No.03119 抗体価の検定  【monica】 2007/04/04(Wed) 19:15

基本的な質問で恐縮ですが,教えて下さい。
試験群と対照群の抗体価の有意差検定は対数変換した後,t検定で行っているのですが,対数変換をせずノンパラメトリック検定で有意差検定を行うことは可能なのでしょうか?
よろしくお願い致します。

No.03120 Re: 抗体価の検定  【青木繁伸】 2007/04/04(Wed) 19:17

可能ですよ。

不可能かと思ったのでしょうか?なぜ不可能と思いましたか?

No.03122 Re: 抗体価の検定  【monica】 2007/04/04(Wed) 20:51

青木先生,ご回答ありがとうございます。
青木先生の以前のコメントを読んでいますと,「変換後の検定結果 が必ずしも変換前の結果と同じとは限らないので,元のデータを変換するよりは,元のデータをノンパラメトリックで検定した方がよい」というような記述があ りました(統計の素人ゆえ,間違って理解しているかもしれませんが,そのときはお許し下さい)。となりますと,抗体価を対数変換せずにノンパラメトリック で検定した方が元のデータを正しく評価することができるのではないかと思いました。しかし,私は,2群間の抗体価の有意差検定は,対数変換によるt検定し か見たことがありません。それでこのような質問をしたわけです。

No.03123 Re: 抗体価の検定  【青木繁伸】 2007/04/04(Wed) 21:22

1) 元データをそのままノンパラメトリック検定する
2) 元データをそのままパラメトリック検定する
3) 変換データをノンパラメトリック検定する
4) 変換データをパラメトリック検定する

1) と 3) は,線形変換なら同じ答えになる(線形変換する意味がない)
2) は誤り
となると,1) と 4) の勝負ですね
3) と 4) の違いは何かというと,検出力くらいのものでしょう。ノンパラ検定といっても,検出力は思ったほど低くはない。色々な仮定をしなくても良いということでは 3) が有利だが。

No.03130 Re: 抗体価の検定  【monica】 2007/04/05(Thu) 09:17

青木先生,4つのパターンをあげて説明してくださりありがとうございました。
質問が4つあります。
1.「1) と 3) は,線形変換なら同じ答えになる」ということですが,なぜ同じ答えになるのでしょうか。
2.抗体価の変換は線形変換ではなく対数変換ではないでしょうか。
3.「1) と 4) の勝負ですね」とありますが,抗体価の有意差検定には1)と4)どちらがよいのでしょうか?私は抗体価の有意差検定において1)の検定は見たことがありません。
4.「色々な仮定をしなくても良いということでは 3) が有利だが。」とありますが,これは3)と4)を比較してのことでしょうか,それとも1),3),4)の中で3)が一番有利ということでしょうか。また,ここでいう有利と検出力とは同じと考えてよいでしょうか。

ご教授の程,よろしくお願い致します。

No.03133 Re: 抗体価の検定  【青木繁伸】 2007/04/05(Thu) 11:49

1.「1) と 3) は,線形変換なら同じ答えになる」ということですが,なぜ同じ答えになるのでしょうか。

あなたの言っておられるノンパラ検定はマン・ホイットニーの U 検定とかでしょう。それらの検定は,観測値に順位を付けることが出発点です。
観測値の対数をとっても,被検者に付く順位は同じですね。x1 > x2 なら log(x1) > log(x2)。付けられる順位が同じなら,結果も同じです。

2.抗体価の変換は線形変換ではなく対数変換ではないでしょうか。

線形変換といったのが誤解を生んだのでしょうが,上に書いたようなことを意図しました。

3.「1) と 4) の勝負ですね」とありますが,抗体価の有意差検定には1)と4)どちらがよいのでしょうか?私は抗体価の有意差検定において1)の検定は見たことがありません。

価値観の相違でしょう。
あるいは,みんなして先行論文に右へならえしているだけかも。
一つの学会誌だけでなくいくつかご覧になっての結論なんでしょうか。
「抗体価 検定 パラメトリック」でググってみたら
http://www.nihs.go.jp/edc/houkoku12/12-makino/makino.pdf
というノンパラメトリック検定を使ったのも出てきましたけど。ただ,パラメトリック検定を使ったと明示しているのも多くはなかった。

4.「色々な仮定をしなくても良いということでは 3) が有利だが。」とありますが,これは3)と4)を比較してのことでしょうか,それとも1),3),4)の中で3)が一番有利ということでしょうか。また,ここでいう有利と検出力とは同じと考えてよいでしょうか。

上に述べたとおり 1) ≡ 3) ですから,3)と4)を比較してと受け取っていただいて良いでしょう。
有利というのは検出力だけではありません。
パラメトリック検定を行うための条件を満たしていないときにパラメトリック検定を行うと,不適切な結果が得られることがあるということも理由の一つです。

No.03136 Re: 抗体価の検定  【monica】 2007/04/05(Thu) 12:33

青木先生,大変よくわかりました。
今まで疑問に思っていたことが氷解いたしました。
お忙しいところ,検索までしていただきありがとうございました。

● 「統計学関連なんでもあり」の過去ログ--- 040 の目次へジャンプ
● 「統計学関連なんでもあり」の目次へジャンプ
● 直前のページへ戻る