No.06154 多変量の補正法  【迷える内科医】 2008/03/17(Mon) 23:12

ある単一疾患の患者30例について,発症時の検査データ(定量:8項目)や臨床所見の有無(定性:8項目)が,最終的に生死に結びつく危険因子となったか,解析をしたいと思っています。

定 量項目についてMann-Whitney's U testを行って,定性項目についてはFisher's exact testを用いて検定した際,補正のためにBonferroniの方法により有意水準を検定した数(8+8=16)で割る,という方法は正しいでしょう か?

また,Bonferroniの方法は有意水準は補正できますが,Fisher's exact testで得たオッズ比やCIの値の補正はどうすればよいのでしょうか?

周囲に相談できる人がおらず,困っています。どうかご教示のほどお願いいたします。

ちなみに,SPSSでロジスティック回帰分析を行うと,“尤度が0に近づいています”と表示され,このモデルには当てはまらないようです。

No.06156 Re: 多変量の補正法  【青木繁伸】 2008/03/18(Tue) 10:18

> 補正のためにBonferroniの方法により有意水準を検定した数(8+8=16)で割る,という方法は正しいでしょうか?

正しいと思います。

> Fisher's exact testで得たオッズ比やCIの値の補正はどうすればよいのでしょうか

できないと思います。

> このモデルには当てはまらないようです

当てはまらないのではなく,患者30人のデータを16項目(あるいはダミー変数に展開されたならばもっと多くの項目)で回帰しようとしているから,ほとんど完全に当てはまってしまうという状況ではないでしょうか?
試しに,関係のありそうな2,3個の変数を使って分析してみてください。

No.06163 Re: 多変量の補正法  【迷える内科医】 2008/03/18(Tue) 16:15

さっそくのお返事ありがとうございます!大変参考になりました!

ロジスティック回帰には,サンプル数に対する変量の数が多すぎる,ということでしょうか・・

変数の数を絞ってみると,たしかに尤度に関する警告はでなくなります。ただ,調べたい変数を全部入れようとするとどうしても“尤度が0に近づく”という警告がでるので,私の場合は無理なのかな,と思っていました。

No.06178 Re: 多変量の補正法  【後医は名医】 2008/03/19(Wed) 18:33

>ロジスティック回帰には,サンプル数に対する変量の数が多すぎる,ということでしょうか
その可能性もあると思います。過去ログをご覧下さい。
>http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/mb-arc/arc039/01341.html
30人で16項目ではあまりに変数が多いと思います。一般的に考えて3項目以下が無難と思います。

No.06185 Re: 多変量の補正法  【知ったかぶり】 2008/03/20(Thu) 10:36

多重ロジスティック回帰を行うのであれば,まずは変数選択をするべきでは?変数をすべて投入したfull modelが「良いモデル」であるとは限りませんし,そのモデルから算出されたオッズ比などに本当に意味があるかは疑問です.変数選択の方法はいくつかあ りますが,full modelが当てはまりが良すぎるのであれば,AICを使った方がよいかも.

No.06188 Re: 多変量の補正法  【青木繁伸】 2008/03/20(Thu) 19:33

医学の分野(に限ったことではないのですが)では,理論的に考えた(先行研究に従った)独立変数の選定が優先されます(統計プログラムで行われた変数選択による結果は,説明がつかないことが多いこともありますし,必要な変数が選択されないこともあるので)。
16変数が多いのではなく,30人というのが少なすぎるのでしょう(場合によっては,30が精一杯なんだよぉということも多々あることは承知の上で)。

No.06214 Re: 多変量の補正法  【迷える内科医】 2008/03/24(Mon) 20:25

大変参考になりました!ありがとうございました!!
いろいろ試行錯誤しましたが,シンプルかつ臨床上意味をもたせるため,定量項目もカテゴリー化し,Bonferrroniで補正することにしました。

No.06215 Re: 多変量の補正法  【青木繁伸】 2008/03/24(Mon) 21:12

> > Fisher's exact testで得たオッズ比やCIの値の補正はどうすればよいのでしょうか

> できないと思います。

短絡的な応答で,申し訳ありませんでした。

オッズ比の調整はできないと思いますが,信頼区間の調整はできますよね。
fisher.test の引数,conf.level を自分で設定し直せば調整された信頼区間を求めることができますね。
> x <- matrix(c(10, 3, 5, 12), 2, 2)
> fisher.test(x)

Fisher's Exact Test for Count Data

data: x
p-value = 0.02533
alternative hypothesis: true odds ratio is not equal to 1
95 percent confidence interval:
1.219629 60.990172
sample estimates:
odds ratio
7.375228

> # 5群の比較のときの,ある分割表において
> fisher.test(x, conf.level=1-0.05/combin(5,2))

Fisher's Exact Test for Count Data

data: x
p-value = 0.02533 # P 値は,combin(5,2) 倍しないといけないのだろうが(その値と有意水準を比べる)
alternative hypothesis: true odds ratio is not equal to 1
99.5 percent confidence interval:
0.6647889 153.5068009
sample estimates:
odds ratio
7.375228

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