No.06700 対応のあるサンプルのt検定 【スック】 2008/06/06(Fri) 05:28
少し長い文章になってしまいましたが,どなたかご教授頂ければ幸いです。
統計学で分からないところがある時は,よくこの掲示板を見て勉強しています。
こ
の度は,対応のあるサンプルのt検定の分析についてお尋ねしたく思い,投稿させて頂きました。先月,論文を教育系の国際誌に投稿したのですが,その査読結
果が返ってきて不採用でした。ただし,「分析をやり直したら再投稿してもよい」というようなコメントをもらいました。しかし,査読者からの分析方法に関す
るコメントでどうしても理解できないコメントがあります。
論文では,個人の属性(民族,地理的位置,性別)が“educational
motivation”に与える影響を検証しています。そのため,現地調査では4つのグループを対象に“educational
motivation”に関するアンケートを行いました。4つのグループとは「平野部に住む主要民族」「平野部に住む少数民族」「山岳部に住む主要民族」
「山岳部に住む少数民族」です。そこで分析段階では,個人の属性に関する三つのダミー変数,「民族(主要民族=1, 少数民族=0)」,「地理的位置(平
野部=1, 山岳部=0)」,「性別(男子=1,
女子=0)」,を作りました。そしてこれら3つのダミー変数の他に,さらに別の3つの変数「家庭の経済状況」,「父親の学歴」,「母親の学歴」,の計6つ
の独立変数を作成しました。従属変数は,”educational
motivation”に関する質問項目(4段階評価:とてもそう思う〜全く思わない)から成ります。上記の6つの独立変数を従属変数
(“educational motivation”に関する質問項目の答え)に掛け,重回帰分析を行いました。
この分析に対し査読者のコメントでは,
“There
are only two possibilities in the ethnicity variable(majority or
minority), the geographical location variable(lowland region or
mountain region), the gender variable(male or female). How much
confidence does one have on the regression results of such variables?
Paired-sample t-test may be more meaningful”と指摘されました。
変数「民族」「地理的位置」「性別」とダミー変数が多いことから(6つの独立変数のうち3つをダミー変数が占めている),前半部分の「この重回帰分析の結
果には信頼性に疑問がある」というコメントは分かる気がします。しかし,最後の一文「対応のあるサンプルのt検定のほうが,意義があるかもしれない」とい
うコメントの意味が理解できません。どの変数とどの変数を対応させて比較すれば,良いのでしょうか?
この分析が論文の核となる部分なので,どなたかご回答くだされば感謝いたします。
No.06703 Re: 対応のあるサンプルのt検定 【青木繁伸】 2008/06/06(Fri) 12:08
> Paired-sample t-test
というのは,査読者のチョンボでしょう。主要民族vs.少数民族のような意味的に対応する要因が取り上げられているのでついつい Paired と言ってしまった(本当にわかっていない査読者である可能性もあるけど)。
査読者はこの分析を理解できていないのかも知れない。もっと単純に,民族,地域,性別,経済状況,父母の学歴それぞれで,t検定を繰り返してくれるとわかりやすいのになあと思ったのかも知れませんね。
まあ,それらを全部多変量的に考えたあなたの分析は正しいと思いますが,その前に査読者のために単変量の分析結果(t検定)を加えるというのはいかがでしょうか(確かに,基礎的な分析をせずにいきなり共分散構造分析に走ったりする論文が最近多いような気がしています)。
No.06706 Re: 対応のあるサンプルのt検定 【スック】 2008/06/07(Sat) 04:53
長い文章を読んで回答して頂きありがとうございました。
ここ一週間ずっと考え込んでいたもので,大変助かりました。
「主要民族・平野部・男子」「主要民族・平野部・女子」「主要民族・山岳部・男子」「主要民族・山岳部・女子」「少数民族・平野部・男子」
「少
数民族・平野部・女子」「少数民族・山岳部・男子」「少数民族・山岳部・女子」という8つの組み合わせのグループ毎の「educational
motivation」の平均値は示してあるのですが,ご指摘の通り,もっと分かりやすくするため民族間,地域間,性別間の「educational
motivation」に対するt検定の結果を加えようと思います。そして,その後に重回帰分析の結果を示しておこうと思います。
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