No.08980 平均値と標準偏差について  【Juha】 2009/01/21(Wed) 16:34

同僚の学会発表用原稿を読んでいて疑問に思ったことなのですが,

 平均値±1SD(2SD)という表記で 正規分布集団が対象であれば1SD,2SDでそれぞれ68.27%,95.45%のデータが含まれますが,正規分布しない標本,若しくはするかどうか定か でない標本に対して平均値±1SD(2SD)という表記は同じ解釈が出来るのでしょうか?

 それと,もしこの解釈が非正規分布標本で成り立たない場合,平均値±SDという表記自体も意味を成さないものになるのでしょうか?

 平均値,SDは正規分布,非正規分布に依存するわけではないので表記そのものには意味があるとは思うのですが,いかがでしょうか?

No.08983 Re: 平均値と標準偏差について  【青木繁伸】 2009/01/21(Wed) 18:38

> 正規分布しない標本,若しくはするかどうか定かでない標本に対して平均値±1SD(2SD)という表記は同じ解釈が出来るのでしょうか?

表記することは出来ますが,当然のことながら,正規分布の時と同じように解釈することは出来ません。実際に,データの個数を数えてみれば分かることです。

> もしこの解釈が非正規分布標本で成り立たない場合,平均値±SDという表記自体も意味を成さないものになるのでしょうか?

上にも書いたように,正規分布の時と同じように解釈することはできないので,表記自体も,当然のことながら,意味を持たないですね。

> 表記そのものには意味があるとは思うのですが

何を持って「意味がある」とするかによるでしょう。

正規分布に従わない場合には,平均値±1SDの範囲に68.27%のデータが含まれるとはいえない---->意味がない

正規分布に従わない場合でも,同じ分布(例えば指数分布とかワイブル分布)に従う場合,平均値が違う事によって(またどれくらい違うかによって)分かることもある---->意味がある。

し かし,そんな場合でも,例えば指数分布なら指数分布を表現するためのパラメータがある。それはλで表される。平均値は1/λだし,分散は1/λ^2。逆に 言えば,指数分布の平均値を求めれば,その逆数がλであるということ。平均値が違えばλは違う。そのほかの分布も,それぞれの分布を決めるパラメータを持 つ(一つのことも二つのことも,三つ以上のこともある)。正規分布を決めるパラメータは平均値と標準偏差の二つであるというだけのこと。そして,そのパラ メータから何が分かるかというのも,分布によって異なる。

なんでもかんでも正規分布,正規分布なら平均値と標準偏差というのが誤りであることは明らか。

No.08986 Re: 平均値と標準偏差について  【Juha】 2009/01/21(Wed) 22:28

ありがとうございます。
やはり,分布形式が異なる物に対して正規分布前提の物を適用することは無理がありますよね。
な ぜ,このような質問をさせて頂いたかというと,同僚の原稿だけではなく学会誌に掲載されている(査読され受理されている)論文にも,あまりに簡単に平均 値±SD表記が載っていて。これを書いた人は皆,平均値±SDでデータの存在を言おうとしているのだろうか?どう見ても正規分布するとは思えないデータ (意図的に範囲を決めて抽出したスコアの分布に対して,この表記を載せていたり)にこう記載することは,正規分布しない標本に対しても68%のデータが含 まれていると理解してほしいと考えているのか?と言うような疑問が生じてきたからです。

しかし,青木先生の説明にもありますように,やはり標本分布形式の検討を行ってからどのような表記をするか考えるべきですよね。

自分の身の回りをみても(医療系ですが)なんでも平均値±SDを使ってしまう傾向が多いみたいです,やはりその後ろにあることを吟味しなくてはいけないと再確認させて頂きました。

同僚にはそれとなくどういう意図なのかを改めて確認してみます。
ありがとうございました。

No.08987 Re: 平均値と標準偏差について  【青木繁伸】 2009/01/21(Wed) 22:59

> 同僚にはそれとなくどういう意図なのかを改めて確認してみます

まあ,理解されない試みでしょうね(^_^;)

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