No.04342 測定回数の決定について  【森の仮面】 2007/09/11(Tue) 22:31

 統計については全くの初心者です。宜しくお願い致します。
 私が,困っていることは,実験の測定回数をどうする かについてです。実験内容は,音の大きさの異なるものを大きいものから順に5つ用意します。音が聞こえたらボタンを押してもらいます。ボタンを押した割合 を結果として出します。本来ならランダム呈示(被検者にはどの音の大きさが出るか予想が付かないようにする)で5つ×100回測定したいところなのです が,患者さんにするには,時間がかかり過ぎてしまうので統計学的に問題のない範囲内で回数を減らしたいのです。ご教授宜しくお願い致します。

No.04343 Re: 測定回数の決定について  【森の仮面】 2007/09/11(Tue) 22:39

 言葉足らずで申し訳ありません。追加します。経過観察を行うときに毎回5つ×100回をしていたら,検査時間が 長くなりすぎ,患者さんの集中力も落ちてしまいます。したがって,より少ない測定回数で(但し,統計学的には問題のない範囲)実験が出来たらと思っていま す。重ねてご教授のほど宜しくお願い致します。

No.04344 Re: 測定回数の決定について  【青木繁伸】 2007/09/11(Tue) 23:03

聴力検査なんでしょうか?
私たちが健康診断をするとき「音が聞こえたらスイッチを押してください」と言われるんですが。
スイッチが押されたときの周波数が測定値になるんでしょうね。

周波数と音の大きさ(音圧?)は違うのでしょうが,同じような仕組みで検査できないのですか?

音 の大きさが5段階ということですが,いつも同じ大きさ(つまり1段階はボリューム幾つとかきまっている?)なんでしょうか?もしそうであるとして,なぜ音 を聞かせる順序をランダムにしたり何回も反応を見たりする必要があるんでしょうか。音の小さい順に聞かせて,「聞こえたら合図してください」でワンセット でよいのではないでしょうか。確かに,聞こえないのに聞こえたと答えるのをチェックしたいと言うのかも知れませんが,そこまで患者さんを疑って掛かるのも ねえ。5種類の大きさの音をランダムに聞かされて聞こえたか聞こえないかと試されれば,患者さんでなければ(健康人なら)5回もやられれば怒り出すので は?

視力検査でも,「当てずっぽうで答えたな?」と判断しても,2,3回後にせいぜいもう一回試されるくらいだと思いますけど。

正しく答えるとどれだけ自分に良いことがあるか,それを被検者がどれくらい理解しているかということに掛かってくるんじゃないでしょうか。そのあたりが十分分かっている人には1回でよいし,分かっていない人は逆に何回もやられたら怒り出す。

No.04345 Re: 測定回数の決定について  【森の仮面】 2007/09/12(Wed) 06:35

 青木先生,ご指導ありがとうございました。確かに先生ご指摘の通り,日常の診療では,小さい音から大きくしていって聞こえた時点で答えてもらいます。普段は,この方法で十分なデータとなります。
  一方で,心理物理学的手法の恒常法を用いて最小二乗法で直線近似させ50%の値を聴力とするとより正確な値が出ると思います。例えば,珍しい症例で詳しく 経過観察をしたいときにこの方法が使えるのではないかと考えています。ただ,恒常法の欠点は時間がかかり過ぎることなので,時間短縮のため元の分布と統計 学的に有意差が出ない範囲で回数を減らせないかなと思ったのです。もちろん,患者には説明をしたうえで同意を得られた人にのみ使用します。ご教授お願い致 します。

No.04347 Re: 測定回数の決定について  【青木繁伸】 2007/09/12(Wed) 09:05

> 元の分布と統計学的に有意差が出ない範囲で回数を減らせないか

もとの分布(理論分布)あるいは,その分布を決定する母数は分かっている(少なくとも推定可能である)のでしょうか?同等性の検定を行うには,母数が必要と思いますが。

その後さらに,検定法(検定公式)があるのかどうかという問題もあるでしょうけど。

No.04348 Re: 測定回数の決定について  【takahashi】 2007/09/12(Wed) 09:12

閾値(=聴力)だけを推定したいなら,恒常法じゃなくても適応法を使えば試行数は減らせます。但し,パラの場合はもとの分布を仮定する必要がある。用途に応じて上下法からQUESTまでいろいろあるので適したものを選べばよいでしょう。

恒常法のメリットのひとつは,勿論psychometric functionを推定できるところで,閾値だけではなくて分散も推定できます。つまり,psychometric functionの傾きが推定できるということ。
もうひとつは,経験的にですが,信頼性が高いことです。
デメリットは,回数が多くかかることと,もうひとつ,刺激強度の設定のためにおおよその平均(=閾値)と分散を前もって知っておく必要があること。これがわかってるなら,いいところでとればそんなに多くの回数をかけないでも大丈夫だと思います。

何 の根拠もありませんが,刺激強度の数をもう少し増やして,8 x 20位でいいんじゃないでしょうか?その刺激強度の範囲内で傾きが急ならば(つまり最弱,最強あたりで0,1になるようなら),そこらへんは回数を少なく しておいて,中心付近をより重点的に取るという手もあります。この際は近似は重み付け最小二乗法の方が適しているでしょう。

No.04350 Re: 測定回数の決定について  【森の仮面】 2007/09/12(Wed) 10:10

 ご指摘ありがとうございます。まず,恒常法にこだわっている理由は,takahashiさんがおっしゃっている ように信頼性の高さなのです。これがあるので出来ることなら恒常法で行いたいのです。一方で適応法という言葉は始めて知りました。心理物理学の本で勉強し たいと思います。大変感謝しております。
 青木先生のご指摘の点についてです。元の分布(母数)についてですが,5つの音の大きさをそれぞれ 100回ずつ一度測定します。そのデータを基準にそれ以降の試行回数を減らせないかと考えています。プログラミングソフトを使って各音の大きさの1回ずつ の正答とその時点までの正答率がわかるようにしたいと思います。したがって,正答率はリアルタイムで分かるようにします。私が,ふと思った方法は,各音の 大きさのある時点までの正答率を記録できるので,地道に一つずつ(例えば10回,20回,30回・・・で)母数と照らし合わせ,検定していく方法です。 (もちろん,あやしいところを中心にですが・・・)この方法で良いのでしょうか?大変申し訳ありませんが宜しくお願い致します。

No.04351 Re: 測定回数の決定について  【青木繁伸】 2007/09/12(Wed) 14:25

シミュレーション(あっているかどうか私には分かりません)によれば,5×100 でも精度は悪いのかも。
100と同じくらいにするには50は必要なのかな。
10000回やったのだが,結果はかなりばらつく。刺激の大きさを適切に設定する必要もあるのだろう。

少なくとも,30回以下じゃだめみたい。
# μ=60, σ=10
dose <- c(56 ,58, 60, 62, 64)
p <- pnorm(dose, mean=60, sd=10)
sim <- function(n=100, trial=10000)
{
result <- numeric(trial)
for (i in 1:trial) {
set <- sapply(p, function(p0) rbinom(1, n, p0))/n
probit <- qnorm(set)
probit[probit==0 | probit==1] <- NA
m <- cbind(dose, probit)
m <- m[complete.cases(m),]
ans <- lm(m[,2]~m[,1])
coef <- coefficients(ans)
result[i] <- -coef[1]/coef[2]
}
return(c(mean=mean(result), sd=sd(result)))
}
n <- 3:10*10
result <- sapply(n, sim, trial=10000)
colnames(result) <- n
plot(n, result[1,], type="b")

30 40 50 60 70 80
mean -Inf -1.652310e+11 60.000098 59.80471 59.9918452 60.0139156
sd NaN 1.652310e+13 1.010158 19.15184 0.7891242 0.7090291

90 100
mean 60.0142580 60.0031509
sd 0.6554616 0.6204344

No.04352 Re: 測定回数の決定について  【takahashi】 2007/09/12(Wed) 16:31

ほぼ同じプログラム(だたしプロビットはnlsによる)で,doseを上手いこととった場合
まあ,これは理想的な取り方ですが,経過観察なら前回までのデータでどこら辺においたらよいかはわかるでしょう。
# μ=60, σ=10
dose <- 4:8*10
p <- pnorm(dose, mean=60, sd=10)
sim <- function(n=100, trial=10000)
{
result <- numeric(trial)
for (i in 1:trial) {
set <- sapply(p, function(p0) rbinom(1, n, p0))/n
fit<-NULL
## たまにnls失敗するので手抜きの回避策^^;
while(is.null(fit)){
try(fit<-nls(y~pnorm(x,m,s),data.frame(x=dose,y=set),start=list(m=60+rnorm(1)*20,s=10+rnorm(1)*5)))
}
result[i] <- coef(fit)[1]
}
return(c(mean=mean(result), sd=sd(result)))
}
n <- 3:10*10
result <- sapply(n, sim, trial=10000)
colnames(result) <- n
plot(n, result[1,], type="b")

30 40 50 60 70 80 90 100
mean 59.982139 60.008735 60.003237 59.990237 60.006942 60.0170642 60.0003307 59.9968480
sd 1.530436 1.329150 1.190801 1.093444 1.005511 0.9377143 0.8917488 0.8343325

No.04353 Re: 測定回数の決定について  【森の仮面】 2007/09/12(Wed) 20:07

わざわざ統計ソフトを使って計算して頂きましてありがとうございます。統計ソフトの勉強(私はフリーソフト「R」を使う予定です)はまだなのでなんとなく しか分かりません。私の言葉足らず(または理解不足)で申し訳ないのですが,実測値は全て出ます。5つの音の大きさ×100で5つの正答率が出ます。それ と,5×10の5つの正答率,5×20の5つの正答率と5×100に至るまでの実際の途中経過データと比較して平均に有意差がなければ良いなと思っていま す。5×100回を母集団とすると最小で5×?回の標本を取り出せば,5×100回とほぼ同じ結果が得られるかを考えています。なにか良い検定方法はない でしょうか?よい知恵をお貸し頂けると幸いです。

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