No.07112 正しい統計学用語  【駆け出し統計教員】 2008/07/20(Sun) 01:09

青木繁伸先生のHPを拝見していて,『カイ二乗分布に従う検定統計量を使う検定を「カイ二乗検定」と呼んだり,F 分布に従う検定統計量を使う検定を「F 検定」と呼んだりするのはやめてほしい。』とのご指摘があったのですが,これは例えば,カイ二乗分布に従う検定統計量を使う検定がカイ二乗検定としておな じみの「適合度の検定」&「独立性の検定」だけではないからでしょうか?
統計を学ぶ者として,また,統計を教える立場として問題意識を掻 き立てられるフレーズでした.是非,その意味するところをお教え頂けたらと思います.また,統計学のテキストでよく見受けられる「変な表現(ex.有意差 × → 差は有意である○)」や不適切な検定・分析手法の名称などがあれば,併せてご指摘願いたいと思います.

No.07121 Re: 正しい統計学用語  【青木繁伸】 2008/07/20(Sun) 07:31

> カイ二乗分布に従う検定統計量を使う検定がカイ二乗検定としておなじみの「適合度の検定」&「独立性の検定」だけではないからでしょうか?

そ うですね。母分散の検定,相関係数の同等性の検定などもカイ二乗分布を使います。混同されるおそれはないものの,これらのどれかを指すためにカイ二乗検定 と略称するのは不適切でしょう。また,一元配置分散分析という名前がちゃんとあるのにF検定と呼ぶのはいかがなものかと思います。

標本の大きさ(サンプルサイズ)と標本数の混同は,よく見られます。
標 本データから求めるとき,不偏分散(変動をサンプルサイズn-1で割る)のことを標本分散,分散(変動をサンプルサイズnで割る)を母分散と呼ぶ事があり ますが,標本から求めたものは分散でも不偏分散でも「標本分散」です。「母分散の推定値としては不偏分散の方が適切である」というのが関係して誤用される のでしょうかね。

ちなみに,Excel で使われている訳語には,おかしなものが一杯あります。

No.07124 Re: 正しい統計学用語  【駆け出し統計教員】 2008/07/20(Sun) 16:05

直々のご回答恐れ入ります.
俗称とまではいかなくても,通称がいつしか一人歩きをしてしまった結果なのでしょうか.少なくともテキストなどではきちんとした名称を使用してほしいところです.
特に初学者の場合,名称だけでも混乱することがあるのでなおさらですね.
とても参考になりました.御礼申し上げます.

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