No.05274 第一種及び第二種過誤  【GONBEI】 2008/01/07(Mon) 13:54

統計学の初心者です。
初歩的な質問で申し訳ありませんが,教えて下さい。
青木先生の統計学自習ノートの第二種過誤の用語説明の中で,H0とH1の分布が重なる部分がありますが,なぜ両分布は重なる部分があるのでしょうか?帰無仮説と対立仮説は相反するものなので,重なる部分は生じないと思うのですが・・・。
ご教授の程,よろしくお願い致します。

No.05275 Re: 第一種及び第二種過誤  【青木繁伸】 2008/01/07(Mon) 14:25

横軸は統計量,縦軸はそのような検定統計量が生じる密度関数です。

たとえば2群の平均値の差の検定を考えましょう。
帰無仮説の下での検定統計量の分布はt分布に従います。
平均値の差が小さいとき対立仮説の下での検定統計量の分布は帰無仮説の下での統計量の分布と大部分が重なっているでしょう。
平均値の差が大きくなるにつれ,両者の分布の重なりは小さくなるでしょう。
相当大きくなると両者はほとんど重なりはなくなるでしょう。

仮説が相反するというのと,統計量の分布が重なる・重ならないというのは別のことなんですね。

No.05276 Re: 第一種及び第二種過誤  【GONBEI】 2008/01/07(Mon) 16:42

青木先生,ご回答ありがとうございます。
例の2群の平均値の差の検定については理解できました。
1. 第一種及び第二種過誤は100%存在するものなので,H0分布とH1分布が重ならないことはありえないと考えてよいでしょうか?
2. 2群の平均値の差の検定については平均値の差がとてつもなく大きい場合,両者の分布は重ならないことはあると考えてよいでしょうか?
よろしくお願い致します。

No.05277 Re: 第一種及び第二種過誤  【青木繁伸】 2008/01/07(Mon) 16:54

> 第一種及び第二種過誤は100%存在するものなので

100%の意味にもよりますが,重なる部分が非常に0に近い場合も重なるとすれば,「重ならないことはあり得ない」といってもよいでしょうけど。

> 平均値の差がとてつもなく大きい場合

第二種の過誤(検出力)は,平均値の差だけではなく,サンプルサイズにも依存しますから,「とてつもなく大きい」必要はないでしょう。
第1群20人,平均値10,標準偏差2
第2群20人,平均値11,標準偏差2
のとき,
> power.t.test(n=20, sig.level=0.05, delta=1, sd=2)

Two-sample t test power calculation

n = 20
delta = 1
sd = 2
sig.level = 0.05
power = 0.3377084 注目!
alternative = two.sided

NOTE: n is number in *each* group
第2群の平均値が12になると,
> power.t.test(n=20, sig.level=0.05, delta=2, sd=2)

Two-sample t test power calculation

n = 20
delta = 2
sd = 2
sig.level = 0.05
power = 0.8689528 注目!
alternative = two.sided

NOTE: n is number in *each* group

No.05279 Re: 第一種及び第二種過誤  【青木繁伸】 2008/01/07(Mon) 17:34

α=0.05,sd=2 に固定したとき,n=10, 20, 30, 40, 50 にしたときのδによるβの変化のグラフです。


No.05286 Re: 第一種及び第二種過誤  【GONBEI】 2008/01/08(Tue) 10:22

青木先生,丁寧なご説明ありがとうございました。よく理解できました。
青木先生の統計学自習ノートの第二種過誤の用語説明の中で,
1.両側検定の図6.及び図7でH0の分布は両側検定になっていますが,H1の分布は片側検定になっています。これはどういうわけでしょうか?
2.片側検定の図5.について
 帰無仮説の平均値(期待値)は0なので,それよりも対立仮説の平均値(期待値)が小さいということはありえない話ではないでしょうか?

No.05287 Re: 第一種及び第二種過誤  【青木繁伸】 2008/01/08(Tue) 10:32

> H1の分布は片側検定になっています

図に示しているのは棄却域ではありませんよ。H1 で問題になるのは第二種の過誤(β)です。βは,「帰無仮説 H0 が誤っているにもかかわらず,H0 を採択してしまう誤り」ですが,「帰無仮説 H0 が誤っている」とは「対立仮説 H1 が正しい」ということですので,「対立仮説 H1 が正しいにもかかわらず,H0 を採択してしまう誤り」ですね。よって,図の点で網が消した部分がそれに該当する確率です。

> 帰無仮説の平均値(期待値)は0なので,それよりも対立仮説の平均値(期待値)が小さいということはありえない話ではないでしょうか

帰無仮説の平均値が0というのは,たとえば二群の平均値の差のことでしょうか?
だったら,平均値の差は正・負いずれもあり得るでしょう?

No.05326 Re: 第一種及び第二種過誤  【GONBEI】 2008/01/10(Thu) 08:44

青木先生,何度も丁寧に説明下さりありがとうございました。
また何かわからないところが出てきましたら,よろしくお願いいたします。

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