No.04012 分散分析における用語の違い  【波音】 2007/07/27(Fri) 19:17

用語の使い方についてお聞きしたいのですが,,,

分散分析において,言い方が違うだけで因子と要因とは同じ概念だと考えて良いのでしょうか? よく2因子実験や2要因の分散分析といったりしますが,どちらも同じだと思うのです。

また,乱塊法は一要因なのか2要因なのかどちらなのでしょう。私は明らかに2要因の分散分析に含まれると思うのですが,書籍(著者)によって「対応のある一要因分散分析」と表記されたりしていますよね?

さ らに,乱塊法と二元配置分散分析の違いについても疑問があります。乱塊法とは呼ばずに「繰り返し観測のない二元配置分散分析」と「繰り返し観測のある二元 配置分散分析」という範疇で解説しているもの。乱塊法と二元配置分散分析は別のものとして解説しているもの。乱塊法と完全無作為法といったように,被験体 の割り振り方法で区別しているもの。

分散分析のみに限ることではないですが,これほどまでに用語が混雑していると私はどれを信じて(採用して)よいのか判断がつきません。好みで使ってよいものなんでしょうか。。。

No.04013 Re: 分散分析における用語の違い  【おちょぼ】 2007/07/27(Fri) 21:45

因子と要因は同じ概念では?

乱塊法と繰り返し観測のない二元配置分散分析も同じだと思います。
ただ,私の印象では,1要因が系統誤差(被験者や実験日)で,それが有意かどうかにあまり興味がない場合に,乱塊法という言葉が使われることが多いような気がします。

No.04014 Re: 分散分析における用語の違い  【K.Hiro】 2007/07/28(Sat) 08:25

因子と要因は表現の違いであり同じ事と考えて問題は無いでしょう。

乱塊法と完全無作為法二元配置の分散分析とは全く異なりますので要注意です。
分散分析は誤差を基準に要因効果はどうなのかを見る方法であり,その誤差が完全無作為の場合と乱塊法では異なります,実験のやり方も違うのですから当然その解析法も異なります。データの構造式,誤差の期待値の記述のある解説書を参考にされると理解できると思います。

No.04015 Re: 分散分析における用語の違い  【波音】 2007/07/28(Sat) 11:25

回答ありがとうございます。

> 乱塊法と繰り返し観測のない二元配置分散分析も同じだと思います。

例えば,「A, B, Cといった3人の被験者それぞれに3条件の下である作業をさせ,各条件ごとに3回作業効率を観測した」という場合はどうなるのでしょうか。

| cond_1 | cond_2 | cond_3 |
---------------------------------
A | *,*,* | *,*,* | *,*,* |
B | *,*,* | *,*,* | *,*,* |
C | *,*,* | *,*,* | *,*,* |


この場合,各被験者はいずれの条件下でも作業を行うことになるので,いわゆる対応ありデータです。繰り返し観測がありますが,これは乱塊法とはいわないのでしょうか。

> 実験のやり方も違うのですから当然その解析法も異なります。

石 井吾郎『実験計画法の基礎』サイエンス社p54 によると,2因子実験の節で「線形模型は乱塊法のときと全く同じだから,推定量と分散分析については全く 同じ」とあります。それに続いて「実験を行うときにはn個の因子水準の組み合わせを全体として無作為の順序で行うわけで,乱塊法のときにはブロック内で無 作為にしていたからこの点は大いに異なる」と書かれています。

だから,結局は二元配置分散分析は1)繰り返し観測のない場合と2)繰り返 し観測のある場合とに大別できる。乱塊法と完全無作為抽出法のいずれかの方法で被験者を割り振るが,両者の線形模型は同じものである。そして交互作用を検 討する場合には繰り返し観測が必要になる。という結論というか"まとめ"に至ったのですが,,,

No.04030 Re: 分散分析における用語の違い  【おちょぼ】 2007/07/31(Tue) 22:53

> 乱塊法と繰り返し観測のない二元配置分散分析も同じだと思います。

分散分析表は同じですが,その後の解析(平均値の分散の計算方法)は異なるので,「同じ」というのは言いすぎでした。
乱塊法と繰り返し観測のない二元配置分散分析の違いについては,「実験計画と分散分析のはなし(大村平 著)」のP99に,わかりやすい説明がありました。

> 例えば,「A, B, Cといった3人の被験者それぞれに3条件の下である作業をさせ,各条件ごとに3回作業効率を観測した」という場合はどうなるのでしょうか。

こ の場合も乱塊法と呼ぶことは,「応用実験計画法(楠ほか)」のP127に,説明があります。ただし,その場合の分散分析表がどうなるかは記述がありませ ん。私の理解では,被験者をR,条件をA,測定誤差をeとすると,AとRのF値の分母はA*Rの平均平方,A*RのF値の分母はe,となります。

No.04031 Re: 分散分析における用語の違い  【K.Hiro】 2007/08/01(Wed) 03:35

乱塊法は,分割法の中の一部の方法です。
その違いは,実験のランダマイゼーションとその解析方法です。
波音さんの参考書も「乱塊法のときにはブロック内で無作為にしていたからこの点は大いに異なる」と記述されているのですから,その辺りをよく読み取って下さい。

ま た,おちょぼさんが書かれている,,「応用実験計画法(楠ほか)」のP127〜解りやすく解析事例も記述がありますね,(もちろん分散分析表も,そしてそ の中には誤差の期待値も記述があります)また,実験のランダマイゼーションとデータの構造式,実験誤差も含めP154に記述がありますね。

No.04033 Re: 分散分析における用語の違い  【kai】 2007/08/01(Wed) 08:08

私自身,普段は混同して使っていますが,
・”要因”は応答(結果)に影響を与えている原因
・”因子”は実際に実験に取り上げた要因
だったと思います.

No.04060 Re: 分散分析における用語の違い  【波音】 2007/08/03(Fri) 09:57

おちょぼ先生にK.Hiro先生,そしてkai先生,回答ありがとうございます。実は2日ほど家を留守にしていたので,質問に答えていただいていたことに気づけずにいました(^_^;)

私もあれから持っているもの以外の書籍を何冊も読み返して,実験デザインの違いを理解(区別)することができました。しかし,「応用実験計画法」という本は知らなかったので,確認の意味でも図書館にでもいって読んでみたいと思います。

No.04061 Re: 分散分析における用語の違い  【太郎】 2007/08/03(Fri) 10:36

 乱塊法は,ブロックを構成し,各ブロック内を局所管理する方法ですから,どんな実験配置にも使える方法です。
 因子は,実験結果に影響を及ぼすと考えられる様々な原因系のうち,その実験に取り上げて比較されるものをさします。
 たとえば「3因子の要因実験で,くり返しを乱塊法で実施する」などの表現が適当です。
 また,一元配置法,二元配置法などの分類方法は,実験処理を構成する因子数とブロック数との和に基づいた分類法であり,上記「 」内の分類法とは別の分類法です。
 二元配置法については,2因子実験でくり返しを完全無作為化法で実施する実験と1因子実験でくり返しを乱塊法で実施する実験の両方を指すことになります。
 なお,「 」内の記述は冗長であるため,「3因子(要因)実験乱塊法」などの表現でもいいと思います。
 この辺の議論は,実験計画法(奥野忠一,芳賀敏郎)培風館に詳述されています。

No.04066 Re: 分散分析における用語の違い  【波音】 2007/08/03(Fri) 16:47

回答ありがとうございます。

> たとえば「3因子の要因実験で,くり返しを乱塊法で実施する」などの表現が適当です。

まるほど,用語の使い方(表現の仕方)にも気をつけていきます。

> 一元配置法,二元配置法などの分類方法は,・・・

私の場合,こういうことを混みにして考えてしまったのでよく分からなくなってしまったのですね。そもそも「分類方法が違うのだから,呼び方も異なりますよ」という理解の仕方なら混乱せずに済みました。

> この辺の議論は,実験計画法(奥野忠一,芳賀敏郎)培風館に詳述されています。

これも早速,読んでみようと思います。

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