No.11413 時系列分析 直線の当てはめ  【波音】 2009/12/04(Fri) 11:20

あくまで一例ですが,ガスコンロで水を温めるとき,点火したときから沸騰するまでの温度変化を記録したとします(小学校の理科の実験みたいですが)。また,ある時点(例えば5分後とか)で弱火から強火にしたとします。

ここで:

(1) 強火にした後で急な温度変化が生じたか(2本の直線の切片は異なるか)。
(2) 強火にした後で温度変化の勾配が急になったか(2本の直線の傾きは異なるか)。

という問題について,添付図のように2本の回帰直線を当てはめて判断することは"ダメ"なのでしょうか?

時間経過に伴って観測値を得ているわけですから,時系列データ解析でいうところの系列依存性(自己相関)の問題が生じるので,回帰直線を当てはめるのは問題があるのかと思ったのです。

例 えば株価の変動を「予測する」という観点では自己相関(ある周期でピークが現れる)について考慮しなければならないのでしょうが,今回の例のように予測で はなく,ある操作をした後で(劇的な,顕著な)変化が生じたかどうかを問題にしている場合は問題ないと思うのですが・・・。

とはいえ,以下のようにして解析することは明らかな擬似反復を犯していることになるので,いかがなものかと。


time <- 1:10
temp <- c(12, 15, 20, 27, 33, 60, 77, 86, 90, 100)
karyoku <- rep(c(1, 2), c(5, 5))
karyoku <- factor(karyoku, levels=c(1,2), labels=c("jyaku", "kyou"))
result <- lm(temp ~ time*karyoku)
summary(result)
Coefficients:
Estimate Std. Error t value Pr(>|t|)
(Intercept) 5.2000 3.0846 1.686 0.14282
time 5.4000 0.9301 5.806 0.00115 **
karyokukyou 3.0000 8.1612 0.368 0.72579
time:karyokukyou 3.9000 1.3153 2.965 0.02512 *

f <- function(x, h) 5.2 + 5.4*x + 0*h + 3.9*x*h
xv <- seq(0, 11, 0.1)
yv1 <- f(xv, 0)
yv2 <- f(xv, 1)
plot(time, temp, cex=1.5, col=c("blue", "red")[karyoku])
points(xv, yv1, type="l")
points(xv, yv2, type="l")


No.11418 Re: 時系列分析 直線の当てはめ  【青木繁伸】 2009/12/04(Fri) 17:53

理論的には,強火にした後の温度上昇の回帰線は波音さんの添付図のようにはならないはず。弱火から強火に切り替え たところで交わると思う(単位時間あたり熱量,従って温度上昇は,その時点で切り替わるのだから。また,8分頃を過ぎて頭打ち傾向が出てくるのは,与えら れた熱量が温度上昇だけではなく水蒸気生成にも使われるようになるため(いずれにしても100度は超えないのだから。

No.11420 Re: 時系列分析 直線の当てはめ  【波音】 2009/12/04(Fri) 18:07

回答ありがとうございます。

挙げる例が悪かったのですが,例えばSingle-Case(単一事例)のデータの場合:

 http://faculty.unlv.edu/pjones/singlecase/scsantro.htm#intro

ではどうでしょうか。このwebページの下のほうにあるbaselineとtreatmentの折れ線のようなデータに2本の回帰直線を当てはめるのは妥当でしょうか?

No.11422 Re: 時系列分析 直線の当てはめ  【青木繁伸】 2009/12/04(Fri) 18:21

先ほどの例だと,強火にしたということを表すダミー変数を付け加え,時間との交互作用項も付け加えればよいのでは ないですか。結果としては重回帰分析の形になりますが,ダミー変数が0の部分と1の部分で重回帰分析の係数がどのようにまとめられるかを計算すると,まさ に2本の回帰直線で回帰したことになっているのがわかるのではないでしょうか?

なお,普通にそのようにした場合,温度上昇の切り替わり時点で回帰直線が交わらないということになるので,回帰直線が必ずそこで交わるという条件をつけないといけないでしょう。反応が変化した時点(原因が作用した時点)が不明の場合にはちょっと面倒な問題が生じるのかな?

No.11428 Re: 時系列分析 直線の当てはめ  【波音】 2009/12/04(Fri) 19:13

> 普通にそのようにした場合,温度上昇の切り替わり時点で回帰直線が交わらないということになるので,回帰直線が必ずそこで交わるという条件をつけないといけないでしょう。

な るほど,原因が作用した時点で直線が交わるように制約をつけるとなると,2本の平行な直線が当てはめられるようなデータの場合だと難しそうですね。あるい は,作用時点で急激な変化をしてその後の変化の様子が作用時点前と異なるような場合にも難しそうですね(添付図のような)。


No.11429 Re: 時系列分析 直線の当てはめ  【青木繁伸】 2009/12/04(Fri) 19:52

そうでしたね.回帰関係が全く異なった場合には,交わる必要はないですね。

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