No.06997 Re: 「対応あるデータ」なのでしょうか? 【青木繁伸】 2008/07/12(Sat) 22:20
50人ずつのデータでも,片方の一人ともう一方の一人が必然的な対応が付いていなければ,対応のあるデータとは言えませんね。
対応のあるデータの典型は,同じ人がA,B両方の授業を受けて評価をしたようなときです。しかし,これはA,Bの授業を同じ条件で受けられないので,実在するデータではあり得ないでしょう。
対 応のあるデータと見なしうるデータは,以下のような状況下で得られたものでしょう。例えば,50人ずつの被検者が,マッチングによって選ばれた被検者な ら,対応のあるデータといってよいでしょう。つまり,性別,年齢(これはたぶん殆ど同じなのでしょうから意味ないでしょうが),学力,その他,つまり A,Bいずれの授業を受けるかだけの違う被検者ペアーならば,それは,同じ人がA,B両方の授業を受けてその差があったかなかったを判定するのと同じと認 められるだろうということです。
> 因子分析をして,平均構造を導入した多母集団の同時分析で因子間の平均の差を見ようとしています
たくさんの項目について調査したとか,潜在因子の差を見たいというなら,それでよいのでしょう。ただし,データの抽出が,先に述べたような原則の下で行われたという前提で。
No.07009 Re: 「対応あるデータ」なのでしょうか? 【ぺんた】 2008/07/13(Sun) 07:58
青木先生,早速のお返事ありがとうございます。
>対応のあるデータの典型は,同じ人がA,B両方の授業を受けて評価をしたようなときです
私 の説明の仕方が不十分だったと思われます。申し訳ありません。(あ)〜(ん)とラベル付けされた50人の被験者がAとBの両方の授業を受ける,ということ でした。(あ)という被験者が,A先生の授業後に「A先生の授業だとやる気が出る」という質問項目に5件法で回答します。その後,B先生の授業を受け, 「B先生の授業だとやる気が出る」という質問項目に5件法で回答します。(この場合,留意事項としてはカウンターバランスでしょうか)
な ぜこのような質問をしたかといいますと,まだ私の研究領域で共分散構造分析が登場していなかった頃,似たような内容(とはいうものの,質問項目ごとに対応 あるデータのt検定をしていました)である学会に投稿したところ,査読者から「異なる質問項目なので対応あるデータとして平均の差の検定はできません」 と,結局,論文が不採択になってしまいました。
「異なる質問項目」というのは「A先生,B先生」(だけ)で,残りは同じ文言でした。査読コメントには改善手法は示されてなく,結局机の引き出しにしまうことにしました。
共分散構造分析を勉強して,そして我々の領域の新たな知見を基にしながら,同一のテーマで論文を書くことにしたのですが,データを取る前に,統計の専門家に確認させていただきたいのです。
どうぞよろしくお願いします。
No.07036 Re: 「対応あるデータ」なのでしょうか? 【ぺんた】 2008/07/15(Tue) 20:04
青木先生,何度も申し訳ありません。しつこいかと思われることを恐れ,書き込みを悩んだのですが,行き詰まっていますので,改めて書き込ませていただきました。
上記の件ですが,やはり対応あるデータとして質問紙を作成することは不可能なのでしょうか?ご教授ください。
No.07037 Re: 「対応あるデータ」なのでしょうか? 【青木繁伸】 2008/07/15(Tue) 21:22
同じ人に2つのものに対する評価を聞くのだから対応のあるデータでよいと思いますけどねぇ。2種類の薬の効き方を 調べるときと同じ。ただ,薬のときも同じで,先に投与した薬と後で投与した薬の効果をみるとき,前の薬の効果が残っている内に後の薬を投与するとか,そも そも,投与自体本来は1回だけしかあり得ないということもある。半数に分けて,前後に投与する薬を入れ替えるとかいうこともある。その辺りを考える必要は あるでしょうね。
2人の先生の授業が終わった後に以下のような効き方をすると,対応のあるデータであることがはっきりするかな(というか,一対比較データなんだけど)。教え方は,実 際に解析する数値としては,(1,2,3,4,5) ではなく (-2,-1,0,1,2) とすれば,対応のあるデータの差を取ったデータになる。数値のおおきいほど B 先生を評価したことになる。平均(中央値)が0かどうかの検定を行えば,それは,対応のあるデータの平均値(代表値)の検定を行ったことになるのでは?
A先生の方が----------------------B先生の方が
遙かにうまい---うまい---同じくらい---うまい---遙かにうまい
1 2 3 4 5
2 人の先生の評価を2人の授業が終わった後に行うのは,後の先生の印象が強いのでバイアスの元になるかも知れないけど,別々にやると,前の先生の評価の時点 ではまだ後の先生の授業を受けていないので評価基準が定まらない(回答が1〜5で,前の先生がよいと思って5を付けたが,後の先生はもっとよかったけど5 以上を付けるわけにいかない等と言うとこともあろうということ)。もう一つの問題点は,別々に「教え方がうまい」という質問に対して5件法で回答をさせる と,差を取ることはできるが差の大小関係を定義できないということがおきること。
薬の評価よりも更に難しい状況にあることは確かだろう。
No.07038 Re: 「対応あるデータ」なのでしょうか? 【ぺんた】 2008/07/16(Wed) 06:37
青木先生
大変丁寧な解説をありがとうございました。すっきりしました。これで前に進めそうです。
ありがとうございました。
No.07044 Re: 「対応あるデータ」なのでしょうか? 【ぺんた】 2008/07/16(Wed) 18:56
青木先生,前に進めると書いておきながら,少し考え込んでしまいました。申し訳ありませんが,ご教授ください。
>平均(中央値)が0かどうかの検定を行えば,それは,対応のあるデータの平均値(代表値)の検定を行ったことになるのでは?
この箇所ですが,これは具体的にどのように行えばよいのでしょうか?SPSSやExcelでも可能でしょうか?
よろしくお願いします。
No.07047 Re: 「対応あるデータ」なのでしょうか? 【青木繁伸】 2008/07/16(Wed) 22:17
記述したようにしてデータを得れば,例えばその観察値が間隔尺度(比尺度)に従うなら,母平均が0の検定を行えばよい。順序尺度なら符号付き順位和検定,それよりもしたなら,符号検定ということでしょう。
少しでも水準の高い測定データが得られるように,測定法(アンケート法)を考えるのが統計学を志すものの役目でしょう。
No.07048 Re: 「対応あるデータ」なのでしょうか? 【ぺんた】 2008/07/16(Wed) 22:22
青木先生,本当にありがとうございました。簡単ですが,失礼します。
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