No.09427 嗜好性の試験について  【MOE】 2009/03/04(Wed) 17:27

適切な検定方法をお教えください。動物にA, Bの2つの溶液を提示し,どちらの溶液を好むかという試験を行っています。たとえば,
動物1はA 7ml, B 2ml
動物2はA 5ml, B 3ml
動物3はA 4.5 ml, B 4ml
飲 んだという結果が出た時,この動物群はA液をB液より好んでいるかどうかを検定したいのです。この場合,飲んだ量についてA, B間でpaired t-testを行う方法があるのではないかと思いますが,その他に,A液を飲んだ比率(動物1 0.778, 動物2 0.625, 動物3 0.529)について,期待値0.5と比較する検定法はないのでしょうか?お教えください。

No.09428 Re: 嗜好性の試験について  【青木繁伸】 2009/03/04(Wed) 17:47

paired t-test は,関連二標本の差を計算し,その母平均が0であるかの一標本t.testと同じです。割合を求めて,0.5 との差を比較するというのは,割合の母平均が0.5であるかの,一標本t.testです。結局,一標本t.test という点では同じ検定手法になりますが,検定に使うデータ(差か,割合か)と母平均(0か,0.5か)の違いです。どちらがあなたが言いたいことを表す データかを吟味すればよいのですね。
> y
A B
1 7.0 2
2 5.0 3
3 4.5 4
> t.test(y$A, y$B, paired=TRUE)

Paired t-test # 対応のある t 検定

data: y$A and y$B
t = 1.8898, df = 2, p-value = 0.1994 # この後の★の p-value と同じ値
alternative hypothesis: true difference in means is not equal to 0
95 percent confidence interval:
-3.191875 8.191875
sample estimates:
mean of the differences
2.5

> t.test(y$A-y$B, mu=0)

One Sample t-test # 差を取って,一標本 t 検定

data: y$A - y$B
t = 1.8898, df = 2, p-value = 0.1994 # ★
alternative hypothesis: true mean is not equal to 0
95 percent confidence interval:
-3.191875 8.191875
sample estimates:
mean of x
2.5

> t.test(y$A/(y$A+y$B), mu=0.5)

One Sample t-test # A の割合の母平均が 0.5 かの一標本 t 検定

data: y$A/(y$A + y$B)
t = 1.9918, df = 2, p-value = 0.1846 # この後の●の p-value と同じ値
alternative hypothesis: true mean is not equal to 0.5
95 percent confidence interval:
0.3328614 0.9552650
sample estimates:
mean of x
0.6440632

> t.test(y$A/(y$A+y$B)-0.5, mu=0)

One Sample t-test # A の割合-0.5 の母平均が 0.0 かの一標本 t 検定

data: y$A/(y$A + y$B) - 0.5
t = 1.9918, df = 2, p-value = 0.1846 # ●
alternative hypothesis: true mean is not equal to 0
95 percent confidence interval:
-0.1671386 0.4552650
sample estimates:
mean of x
0.1440632
> t.test((y$A-y$B)/(y$A+y$B), mu=0)

One Sample t-test # 割合の差の母平均が 0.0 かの一標本 t 検定

data: (y$A - y$B)/(y$A + y$B)
t = 1.9918, df = 2, p-value = 0.1846 # ●
alternative hypothesis: true mean is not equal to 0
95 percent confidence interval:
-0.3342773 0.9105300
sample estimates:
mean of x
0.2881264
> t.test(y$A/(y$A+y$B), y$B/(y$A+y$B), paired=TRUE)

Paired t-test # 2 つの割合の対応のある t 検定

data: y$A/(y$A + y$B) and y$B/(y$A + y$B)
t = 1.9918, df = 2, p-value = 0.1846 # ●
alternative hypothesis: true difference in means is not equal to 0
95 percent confidence interval:
-0.3342773 0.9105300
sample estimates:
mean of the differences
0.2881264
結 局の所,ちゃんと指定しさえすれば,対応のあるデータでも一標本データでも同じ結果になる。違うところは,どのようなデータを使うかと,そのデータの母数 は何かということ。例えば,原データの差を取る場合に,A=30,B=20というデータ対では10, A=3,B=2というデータ対では1にしかならない。割合を取った場合には,A の割合はいずれも0.6になる。どっちが望ましいのでしょうか?あるいは,どっちも望ましくない?

No.09429 Re: 嗜好性の試験について  【MOE】 2009/03/04(Wed) 19:01

早速のご返答ありがとうございます。
まず,一標本t検定のことは完全に見落としておりました。差か割合か については,今回のような実験では各動物で総飲量が異なるので,割合で考えるのが適当であると考えています。その点から行くと「A の割合の母平均が 0.5 かの一標本 t 検定」がふさわしいのではないかと思い,これを検討したいと思います。当方は統計の計算については十分な知識を持っていないので,「A の割合の母平均が 0.5 かの一標本 t 検定」と「2 つの割合の対応のある t 検定」でも同じp-valueが出るというのは意外でした。しかし,Aの割合が決まるとBの割合は自ずから決まってしまうので,それらを比較する「2 つの割合の対応のある t 検定」を行うことについて違和感を感じますが,これも検定方法としては認められるものなのでしょうか?お教えいただければと思います。

No.09430 Re: 嗜好性の試験について  【青木繁伸】 2009/03/04(Wed) 19:05

> しかし,Aの割合が決まるとBの割合は自ずから決まってしまうので,それらを比較する「2 つの割合の対応のある t 検定」を行うことについて違和感を感じますが,これも検定方法としては認められるものなのでしょうか?

「2 つの割合の対応のある t 検定」は,「A の割合の母平均が 0.5 かの一標本 t 検定」と同じ結果になっていたでしょう?どれも,同じ検定なんですよ。

No.09431 Re: 嗜好性の試験について  【MOE】 2009/03/04(Wed) 19:28

どうもありがとうございました。大変参考になりました。

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