No.06591 異なる2つの環境において、ある生物の個体数を検定したい  【蜻蛉】 2008/05/20(Tue) 13:53

異なる2つの環境AとBにいるある生物の個体数(生息密度)が異なるかどうか検定したいと考えています。

あ る程度生物を想定しないとうまく考えられないと思いますので,環境Aを湿田,環境Bを乾田として,生物をトンボ(1種)とします。このトンボは,個体同士 で集合しあうとか反発するとかなどは一切ないと仮定します。またこのトンボには,十分な認識能力と移動能力があり,どちらの環境が良いかを判断して,瞬時 に移動でき,その環境からは移動しないと仮定します。

帰無仮説は「環境Aと環境Bによって,この生物の生息密度は変わらない」です。

ここで質問です。

1. もしこの環境Aと環境Bが隣合っていて,その周囲にはこの生物が生息する環境がなく,各個体がAかBか選べるようであれば(閉鎖された場所に環境Aと環境 Bしかないような場合),カイ二乗検定で良いと思うのですが,正しいでしょうか?(例えば,閉鎖された空間に100個体いてAには70個体,Bには30個 体という結果が出たような場合です)。

2.もし2つの環境Aと環境Bが離れている場合にはどうすれば良いのでしょうか? ある地域に,環境A,環境B,そして,それ以外の環境がモザイク状にあるようなところを想定しています。そして,この生物は,環境A,B以外の環境にも生息できます。

1 では,各個体の環境選択は,独立な事象として検定したわけです。しかし,2の場合には,カイ二乗はふさわしくないように思えます。というのも期待値をどう 設定して良いか分からないと思うからです。そこで,私としては,その生物を測定する上で適当な単位面積で個体数の調査を繰り返して,t検定(等分散になっ ていたとして)でもすればよいかと思うのですが,いかがでしょうか?

例えば1haを単位面積として,環境A環境Bでそれぞれ10回調査します(10回の調査場所は,ランダムに割り当てるものとして,空間的に近いかどうかなどの影響はないものとします)。

つまり,ここでは,1haに生息する個体数を独立な事象とみなしています。
この検定方法は,いかがでしょうか?

3.2 の検定方法が正しいとして,しかも有意な結果が出るものとします。しかし調査員がうっかりして,それぞれ環境A環境Bを100haずつ1回だけ調査してき たとしたら,検定はできないのでしょうか? この質問は,2の調査方法では有意な結果が出たのに,それより広い面積を調査しても検定できないのが腑に落ち ないからなのです。

自分でも何か大きな勘違いをしているような気がするのですが,コメントを頂ければ幸いです。

No.06592 Re: 異なる2つの環境において,ある生物の個体数を検定したい  【青木繁伸】 2008/05/20(Tue) 14:34

トンボが口がきけるなら,トンボ一匹ずつに「君は環境Aと環境Bのどちらがすきなんだい?」と世論調査をすればよ いですね。好きであることとそこに住んでいることが同じではないこともあるかも知れませんが。100匹のトンボの70匹は環境A,30匹は環境Bにいたの を確認するのと同じ事になるでしょう。このようなデータは,まさに人間様を対象にした世論調査,「あなたは現内閣を支持しますか?」というのと同じデータ ですよね。
とすると,トンボの生息数も内閣支持率と同じ方法で検定できるでしょう。ただ,違うところは,どうやってトンボを捕獲するかですね。環 境A,Bで同じやりかたで捕獲しないといけません。人様ならば,住民基本台帳なり,電話番号で捕まえることができるんですけど,トンボの場合はどうしたら よいやら。

> 調査員がうっかりして,それぞれ環境A環境Bを100haずつ1回だけ調査してきたとしたら,検定はできないのでしょうか? この質問は,2の調査方法では有意な結果が出たのに,それより広い面積を調査しても検定できないのが腑に落ちないからなのです

データの単位というのを考えないといけないだろうと言うことです。
標 本調査のデータは,独立な複数のデータということで,100haを単位としてもそれが複数回なら標本調査のデータとして検定なりなんなりできますが,デー タが一つでは,なんともできません。100haを単位とするか 1ha を単位とするかはデータの持つ精度が違うということでしょう。1000haのデータをとるとき,100ha単位だと10個の(精度が高いかも知れないけど 少ないデータ),1ha単位だと1000個の(精度は低いかも知れないけどたくさんのデータ)どちらが良いのでしょうかね。

No.06593 Re: 異なる2つの環境において,ある生物の個体数を検定したい  【蜻蛉】 2008/05/20(Tue) 15:28

青木様

コメントありがとうございます。

> ただ,違うところは,どうやってトンボを捕獲するかですね。

なるほど。環境がトンボの個体数に直接影響する効果だけでなく,捕獲効率みたいなものを通して間接的に影響する効果があるわけですね。気をつけてみます。

> データの単位というのを考えないといけないだろうと言うことです。

やはり,そうなるのですか。
結局,検定をする以上はデータの頻度分布の形が分からないとだめってことですね。
悶々としていたのですが,すっきりしました。

調査面積と回数については,対象とする生物とか環境とかから考えて適したところ(その分野の人が見て妥当と思ってくれるところ)を考えるしかないのでしょうかね。こちらも気をつけてみます。

ありがとうございました。

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