No.05626 検定手法  【花】 2008/01/31(Thu) 21:08

養鶏場でワクチン群100羽,対照群100羽で試験を行いたいと思っていたところ,所有者にワクチン群をもう1群(100 羽)増やしてくれといわれ,そのとおりにしました。つまり同じワクチンを投与した群(ワクチン群)が2群(Vac−1,Vac−2とする),対照群が1群 の設定です。評価は抗体価で有意差検定を行うのですが,この場合,下記のどの検定手法が正しいのでしょうか?
1.多重比較検定で行う。
2.ワクチン群(Vac−1と2を足す。200羽)と対照群(100羽)で有意差検定を行う。
3.対照群とVac−1,対照群とVac−2をそれぞれ有意差検定を行う。


また,試験設定として,ワクチン群を2群設定することは間違いなのでしょうか?

よろしくお願い致します。

No.05627 Re: 検定手法  【青木繁伸】 2008/01/31(Thu) 21:44

> つまり同じワクチンを投与した群(ワクチン群)が2群(Vac−1,Vac−2とする)

の意味は何なんでしょうね

実際にどのように処置しデータが得られたのでしょうか。区別する必要があるのでしょうか。ないのでしょうか。単に例数を増やしたかったのなら100:200で良いのではないかと思います

条件が違う訳じゃないのですよね。

No.05629 Re: 検定手法  【花】 2008/01/31(Thu) 22:00

青木先生,ありがとうございます。
3群とも同じ飼育施設なのですが,収容するケージ(同じ大きさです)を別々(Vac−1,Vac−2,対照群)にし,間隔を3mぐらいあけていますので,3.のような解析で行った方がよいと思ったのですが,いかがでしょうか?
つまり,Vac−1とVac−2で有意差検定を行うことで,収容するケージ等の環境要因は統計学的にはないと判断した上で,対照群とVac−1,対照群とVac−2についてそれぞれ有意差検定を行った方がよいと思いますが,いかがでしょうか?

また,病気の発生率で評価する場合,場所によって発生率が変わることもあるかもしれませんので,Vac−1とVac−2は別々に有意差検定を行う方がよいと思いますが,いかがでしょうか?

No.05630 Re: 検定手法  【青木繁伸】 2008/01/31(Thu) 22:15

> 病気の発生率で評価する場合,場所によって発生率が変わることもあるかもしれませんので

だったら,対照群も複数用意する必要があるのではないでしょうか?

そもそも,「場所によって発生率が変わる」ということがあるなら,その原因を特定することが必須じゃないでしょうか?
「なんだか分からないけど,いくつかやる必要があるんだよね」は,無責任じゃないですか?

No.05631 Re: 検定手法  【花】 2008/01/31(Thu) 22:33

「場所によって発生率が変わることもあるかもしれませんので」という表現は誤解を与えてしまったようです。試験施 設が実験室ではありませんので,均一に病原体を散布することは不可能です。自然発生にまかせるしかありませんので,3群とも均一に病原体が行き渡ることは ありません。

抗体価について,Vac−1とVac−2で有意差検定を行うことで,収容するケージ等の環境要因は統計学的にはないと判断した上で,対照群とVac−1,対照群とVac−2についてそれぞれ有意差検定を行った方がよいと思うのですが,この考えは間違いでしょうか?

統計学の初心者ですので,おかしなところがあると思いますが,お許しください。

No.05634 Re: 検定手法  【青木繁伸】 2008/01/31(Thu) 23:05

実験群が二個あるということは,検定を二回行うことになり,多重比較の観点からはそれぞれの検定を行うときの有意水準はα/2ということになりますね。差があるということをチェックする場合には条件は厳しくなるということでしょう。
一方,実験群の条件が特に区別されるものでないとすれば結果をプールすることには特に異存はないはずで,そうするとサンプルサイズは倍になるわけで,そうすると検定結果は有意差があるという方向に移動するはずでしょう。
どちらを取るかによって結論は正反対の方向へ動きそう。
> n <- 20
> c <- 5
> t1 <- 11
> t2 <- 12
> ( test1 <- prop.test(c(c, t1), c(n, n))$p.value )
[1] 0.1065832
> ( test2 <- prop.test(c(c, t2), c(n, n))$p.value )
[1] 0.05497433
> ( test3 <- prop.test(c(c, t1+t2), c(n, 2*n))$p.value )
[1] 0.03535363
以上のシミュレーションは,
対照群  20例中5例
処置群1  20例中11例
処置群2  20例中12例
対照群:処置例1 の結果は P値=0.107
対照群:処置例2 の結果は P値=0.055
いずれも有意な結果とは言えない
ところが,処置群をプールすると
対照群:処置例プール の結果は P値=0.035 で有意!!!
何だかなあ?

境界値的な状況での検定シミュレーションですけど,当たり前といえば当たり前な結果になります

No.05638 Re: 検定手法  【姿 三四郎】 2008/01/31(Thu) 23:46

横からすいません。
興味がありましたので,質問させてください。
1.結局のところ,この場合,Vac−1とVac−2をプールして解析した方がよいのでしょうか?
2. 花さんの「抗体価について,Vac−1とVac−2で有意差検定を行うことで,収容するケージ等の環境要因は統計学的にはないと判断した上で,対照群と Vac−1,対照群とVac−2についてそれぞれ有意差検定を行った方がよいと思うのですが」はやはり間違いなのでしょうか?
3.多重性が問題で あるとするなら,Vac−1とVac−2を比べ,効力の劣る方(仮にVac−1とする)と対照群を比較すれば,多重性の問題は解決するのではないでしょう か?効力の劣る群(Vac−1)と対照群と比較し,有意差があるのなら,必然的に効力の優れた群(Vac−2)は対照群と有意差はあるはずです。このよう な解析はしてはならないのでしょうか?

よろしくお願い致します。

No.05640 Re: 検定手法  【青木繁伸】 2008/01/31(Thu) 23:56

> 多重性が問題であるとするなら,Vac−1とVac−2を比べ,効力の劣る方(仮にVac−1とする)と対照群を比較すれば,多重性の問題は解決するので はないでしょうか?効力の劣る群(Vac−1)と対照群と比較し,有意差があるのなら,必然的に効力の優れた群(Vac−2)は対照群と有意差はあるはず です。このような解析はしてはならないのでしょうか?

引用が長くて申し訳ないですが,状況を明らかにするためにあえて全部を引用します

大原則は「データを見てからデータ解析方針を変えてはいけない」ということです。

差が出そう(出なさそう)な方を探して,それと比較をしようということ自体がもう,多重性を構成しているのです。

仮説,検定手順は,データを得る前に(実験計画を立てる時点で)決められていなければなりません。

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