No.09774 GARCH モデル  【のぼりん】 2009/04/27(Mon) 23:34

はじめまして。 ハル「フィナンシャルエンジニアリング」を独習している社会人です。

同書によると,金融資産の分散 σ^2 に関する GARCH(1,1) モデルは,
  (σ_n)^2=γV_L+α(u_{n-1})^2+β(σ_{n-1})^2
と 書けるそうです。 ここに,n は離散時間,V_L は長期の分散率,α+β+γ=1 で,u_n は明記されていませんがホワイトノイズだと思われます。 このモデルは,分散 V が以下の確率過程に従うモデルと同値であり,そこでは時間は日数で計測されるとしています。
  dV=γ(V_L−V)dt+α√2Vdz
z は,おそらくブラウン運動(ウィーナ過程)だと思われます。

こ の同値性は書籍中で証明されず,章末問題に回されていますが,回答がありません。 章末問題ではさらに,時間を年単位に計測する場合の確率的分散はどうなるかも聞かれ,ヒントには,u_{n-1} は平均 0,分散 (σ_{n-1})^2 の正規分布に従うと仮定でき,また,(u_{n-1})^2 と (u_{n-1})^4 の平均は夫々 (σ_{n-1})^2 と 3(σ_{n-1})^4 だとしています。

なお,本には,u_{n-1} は資産価格の収益,V は資産価格等の記述もあり,u,z 等の記号の解釈は,私が間違っている可能性もあります。

この証明(前半・後半とも)はどうやるのでしょうか? 概要でも構いませんので,ご教示いただけると助かります。

No.09780 GARCH モデル(補足)  【のぼりん】 2009/04/29(Wed) 04:53

この本は通俗解説書ですので正確な記述がなかったのですが,ネット検索等の結果,背景等が多少わかってきました。

先ず,S_n を市場変数,I_n を n 期の情報集合として,離散時間モデルは
   u_n=(S_n−S_{n-1})/S_{n-1}
   u_n|I_{n-1} 〜 N(0,(σ_{n-1})^2)
   (σ_n)^2=γV_L+α(u_{n-1})^2+β(σ_{n-1})^2   …[1]
と表わされ,また連続時間モデルは,B_{(1)t},B_{(2)t} をブラウン運動として
   dS_t/S_t=√V_t・dB_{(1)t}
   dV_t=γ(V_L−V_t)dt+α√2V_t・dB_{(2)t}   …[2]
と表わされるものの様です。 両モデルで,σ^2 と V が対応します。 また,市場変数の収益率は無視しています。

こ こで,[1]式で時間間隔 Δt を明示した式を構築し,Δt→0 とすると[2]になる(確率収束?)模様です。 この時間間隔を明示した式がどの様なものか,また,[2]右辺最終項 α√2V_t・dB_{(2)t} がどの様に計算されるのかは,残念ながらわかりませんでした。 どうやら,Nelson 論文(1990)あるいは Drost&Werker 論文(1996) に記述があるらしいのですが,入手できませんでした。

本のヒントにある (u_{n-1})^4 の平均等をどこで使うのか,見当がつきません。 概要で結構ですので,どうかご教示下さい。

No.09798 Re: GARCH モデル  【birei】 2009/05/02(Sat) 13:03

ファイナンスは知りませんので用語はわかりませんが,結論は
dV=γ(V_L−V)dt+α√2Vdz
このVの時刻tでの期待値や分散がわかればよいのでしょうか?

No.09804 Re: GARCH モデル  【のぼりん】 2009/05/02(Sat) 20:02

birei さん,ご参加ありがとうございます!

dV=γ(V_L−V)dt+α√2Vdz (上の 〔2〕)自体は普通のオルンシュタイン・ウーレンベック過程ですから,期待値や分散は計算できます。
離散的確率過程である GARCH(1,1) 過程 〔1〕 の時間刻みをどんどん小さくしていくと,何らかの収束の意味で〔2〕 になる様なのですが,それをどう示せばよいか,ご教示下さい。
ファイナンスの演習問題ではありますが,どうぞよろしくお願いします。

※ 過日,大型書店や古本屋をあちこち回ってみましたが,質問内容を取り扱った本は見当たりませんでした。 (хх)

No.09806 Re: GARCH モデル  【birei】 2009/05/03(Sun) 17:51

疑問点と質問です
dV=γ(V_L−V)dt+α√2Vdz
これを逆に差分方程式に書き換えると  (n+1)はn+1時 として
V(n+1)-V(n)=γ(V_L−V(n))+α√2V(n)ε(n+1)・・・・(1)

(1)をリスケールすると,dV=γ(V_L−V)dt+α√2Vdz になるのは自明です。

或いは(1)式を確率差分方程式で解いたV(n)を出し,それからリスケールして・・・とお考えでしょうか?(可能ですが,余りしないかと)

不明点は何故モデルが(1)式になるかであってリスケールの問題ではない気がします。

確答する経済モデル(別に何でも構いませんが)からランダムウオークを使って(1)式に持って行くことが問題の意味ではないかと推測します。
となると,数学の問題では無い…かもしれません。 まず,
1)対称or非対称ランダムウオークで確率差分方程式を構成する。…題意は多分(1)式になる事を確認する事。
2)確率差分方程式(でなくても構いませんが)をリスケール(ブラウン運動化or連続時間化)する。
3)確率微分方程式を解く(これは,お出来になると推測します)

1)2)3)は夫々別個の問題と考えています。
私はモデルを知らないので,のぼりんさんの記述から考えると,U(n)=σZ(n)。
これは,
>u_{n-1} は平均 0,分散 (σ_{n-1})^2 の正規分布に従うと仮定でき,また,(u_{n-1})^2 と (u_{n-1})^4 の平均は夫々 (σ_{n-1})^2 と 3(σ_{n-1})^4 だとしています。

U(t)=σW(t)としてみると,伊藤の公式でW^2やW^4からこの通りかと(Wはウイーナ過程です)。
ただモデルの設計上何で登場してきたかは不明ですが…
モデルに関して詳しく調べた方が良い気がします。

No.09809 Re: GARCH モデル  【birei】 2009/05/03(Sun) 22:06

>dV=γ(V_L−V)dt+α√2Vdz は普通のオルンシュタイン・ウーレンベック過程…

シュプリンガー本でエクセンダールが書いた本に「確率微分方程式」があります。
最終章に数理ファイナンスが多少載っていますが,これを読んでみると全く違う式が書かれています。それに,モデルその物も食い違っています。
dZにVは付いていませんし,1次元のウイーナー過程です(都合上2次元表現ですが)。
また,別の確率差分方程式の本にもεにVは付かない状態で1次元としてオルンシュタイン・ウーレンベック過程の説明がされてます。

流派があるのか,そちらの記述ミスか誤記はありませんか?

No.09810 Re: GARCH モデル  【のぼりん】 2009/05/03(Sun) 23:18

birei 様

ご指摘の通り,〔2〕はオルンシュタイン・ウーレンベック過程ではありませんでしたね。 申し訳ありませんでした。 検索している中で,この様な表現をしているサイトがあり考えなしに書いてしまいましたが,全く別物でした。 すみませんです。

こ の問題は,連続形(確率微分方程式)・離散形(差分方程式)のファイナンス的な意味を答えることではなく,dV=γ(V_L−V)dt+α√2Vdz を離散形に書き換えても,貴(1)にならないことを示すのが題意です。 これを受け,それをお聞きしたいのが質問の趣旨です。 質問の趣旨は数学的に解釈いただいて構いません。 ファイナンスは完全に無視していただいても結構です。 エクセンダールやカラザス・シュレーブに登場するファイナンスの確率微分方程式は,質問でモデル化している対象と異なるので,これと形状が異なっていま す。

ファイナンスの言葉を使わず質問の趣旨を書きますと,最初に与えられる GARCH(1,1) 過程は,{ε_n} を標準正規分布に従く独立確率変数列として,
   V_n=γV_L+{α(ε_{n-1})^2+β}V_{n-1}   …〔1〕
と表わされる様です。 ここで,V_n は ε_n と独立です。 ここで,時間間隔を 0 に近付けると,何らかの収束(確率収束?)の意味で,
   dV_t=γ(V_L−V_t)dt+α√2V_t・dB_t   …〔2〕
となる様です。 これをどの様にして示すのか,お聞きしたいのです。 ここで,「…様です」と煮え切らない言い方をしたのは,本の記述が曖昧なため,自分で検索等で解釈したものだからです。(本の記述は当初質問どおりであり,曖昧です。)

〔1〕 の過程を 2 期重ねた過程は,〔1〕 の形にならず,GARCH(1,1) 過程ではありません。 従って,〔1〕 の過程の期間を単純に短くして類推で連続形にしても意味がありません。 そのあたりをどう処理し,〔2〕 に持ち込むのか分かりません。 検索すると,
◆ Nelson, D.B. (1990): ARCH models as diffusion approximations, Journal of Econometrics 45, 7-38.
◆  Drost, F.C. and Werker, B.J.M. (1996): Closing the GARCH gap: Continuous time GARCH modeling, Journal of Econometrics 74, 31{57.
に出ている様なのですが,どちらも手に入りませんでした。

どうかよろしくお願いします。

なお,2 日弱ネット環境から遠ざかりますが,ご容赦下さい。

No.09819 Re: GARCH モデル  【birei】 2009/05/06(Wed) 16:55

現在の情報ではSDI(確率微分方程式)に持ち込む事は無理です。
《「確率項はココです」とハッキリ人に示せる事が先決です》
有名なモデルの様ですので,その世界では常識化された話しなんだとは思います。

のぼりんさんの情報はウイーナ過程の情報でなく,多分最尤法でパラメータを求める情報です。ですので,ε_{n-1}がWで代用される状況でも無く,ノイズでも無いです(と思う)。
私 の方でもgoogleでらしそうな物GARCHマルコフスイッチングモデル(確率差分その物?)がありました。さっと見た感じ(ε_{n-1})は,確か に外来要因ですが,それを設定するのは元のパラメーターが未知だからε_{n-1}のN(0,1)型統計量に持ち込んで最尤法で点推定する話だと思いま す。
簡単に言うとdX=μdt+σdW のμとσを最尤法で推定しましょう。所が作要素その物がμdt+σdW 系から出ているかどうかは何処にも情報が無いのでμXdt+σXdWなのかμdt+σdWなのかも私にはわからないと言う事です。
「数学の問題では無い」といった意味はそういう意味です。

No.09821 Re: GARCH モデル  【のぼりん】 2009/05/06(Wed) 19:01

不完全な情報に基づく質問に対し,色々とご教示いただきありがとうございました。
暫く考えてみます。

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