No.06329 Re: U検定 【青木繁伸】 2008/04/10(Thu) 17:42
そもそも,対応のあるデータですよね。だったら,U検定はできませんね。
その論文は英語で,Wilcoxon signed rank test って書いてあったんじゃないですか。
マン・ホイットニーの U 検定と同じ Wilcoxson test は,Wilcoxon rank sum test です。
単に Wilcoxon test ウィルコクソン・テストっていうと,どちらの検定なのか訳がわからなくなりますね。
> 採用基準がスコア5の症例だったので,プレ値は全例5です。この場合U検定は不適切かと思うのですがいかがでしょうか。
プレ値(治療前の評価値)が全部5だからU検定が不適切なのではありません。
対応のある Wilcoxon signed rank test なら,検定法を見ればわかるとおり,治療前の評価値が全部同じ値であっても何の問題もありません。
最近の他のスレッドにも,Wilcoxon rank sum test のサンプルサイズの計算についての質問がありました。そのときの回答は,対応のないt検定のサンプルサイズを計算して,サンプルサイズを π/3 倍するということです。
Wilcoxon signed rank test のときは,対応のあるt検定のサンプルサイズを計算して,サンプルサイズを π/3 倍すればよいのです。
計算は R なら,power.t.test 関数を使えばいいです。
No.06330 Re: U検定 【ふにゃ丸】 2008/04/10(Thu) 18:03
論文にはMann-Whitney U-testsと書いてありました。
>治療前の評価値が全部同じ値であっても何の問題もありません。
大変勉強になりました。その場合,統計的に意味のある差と医学的に意味のある差がかなり乖離していくように感じます。
どうもありがとうございました。
No.06331 Re: U検定 【青木繁伸】 2008/04/10(Thu) 18:39
> 論文にはMann-Whitney U-testsと書いてありました。
対応のあるデータなのにですか?
査読委員は何をしているのでしょう。読者も読者,誰もクレームを付けないのでしょうか。
> その場合,統計的に意味のある差と医学的に意味のある差がかなり乖離していくように感じます
なぜですか?
統計的に意味のある差と医学的に意味のある差が乖離するのは,最初みんなが5であるということが原因ではないでしょう?
No.06332 Re: U検定 【青木繁伸】 2008/04/10(Thu) 18:49
> 対応のある Wilcoxon signed rank test なら,検定法を見ればわかるとおり,治療前の評価値が全部同じ値であっても何の問題もありません。
むしろ,この場合は,治療前の評価値がまちまちだった方が困ります。
5 が2になったのと,4が1になったのと,変化が両方とも -3 ですが,変化が同じであるとは言えないことがあります。つまり,差を取ってその差に順位を付けられないので,Wilcoxon signed rank test が使えない。もっと検出力の弱い,sign test しか使えないのですからね。
No.06333 Re: U検定 【raraki】 2008/04/10(Thu) 21:14
引っ掻き回すようで申し訳ないのですがどうも意味がよくわかりませんので確認させていただけますでしょうか。
1)
> 治療のプレとポストで重症度を5段階で評価(5が重症,1が軽症)して治療により改善したかどうかを見る
というのは,渡された論文での話でしょうか? それともこれからふにゃ丸さんたちが分析したい症例の話でしょうか?
2)
> U検定を行っている論文を与えられて,これをもとにサンプルサイズを計算するように言われた
す でにpublishされた論文でしたら症例数は既知なので,サンプルサイズの計算というのがよくわかりません。当該論文では記述のなかった検出力を求める ように言われたのでしょうか? それとも1)でお尋ねしたように,これから分析したい症例で所定のα,power,effect size,および症例:対照例数の比を満足し得る症例数設計の話でしょうか?
読点の位置を変えてみました。A, Bのいずれの意味なのでしょう?
A:「治療のプレとポストで重症度を5段階で評価(5が重症,1が軽症)して治療により改善したかどうかを見るためにU検定を行っている論文を与えられて,これをもとにサンプルサイズを計算するように言われた」
B: 「治療のプレとポストで重症度を5段階で評価(5が重症,1が軽症)して治療により改善したかどうかを見るために,U検定を行っている論文を与えられてこれをもとにサンプルサイズを計算するように言われた」
ついでで申し訳ありません。
> 査読委員は何をしているのでしょう。読者も読者,誰もクレームを付けないのでしょうか。
上位ランクのジャーナルは別にして和文の臨床論文や看護関係の論文などでは大いにありがちで,対応のあるなしでの手法の使い分けの問題もさることながらいまだに順序尺度のデータにt検定を使っているケースもみかけます。
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