No.04565 対応のあるt検定か、対応のないt検定か  【臨床医】 2007/10/23(Tue) 14:55

降圧剤の降圧効果を判定するのに,本来はプラシーボを使った同時対照を用いて試験しなければならないことは判っています。 しかし,臨床ではプラシーボを用いることは困難なことが多く,プラシーボを投与した群の代わりに,投与前の値を用いるという歴史対照を用いざるをえないこ とがあります。
 この場合,対応のあるpaired t test を用いるべきでしょうか,それとも対応のないstudent t test を用いるべきでしょうか。
 投与前後に差がない,という帰無仮説を検定するなら対応のあるt 検定ですが,薬効がないという帰無仮説を検定するなら対応のない t検定だと思うのですが,よくわかりません。
 知りたいのは,前後で差があるかどうかではなく,薬効があるかどうかなので,対応のないt検定のようにも思います。

No.04566 Re: 対応のあるt検定か,対応のないt検定か  【青木繁伸】 2007/10/23(Tue) 15:30

> 前後で差があるかどうかではなく,薬効があるかどうかなので,対応のないt検定のようにも思います

投与前後で違うことが薬を飲む飲まない以外に食生活とか諸々あるので,「薬効」に限定するというのはよい考えではありますが,だからといってなぜ「対応のない検定」になるのでしょうか?
対応のあるなしは,データの成り立ちによるわけです,
同じ人について投与前後のデータがあるなら対応のある検定でしょう?
投与前と投与後の集団が別々なら対応のない検定でしょう。

No.04567 Re: 対応のあるt検定か,対応のないt検定か  【臨床医】 2007/10/23(Tue) 16:49

青木先生,ご返事ありがとうございました。

投与前のデータを歴史対照として用いる場合は,プラ シーボを投与した別グループのデータの代わりに用いるわけですから,別のグループとの対比,すなわち対応のない検定を用いるのではないかと考えたからで す。たとえ同じ人の投与前のデータであっても,プラシーボを投与された別の人とみなすべきではないか,と考えました。
 対応のある検定の方が感度が高いので,同じ人の前後のデータなら対応のある検定を用いるべきということでしょうか。

No.04568 Re: 対応のあるt検定か,対応のないt検定か  【青木繁伸】 2007/10/23(Tue) 17:49

同じ人の投与前後のデータセットなら,対応のある検定で*な*け*れ*ば*な*ら*な*い*ということです

No.04575 歴史対照  【mom】 2007/10/24(Wed) 16:36

タイトルからずれてしまってもうしわけありませんが(タイトルの件については青木先生のNo.4568で決着して いると存知ます。),ちょっと気になりますので書き込ませていただきます。投与前データを「歴史対照」と呼ぶのは一般的なのでしょうか?私は医師ではあり ませんが,通常,Historical controlとは過去のデータの蓄積されたものを指し,治験のガイドラインでもそのように扱われていると思っています。

また,今更なに を,とおっしゃられるかもしれませんが,投与前後の値を比べる場合,「プラシーボ投与群でも(この場合ですと)血圧が下がる可能性がある」ことが重要で す。だからプラシーボ対照が必須といわれているわけです。したがって,「投与前後の値に差がある」だろうが「投与前の群平均と投与後の群平均に差がある」 だろうが,それだけでは薬効ありとは認めがたいものがあります。

薬効ありと認められている既知の薬剤があれば,それとの効果の比較をするか,あるいは過去のデータなどから(Historical control)薬剤非投与での血圧の変化幅を求めて,それ以上の大きな差があるというか,そういったデータが必要になると思います。

話が統計から逸れてしまって申し訳ありません。しかし,「プラシーボ投与群でも(この場合ですと)血圧が下がる可能性がある」件は,統計的には「平均値への回帰」とやらと関連しているそうで(?),全く統計と無関係ではないということでお許し下さい。

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