよいのでしょうか。

実は,今回のデータにおいてではありませんが,ある疾病を ある特徴に基づいて3群に分け,重症度(重症軽症)や治療効果のあるなしを比較した検定(3×2のクロス表)で,レビューアーから,「ボンフェローニ補正 ほ行うように」と指摘されております。ボンフェローニ補正の意義が分かっていないことがすべての発端だとは思うのですが,ご教示頂ければ幸いです。どうぞ よろしくお願いいたします。

No.13309 Re: カイ二乗検定におけるボンフェローニ補正  【青木繁伸】 2010/08/24(Tue) 13:44

「ボンフェローニ補正の意義」
実際に行う検定が相互に意味的に関連があって,検定結果を 「○○,□□,▲▲は有意で,それ以外は有意ではなかった」というように述べる(一つの文章で述べるかどうかという形式上の問題ではなく)ときには,「検 定結果全体として誤っている(どれか一つでも誤っている)危険率をα(有意水準 α)とすると,行う検定の回数を k としたとき,それぞれの検定の有意水準を α/k で行う」ということです。

「画像異常のある群が有意に治療効果があり (P=0.02),しかし再発もしやすい(p=0.01)という結果」が,全体として危険率 αで正しいためには,検定の回数が2なので,それぞれの検定は有意水準 0.05/2=0.025 で判定するということです。結論としては,「ボンフェローニ法により,画像異常のある群が有意に治療効果があり,しかし再発もしやすいといえる」というこ とになるでしょう。

> ある疾病をある特徴に基づいて3群に分け,重症度(重症軽症)や治療効果のあるなしを比較した検定(3×2のクロス表)

の 場合には,三群のあらゆる二群の組合せは3通りあるので,それぞれ α/3 で検定することになりますが,重症度と治療効果について(また,それ以外についても)検定しているので,ここでも検定の多重性がありますが,重症度と治療 効果について別々に論述するというなら α/3 でよいでしょうけど,併せて論述するなら α/3/2 で検定しないといけないかも知れませんね。

検定の多重性は,どの範囲を検定対象にするかに依存するのです。

No.13310 Re: カイ二乗検定におけるボンフェローニ補正  【かと】 2010/08/24(Tue) 14:35

青木先生,早速有難うございました。
自分の理解はまったく方向性が違ったということが分かりました。
「検定の多重性」についての考え方がよくわかりました。
とてもすっきりしました。有難うございました。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

No.13311 Re: カイ二乗検定におけるボンフェローニ補正  【ひの】 2010/08/24(Tue) 14:52


>ある症候群Aについて,画像上のある異常がある群とない群において,治療効果ありなしおよび再発ありなしについて調査しました。

これは2×2×2の3次元分割表のデータになりますから,個別の検定の前に全体の検定をしたほうがよいと思います。例数が少ないということですから3次元に分割すると苦しいかな。
対数線形モデルという選択肢もありますね。

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