No.02916 単純集計の見方  【K】 2007/03/02(Fri) 17:40

単純集計のことでお伺いしたく,書き込みさせて頂きました。どうぞよろしくお願いいたします。

社内の職業 満足度を測定し,その回答者の比率(n=200)がそれぞれ,「満足60%」(前年度64%),「どちらともいえない32%」(前年度22%),「不満 8%」(前年度16%)という場合,「とちらでもない」が10%ほど前年度より高くなっています。ニュートラルの項目の場合でも報告書には,昨年度よりも 「どちらといえない」が10%高くなっていると記載すべきなのでしょうか?こういうのは無視してよいのでしょうか。また,何%以上の差があれば,前年度よ り開き(有意差)があると考えたらよいのでしょうか。昨年度のものと今年度のものを数値化し,平均値を求め,t検定すべきなのでしょうか。

そ してもう一つお伺いしたいのですが,3年前は社員食堂満足度を,3段階で「満足」「やや満足」「不満」で測定されていたので,本年度は,4段階「満足」 「やや満足」「やや不満」「不満」で測定いたしました(分散が小さかったため)。そこで,4段階で測定した本年度のものと,3段階のものとを測定したいと 思うのですが,本年度の「やや不満」「不満」を1つにまとめて「不満」群を作り,昨年度のものとを比較することは可能なのでしょうか?もし,ご存知でした ら,単純集計表について述べられている良いテキストがございましたら,ご紹介して頂けませんか?よろしくお願いいたします。

No.02917 Re: 単純集計の見方  【青木繁伸】 2007/03/02(Fri) 19:09

このデータにはいくつかの問題点がありそうです。
1) 去年と今年の両方の調査に答えた人がいるでしょう。それが大部分だとは思いますが。今年の調査だけに答えた人,去年の調査だけに答えた人も若干でしょうが いるのでしょうね。データは,対応のないデータと対応のあるデータに分けられ,解析(検定)法も別のものが用意されています。このデータのようにどっちつ かずのデータを分析する際に,両方の調査に答えた人が多いのなら,その人たちだけを対応のあるデータとして分析する。どちらかしか答えなかった人を集め て,対応のないデータとして分析する。しかし,その二つの結果を統合して何かものを言うのは難しくなる。
2) 対応のあるデータとして扱うとき,二つの調査の調査方法が違う(今回で言うと回答のカテゴリー数が違う)と違いがあるかどうかの分析(検定)はできなくなってしまいます。

さて,そのような状況下にあるわけですが。
> 「とちらでもない」が10%ほど前年度より高くなっています。ニュートラルの項目の場合でも報告書には,昨年度よりも「どちらといえない」が10%高くなっていると記載すべきなのでしょうか?こういうのは無視してよいのでしょうか。

ニュー トラル項目だから無視して良いということはないでしょう。他の選択肢が減って,ニュートラル項目が増えたのでしょうから。全体を見ないといけませんね。ま た,ニュートラルというのは,ある観点から見たニュートラルで,別の観点から見ればニュートラルなんて言っていられない状況下も知れません(そんなこと, もうどうでも良くなっているとかね。政党指示について言えば,無党派層は無視して良いなんていえなくなっているようですよね)。

> 何%以上の差があれば,前年度より開き(有意差)があると考えたらよいのでしょうか

しかるべき検定を行うべきですが,

> 昨年度のものと今年度のものを数値化し,平均値を求め,t検定すべきなのでしょうか

数 値化すると言ってもどのようにしますか?3年前(ですか?)は3カテゴリー,今年は4カテゴリーにしたんですよね。どのような数値を与えるか悩むことにな るでしょう。また,もし両調査とも4カテゴリーであるとしても,1,2,3,4のように等間隔の数値を与えて良いかどうかはこれまた迷うでしょう。なお, t検定が全てではないので,マクネマー検定の拡張を使うというのもありとは,この場合にも,調査によってカテゴリー数が違うというのが致命的で,検定を行 うことはできません。

> 本年度の「やや不満」「不満」を1つにまとめて「不満」群を作り,昨年度のものとを比較することは可能なのでしょうか

不可能ではない(やっても良い)とは思いますが,そうでは無いと考えることもできるでしょう。

職業満足度調査ということですが,自分の答えたことが調査主体(会社・人事課?)に知られないだろうかなどという心配があったりすると特に,
「満足」,「やや満足」,「不満」ならば,なかなか「不満」とは答えにくいので「やや満足」と回答する。
「満足」,「やや満足」,「やや不満」,「不満」なら,「やや不満」と答えてもよいかなということで「やや不満」と答える。
などという考え方をする人が少しはいるかも。

調 査様式や,質問文や,選択肢をちょっと変えただけででは結果は変わらないだろうと思われがちではある(実際そんなに大きな違いは出ないとは思う)が,どこ までの違いが「ちょっとだけの違い」なのかは,判断はなかなか難しいでしょう。ということで,前の調査と比較する必要がある場合には,調査様式は変えない ことが必須条件。そうでないと,違いが出たとき(出なかったとき),対象者の特性が変わったせいなのか,調査様式が変わったせいなのか分からなくなるんで す。

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