No.03149 2群間でのイベント発生率に差がないことの証明  【papaさん】 2007/04/08(Sun) 12:47

初歩的な質問で恐縮ですが教えてください。
2群間でのイベントの発生率に差がないことを示すための統計手法を教えてください。
具体的には,治療A群200例と治療B群200例で合併症がそれぞれ3−4例が予想されます。2群間の合併症発生率に差があるか否かの検定です。
その1. 2×2で5以下のセルがあり,フィッシャーの直接確率計算法が該当するかと思ったのですが,教科書では同様の比較をマンホイットニー検定でも行っていました。正しい方法,理由をご教示ください。
その2. 検定結果の解釈ですが,危険率5%で棄却されないとして,この場合,「2群間の合併症発生率に差が無い」と言ってよいのですか?あるいは「差があるとは言えない」ですか。
そ の3. 「差がある」ことを示す場合,p値が低いほど真実に近い,というのが私の理解なのですが,「差がない」ことを示す場合は,p値が高いほど真実に近 い,のでしょうか。また,差があることの示す統計結果に根拠として普段p値がついていますが,差がないことを示す場合はこれはどのように記載するのでしょ うか。

根本的な間違い,見当違いな質問なのかもしれませんが,ご容赦いただき,ご教授いただければ幸いです。よろしくお願い申し上げます。

No.03157 Re: 2群間でのイベント発生率に差がないことの証明  【青木繁伸】 2007/04/09(Mon) 16:26

2×2分割表のデータは Wilcoxon test の exact test を行えば,結果は Fisher の exact test と全く同じものになります
> ( t <- matrix(c(3, 197, 6, 194), byrow=TRUE, ncol=2) ) # 2×2分割表のデータ
[,1] [,2]
[1,] 3 197
[2,] 6 194
> fisher.test(t)

Fisher's Exact Test for Count Data

data: t
p-value = 0.5028 # この P 値は,Wilcoxon 検定(マン・ホイットニーの U 検定)と同じになる
alternative hypothesis: true odds ratio is not equal to 1
95 percent confidence interval:
0.07871077 2.34832652
sample estimates:
odds ratio
0.4932311

> ( x <- rep(1:0, t[1,]) ) # 2×2 分割表データを 0/1 データに戻す
[1] 1 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
[38] 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
[75] 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
[112] 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
[149] 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
[186] 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
> ( y <- rep(1:0, t[2,]) )
[1] 1 1 1 1 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
[38] 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
[75] 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
[112] 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
[149] 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
[186] 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
> library(exactRankTests)
> wilcox.exact(x, y, exact=TRUE) # Exact test をしないといけません

Exact Wilcoxon rank sum test

data: x and y
W = 19700, p-value = 0.5028 # この P 値が Fisher's exact test の P 値と同じ
alternative hypothesis: true mu is not equal to 0
理由?
そういうものだからです。

=====

「差があるとは言えない」というべきです

=====

差がないことを示すためには,同等性の検定を行います

No.03158 Re: 2群間でのイベント発生率に差がないことの証明  【papaさん】 2007/04/10(Tue) 00:55

青木先生,ご多忙中にもかかわらずご指導頂きありがとうございました。「差があるとは言えない」と解釈すべきこと,ひとつ大きな納得が得られました。「同等性の検定」は,初めて耳にする言葉ですので勉強してみます。
ひとつだけ教えていただきたいのですが,私の事例(治療A,Bの合併症率に差が無いのでcostの安い治療Bを推奨する,と結論したい)の場合,Fisher の exact testを用いてよいのでしょうか,それとも,「同等性の検定」が必要なのでしょうか。
大変恐縮ですが,この点だけご教示いただければ幸いです。よろしくお願い申し上げます。

No.03160 Re: 2群間でのイベント発生率に差がないことの証明  【青木繁伸】 2007/04/10(Tue) 10:05

> 2群間でのイベントの発生率に差がないことを示すための統計手法を教えてください。
> 具体的には,治療A群200例と治療B群200例で合併症がそれぞれ3−4例が予想されます。2群間の合併症発生率に差があるか否かの検定です。

両方を書いていますね。
前者は同等性の検定,後者は比率の差の検定。どちらが本当にやりたいことなんですか?それが分かれば答えは明らかでしょう。

No.03173 Re: 2群間でのイベント発生率に差がないことの証明  【papaさん】 2007/04/10(Tue) 20:12

青木先生,お忙しいなかご教示ありがとうございます。
私のやりたいことは,治療Bの合併症率が治療Aと比べて,「少なくとも同等」であることを示す,ことです。そうすると,やはり「同等性の検定」をすべきなのですね。

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