No.10857 分散分析と多重比較  【エリ】 2009/09/12(Sat) 12:11

はじめまして。どうぞよろしくお願いいたします。
共分散分析と多重比較をマニュアル本を見ながら行っています。

2点質問があります。

まず,2元配置(対応のない因子と対応のある因子)の分散分析と多重比較の手順についてです。
教育を行った群を介入群,何もしない群を対照群としました。
その効果の測定をA,B,Cの3尺度(スケール)を使用し,介入前・後・3ヵ月後の3時期に測定しました。検定は,一般線形モデルの反復測定を行いました。
その結果,B尺度で交互作用があるとでました。次に,介入・対照群分けて,一元配置分散分析として,B尺度の介入前・後・3ヵ月後の多重比較をするため,ボンフェローニの多重比較を行いました。
その結果,介入群の介入前と3ヵ月後に有意差がありました。
これらの手順は統計的に正しいのでしょうか?

2点目ですが,上記の群にD尺度(順序尺度)を使用し,上記同様の3時期に測定をしました。検定は,フリードマン検定です。
その結果,a項目に有意差があったため,さらにWillcoxonのt検定を介入前を対照群として,前と後,前と3ヵ月後のペアで行いました。
そ の結果の取り扱いについてなのですが,有意確率0.048<0.05とでましたが,マニュアル本ではボンフェローニの不等式を利用して,有意水準を 0.05÷2(仮説の数)とするようにと書かれてありました。そうすると,この場合は有意水準が0.025であり,有意確率0.048>0.025とな り,どの組み合わせにも差があるといえなくなります。
これらの手順は統計的に正しいのでしょうか?また,もしこの手順が正しいとすれば,論文には”フリードマン検定では有意差があったが,多重比較によりWillcoxonのt検定を行った結果,有意差がなくなった”というようなことを書くのでしょうか?

長文になって申し訳ありませんが,可能な範囲でご教示お願いします。

No.10859 Re: 分散分析と多重比較  【波音】 2009/09/12(Sat) 21:40

分かる部分だけですが,,,

1点目について,説明変数がgroup(1: 介入群, 2: 介入なし群),time(1: 介入前, 2: 介入後, 3: 3ヵ月後)という2つの要因があるようですが,subjects(被験者No.)も変量効果としてモデルに組み込む必要があるでしょう。

モデル式:

   Y = group + time + subjects (time, subjectsは変量効果)

Rのlme()風に書くならば:

 eins <- lme(Y ~ group + time, random=1|subjects) #ランダム切片モデル
 zwei <- lme(Y ~ group + time, random=time|subjects) #ランダム切片・傾きモデル

> 検定は,一般線形モデルの反復測定を行いました。

一 般線形モデルというのは分散分析モデルや回帰分析モデルなどの総称みたいな呼び方ですから検定ではありません。文章で書く場合は「2要因の分散分析モデル として解析した」などと書くと分かりやすいでしょう。そして,一般線形モデルとして扱ったのならば,必ずモデル式を書くことです。

また,いわゆる「対応ありのデータ」は一般線形混合モデルに含まれます。また,この場合は反復測定データというより,経時測定データ,あるいは繰返測定データと表現した方が良いと思います。

> この場合は有意水準が0.025であり,有意確率0.048>0.025となり,どの組み合わせにも差があるといえなくなります。

ボンフェローニは帰無仮説の数が多い場合に保守的である,という問題点(欠点)がありますから,その点も含めて考えた方がよろしいかと思います。

ただ,書き方としては「〜では有意であったが,多重比較をした結果有意でなかった」というのは冗長で,素直に「5%水準にボンフェローニの補正を加えてt検定を行った結果,A群とB群・・・は有意であった(なかった)」というように書けばよろしいかと。

No.10865 Re: 分散分析と多重比較  【エリ】 2009/09/13(Sun) 17:02

波音 様

早速お返事いただきまして,ありがとうございます。
疑問が解決しました。本当にどうもありがとうございます。
また質問があるのですが,教えていただけますでしょうか?

説明変数としてsubjects(被験者No.)があることをまったく考慮していませんでした。
以下のように解釈しましたが,正しく理解しているかどうかご指導お願いします。

個体間要因
教育
個人差

個体内要因
時間
交互作用(教育×時間)
交互作用(時間×個人差)

2群間に主効果,交互作用のいずれかに有意差がみられた場合,どのような差かを確認するため,教育,時間,個人差を要因とした繰り返しのない3元配置分散分析を行うということになる。

このように理解しましたが,正しいでしょうか?
すみませんが,よろしくお願いします。

No.10866 Re: 分散分析と多重比較  【波音】 2009/09/13(Sun) 19:11

> 2群間に主効果,交互作用のいずれかに有意差がみられた場合

というのが私には分かりま せん(^_^;) 主効果というのは,言い換えればある要因単一の効果のことです。Groupという変数が1つの要因ですから,主効果があるというのは Groupが応答変数Yの変動をうまく説明している(2群の平均値に差がある)ということを意味しています。

また,モデル解析というのは複雑なモデルから単純なモデルへとしていくのが基本ですから,まずは交互作用項が有意であるかどうかを見なければなりません。だから,3要因の分散分析ならばA:B:Cという3次の交互作用が有意であるかをみることになるのです。

> 教育,時間,個人差を要因とした繰り返しのない3元配置分散分析

教 育というのはGroupで,個人差というのはSubjectsのことですね? このように解析するなら,先ほど述べたようにモデルeinsとモデル zweiのどちらが適切なモデルかを比較することになるでしょう。つまり,時間という要因を変量効果として扱うかどうかということです。

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経時測定データの解析に関する日本語の本は少ないですが,最も入門的なものとして:

   藤越ほか「経時データ分析」オーム社(2008)

という本があります。

No.10873 Re: 分散分析と多重比較  【エリ】 2009/09/13(Sun) 21:28

波音 様

ご回答ならびにご指導ありがとうございます。
現在,統計の基礎がないのに応用編に突入している状況のため,かなり苦しいところですが,なんとか整理してまとめていこうと思います。
ご丁寧に参考本のご紹介をしていただき,ありがとうございます。
また何かありましたら,よろしくお願いいたします。

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