No.11168 フリードマン検定とウィルコクソン符号付き順位検定について  【大学院生O】 2009/11/04(Wed) 17:18

はじめまして。
ご教授いただけると幸いです。

今回,私が行った実験と結果に対して,下記の統計処理方法で問題ないのか,また,他に適切な統計処理方法があるのかという点を教えていただきたいと思っています。

実験は10名を対象に,歯の変形量を計測しました。
1,ただ単純に噛んだとき,
2,Aという介入をして噛んだとき,
3,Bという介入をして噛んだとき,
この3パターンを各5回ずつ同日に計測をしました。
この各項目の間(1と2,1と3,2と3)で差があるかどうか?ということが知りたいのです。

先輩の方々に相談したところ,反復測定(対応のある因子)による1元配置分散分析かフリードマン検定とウィルコクソン符号付き順位検定による多重比較をすすめられました。
人数が少ないのでフリードマン検定とウィルコクソン(ボンフェローニを利用)を行ったのですが,ウィルコクソンでは有意差が出ませんでした。過去ログを見たところ,少人数ではウィルコクソンは有意差が出るのは厳しいと判断したのですが,いかがでしょうか?

宜しくお願いします。

No.11169 Re: フリードマン検定とウィルコクソン符号付き順位検定について  【青木繁伸】 2009/11/04(Wed) 18:13

> 人数が少ないのでフリードマン検定とウィルコクソン(ボンフェローニを利用)を行った

サンプルサイズが小さいからノンパラメトリック検定という選択は間違っています。
ノンパラメトリック検定の検定力はパラメトリック検定の検定力に比べて若干劣ります(そんなに大きな違いではありませんが,パラメトリック検定で有意になったのにノンパラメトリック検定では有意ではなかったということもあります。もっとも,その逆もありますけど)。

No.11170 Re: フリードマン検定とウィルコクソン符号付き順位検定について  【大学院生O】 2009/11/04(Wed) 18:25

返信ありがとうございます。

では,10名の各々の母集団の正規性を検定し,ある人には「1元配置分散分析とウィルコクソン」をない人には「フリードマン検定とウィルコクソン」という手法でよろしいでしょうか?

また,1元配置分散分析かフリードマン検定で有意差があるものを,ウィルコクソン符号付き順位検定で有意差が出なかったものはどのような解釈をすればよろしいでしょうか?そして,どのように表現すればよろしいでしょうか?

よろしくおねがいします。

No.11171 Re: フリードマン検定とウィルコクソン符号付き順位検定について  【青木繁伸】 2009/11/04(Wed) 18:42

正規性があるかないかは,理論的に考察すべきです。わずか10名の標本データから母集団の分布を判定するのは疑問 ですし(正規性がないという結果ならよいのですが,正規性が認められないわけではない(つまり帰無仮説が採択される)場合には,正規性があるといえるので はないので注意。検定の多重性という問題も生じますし),したがってデータによって検定法を変えるのも問題があります。

> 1元配置分散分析かフリードマン検定で有意差があるものを,ウィルコクソン符号付き順位検定で有意差が出なかったものはどのような解釈をすればよろしいでしょうか

こ れは,教科書的にいえば,「データを得る前にどのような検定法を採用するかを決めておくこと」です。データをみて,いろいろな検定法を適用して,有意な結 果(あるいは有意でない結果)を探索するのはよくないことです。この意味からも,正規性があったらこの検定なかったら別の検定というのが誤った選択である ことがわかりますね。

No.11172 Re: フリードマン検定とウィルコクソン符号付き順位検定について  【大学院生O】 2009/11/04(Wed) 19:16

返信ありがとうございます。

正規性について,検定法について自分の間違いがよくわかりました。
まだまだ勉強する必要がありますね。

No.11178 Re: フリードマン検定とウィルコクソン符号付き順位検定について  【大学院生O】 2009/11/05(Thu) 20:48

「正規性があるかないかは,理論的に考察すべき」という点がよく理解できないのですが,どのように解釈をすればよろしいでしょうか?

宜しくお願いします。

No.11179 Re: フリードマン検定とウィルコクソン符号付き順位検定について  【青木繁伸】 2009/11/05(Thu) 21:56

> 「正規性があるかないかは,理論的に考察すべき」という点がよく理解できないのですが

そのデータの生成機序を考えるのです。
例えば,身長なら,たくさんの遺伝子,たくさんの食生活・運動要因,その他の変動要因が総合して成り立つものでしょう。これらを統計学的に考えれば,まさに中央極限定理です。そのような諸々が集まると,正規分布に従うでしょう。
対数正規分布の説明は,http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/Bunpu/normdist/taisuseiki.html 等を参考に。
そのほかにも,ロンドンの一区画にドイツからのV2ロケット弾が何発着弾するかはポアソン分布とか。
とにかく,対象とするデータがどのようなデータ生成機序に従っているかというのは理論的な根拠が想定されると言うことです。どんな生成機序に従っているかわからないと言うことも多いでしょうけど,それはその分野が未熟だということを意味していることなんでしょう。

No.11180 Re: フリードマン検定とウィルコクソン符号付き順位検定について  【大学院生O】 2009/11/05(Thu) 22:05

では,「どんな生成機序に従っているかわからない」とした場合,現時点では正規性があると言えない(ノンパラメトリックで検定)という判断でよろしいでしょうか?

No.11181 Re: フリードマン検定とウィルコクソン符号付き順位検定について  【青木繁伸】 2009/11/05(Thu) 22:49

母分布を特定できないなら,「分布によらない検定」すなわちノンパラメトリック検定を採用するというのは,妥当な流れではないでしょうか?

余 計な情報ですが,正規性と等分散性を仮定したいわゆる t 検定と,何の仮定もないマン・ホイットニーの U 検定の検定力は π/3 です。わかりやすく言えば,t検定とおなじ検定力を得るためにはマン・ホイットニーの U 検定はほぼ 1.047198 倍のデータを取らないといけないということです。しかし,わかりやすく言えば,t 検定で必要なサンプルサイズが 100 とすれば,それと同じことを言うためには,マン・ホイットニーの U 検定を使うならサンプルサイズは 105 必要だよと。それだけの違いです。どうってことない違いです。

No.11188 Re: フリードマン検定とウィルコクソン符号付き順位検定について  【大学院生O】 2009/11/07(Sat) 01:14


御丁寧な説明ありがとうございます。
とても参考になりました。

No.11194 Re: フリードマン検定とウィルコクソン符号付き順位検定について  【大学院生O】 2009/11/08(Sun) 15:42

基本的なことなのかもしれませんが,ウィルコクソン符号付き順位検定は,サンプル数が5と少なくても有意差が出るものなのでしょうか?
無理に有意差を出したいわけではありませんが(差があるに越したことはないですが…),どうなのかと思いまして。

よろしくお願いします。

No.11195 Re: フリードマン検定とウィルコクソン符号付き順位検定について  【大学院生O】 2009/11/08(Sun) 15:56

すいません,追加です。
3群間の比較で,ボンフェローニの補正をして0.016とした場合です。

よろしくお願いします。

No.11197 Re: フリードマン検定とウィルコクソン符号付き順位検定について  【青木繁伸】 2009/11/08(Sun) 20:41

統計学の教科書などに載っている統計数値表を見ればよいのですが,そのようなものが見あたらないと言うことでしたら,インターネットで検索するとよいでしょう。

例えば,ウィルコクソンの符号付順位和検定統計量の分布
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/CGI-BIN/mpsrtest.html

で,n=5 を指定すると,
ウィルコクソンの符号付順位和検定統計量の分布
n = 5
S (S') 度数 f(S) F(S)
 0  (15)   1   0.0312500000   0.0312500000
 1  (14)   1   0.0312500000   0.0625000000
 2  (13)   1   0.0312500000   0.0937500000
 3  (12)   2   0.0625000000   0.1562500000
 4  (11)   2   0.0625000000   0.2187500000
 5  (10)   3   0.0937500000   0.3125000000
 6  (9)   3   0.0937500000   0.4062500000
 7  (8)   3   0.0937500000   0.5000000000
というのが表示されます。
一 番極端な場合(検定統計量が0もしくは15のとき)片側検定なら,P値は0.03125なので有意水準5%で有意になりますが,両側検定では,一番極端な 場合(検定統計量が0または15のとき)P値は0.0625でなので有意水準5%では絶対に有意になることはないということです。
ボンフェローニのときもこの表によって判断することができるでしょう(まあ,絶対に有意にはならないと言うことです)。
注:同順位がある場合には,もう少し複雑になりますが,いずれにしろ,n=5 では,検出力が低すぎるということはしようのないことでしょう。

No.11224 Re: フリードマン検定とウィルコクソン符号付き順位検定について  【大学院生O】 2009/11/10(Tue) 21:17

御返答,ありがとうございます。

ある参考書を見ると,ウィルコクソンは有意水準5%ならサンプル数が6以上とかかれていたので,ウィルコクソンで検定すること自体が間違いなのかと思いまして質問させていただきました。やはり,サンプル数を増やすべきですね。

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