No.10902 Re: 同一母集団への複数回の測定後の検定について 【波音】 2009/09/18(Fri) 23:24
それぞれの色に対する評定値の平均値を比較する(2群の平均値の差の検定を行う)のが常套手段のようですが,対比較をするとなると,比較の数(検定する帰無仮説の数)が多くなるのでボンフェローニ法のような多重比較法は適さないでしょう。
ちなみに,こういう場合は一対比較法を用いるという方法もあったかと思います。ただし,比較対象が10個あるとなると,それなりに評定してもらう被験者には負担になりかねませんが・・・
No.10903 Re: 同一母集団への複数回の測定後の検定について 【ponpoko】 2009/09/18(Fri) 23:56
波音さん,御返事を有難うございます。
>>>それぞれの色に対する評定値の平均値を比較する(2群の平均値の差の検定を行う)のが常套手段のようですが,〜〜。
やはりそうですか。10×9÷2=45で,45の組み合わせについて,それぞれ対応のあるT検定をする必要があるということですね?
>>>対比較をするとなると,比較の数(検定する帰無仮説の数)が多くなるのでボンフェローニ法のような多重比較法は適さないでしょう。
統計初心者で,ボンフェローニ法といえば,SPSSで分散分析の後に使うという理解しかないのですが,T検定の後に,ボンフェローニ法が使えるのでしょうか。SPSSでできますか。教えて頂けると,助かります。
No.10905 Re: 同一母集団への複数回の測定後の検定について 【波音】 2009/09/19(Sat) 08:02
ボンフェローニ法というのは,有意水準(例えばα=0.05)を帰無仮説の数で割って,その値を有意水準として検定を行うという方法です。
仮にA, B, Cという3つの群の平均値を比較するとしたら:
{A vs B}, {A vs C}, {B vs C}
という3つの比較についての帰無仮説があるわけです。5%水準で検定を行うならば,これを3で割ると0.05 / 3 = 0.017となりますから,この値を有意水準として採用するのです。
とりあえず,(いつものことですが)永田・吉田「統計的多重比較法の基礎」サイエンティスト社を参照されるとよいでしょう。多重比較法は他にもいくつか方法があるので。
No.10906 Re: 同一母集団への複数回の測定後の検定について 【にゃんちゅう】 2009/09/19(Sat) 11:36
順序尺度をt検定するという議論はおいておいて。
SPSSのadvanced statistics のオプションをつけていれば対応のある多重比較ができます。
No.10907 Re: 同一母集団への複数回の測定後の検定について 【ponpoko】 2009/09/19(Sat) 16:13
波音さま
具体的な御説明と本の御紹介を有難うございました。
にゃんちゅうさま
SPSSのadvanced statistics の御紹介を有難うございました。
ところで,今回の調査では,10種類の色彩の好みについて,5件法で回答を求めており,その意味で間隔尺度を採用しているつもりです。順序尺度という理解はどこからくるのでしょうか。私の理解に誤りがあるのか,心配です。是非御教授下さい。
No.10908 Re: 同一母集団への複数回の測定後の検定について 【雁が音】 2009/09/19(Sat) 17:38
> 5件法で回答を求めており
というだけでは,よくわかりません。
1〜5 の番号を呈示して,当てはまるところに○を付けてくださいというようにしたのでしょうか?これなら,一見間隔尺度のように見えるでしょうが,回答者側の判 断で,1と2,2と3の間を等間隔として回答できるとは思えませんね(主観ですから)。また,被験者間でも違いがあるでしょう。このようなことを考える と,間隔尺度とは思えません。
(赤) 好き,やや好き,どちらでもない,やや好き,好き (青)
のように,選択肢の言葉を添えての回答を求めたとすれば,順序尺度でしょう。
それとも,別の聞き方をしたのでしょうか?
No.10912 Re: 同一母集団への複数回の測定後の検定について 【ponpoko】 2009/09/19(Sat) 22:39
雁が音さま
御回答有難うございます。
大変勉強になります。
今回の質問紙では,等間隔のスケールの上に,
1.全く好きではない,2.好きではない,3.どちらともいえない,
4.好きである,5.大変好きである
というふうに,数字と言葉を入れています。
10色についてそれぞれ数字と言葉を添えた聞き方をしました。
(赤)1.全く好きではない,2.好きではない,3.どちらともいえない,
4.好きである, 5.大変好きである
(青)1.全く好きではない,2.好きではない,3.どちらともいえない,
4.好きである, 5.大変好きである
(黄)1.全く好きではない,2.好きではない,3.どちらともいえない,
4.好きである, 5.大変好きである
・ ・ ・ ・
・ ・ ・ ・
・ ・ ・ ・
私はこれは間隔尺度だと思っていたのですが,違うのでしょうか。
是非とも御教授下さい。
また,私の質問の仕方が順序尺度だとするならば,今回の場合,間隔尺度にするための質問の仕方とはどのようなものでしょうか。
これも教えて頂けると,大変有難いです。
宜しくお願い致します。
No.10913 Re: 同一母集団への複数回の測定後の検定について 【雁が音】 2009/09/19(Sat) 22:59
> 私はこれは間隔尺度だと思っていたのですが,違うのでしょうか。
違いますね。なぜ間隔尺度と思われたのかわかりませんが,間隔尺度とは間隔に意味がある尺度ということで,1と2,2と3の間隔が等しいということです。それが保証されなければ,間隔尺度ではありません。
> 間隔尺度にするための質問の仕方とはどのようなものでしょうか
間隔尺度は,客観的な測定器・測定尺度で測られていないといけません。
例 えば,重さを量るとき,ゴム紐で測ってその伸びで主さを測ろうとする場合,物理学で習ったかと思いますが,ゴムののびの長さは物体の重さ(物理学用語で言 えば質量)に比例しません(ギリギリに近い重さを量ると,ゴムは質量に比例して伸びきることができません)。よって,この場合は,間隔尺度とは言えませ ん。質量と伸びが比例する領域で測られたものは間隔尺度で測られたデータといえるでしょうけど。バネばかりなどはゴム紐で測るよりは質量と伸び(測定値) が直線関係にある範囲が広いでしょうが(少なくとも,例えば体重を測る範囲においてということ)。
この例と比較して,あなたの測定値は,間隔尺度と言えるでしょうか?ご自分で評価してみてください。
No.10914 Re: 同一母集団への複数回の測定後の検定について 【ponpoko】 2009/09/19(Sat) 23:34
雁が音さま
早速の御回答,有難うございました。
厳密に考えると,私のやり方は順序尺度になるのですね。
何となく理解しました。
私は心理学の勉強をしているのですが,この分野の論文を読んでいると,私と同様の質問紙のつくり方をしていて,それを間隔尺度と考えてt検定をしているものがたくさんあります。
特に古い論文はその傾向が強いように思います。
そう思うのは私の勉強不足でしょうか?
でもそんな気がする・・・。
そのため,雁が音さんの御指導には目から鱗,でも頭が混乱。
どうしよう!?
もう一度よく考えてみます。
まずは大変有難うございました。
No.10915 Re: 同一母集団への複数回の測定後の検定について 【ノンパラ】 2009/09/20(Sun) 09:58
ponpoko さんの質問紙の評定が順序尺度か否かということに関してですが,心理学に限って言えば,間隔尺度として通用していると思います。
確かに間隔尺度の定義に沿って厳密に考えれば,
1.全く好きではない,2.好きではない,3.どちらともいえない,
4.好きである, 5.大変好きである
これを間隔尺度とするのが強引であるという考え方も納得するところがあります。
とは言っても,心理学の慣例ではやはり間隔尺度でまかり通っています。
そして,ある程度の確からしさがあるからこそ,慣例としてつづいてきたのではないかな,とも思います。
慣例に従うか,原理(定義)に従うかは,ponpoko さんの判断になりますが,私は間隔尺度でも問題はないかと思います。
ちなみに,私も心理学の人間です。
No.10916 Re: 同一母集団への複数回の測定後の検定について 【ひの】 2009/09/20(Sun) 10:44
自然科学をやっている者からすると,これを間隔尺度だというのは全くのデタラメだと感じますね。統計処理の都合上間隔尺度として扱っているだけでしょう。
No.10918 Re: 同一母集団への複数回の測定後の検定について 【ponpoko】 2009/09/20(Sun) 11:53
ノンパラさま
ひのさま
アドバイスを有難うございます。
研究分野によって統計の理解の仕方や用い方が全く違うということを,改めて認識しました。
因子分析においても,主成分分析,主因子分析のいずれが妥当かという論争があり,分野によって見解が全く異なりますね。
私はあくまでも心理学の立場の人間なので,ノンパラさんの解釈を拝見すると,とても安心します。
原理,原則を十分に知りつつ,心理学の慣例に従う姿勢が大事だと思いました。
有難うございました。
これで本当にスッキリしました。
No.10919 Re: 同一母集団への複数回の測定後の検定について 【にゃんちゅう】 2009/09/20(Sun) 12:43
間隔尺度か順序尺度かという問題は,心理学か自然科学かの問題ではないです。
科学かどうかの問題で,ひのさんのおっしゃるとおり「順序尺度であるが,間隔尺度とみなして処理する」というのが現状です。
No.10920 Re: 同一母集団への複数回の測定後の検定について 【雁が音】 2009/09/20(Sun) 14:13
> 私はあくまでも心理学の立場の人間なので,ノンパラさんの解釈を拝見すると,とても安心します。
> 原理,原則を十分に知りつつ,心理学の慣例に従う姿勢が大事だと思いました。
それでよいのでしょうかね。非常に疑問を感じます。そもそも,順序尺度としてノンパラメトリック検定をやればよいだけの話ではないかと思います。”心理学の慣例”に反しているからと言う理由でリジェクトされるようなものではないでしょう。
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