No.02876 判別関数係数  【ケチャップ】 2007/02/28(Wed) 17:13

判別分析(記述的なものを想定してます)の結果,有意な判別関数は1つだけみつかりました。
その後,標準化された判別関数係数と構造係数(structure coefficient)が計算されたのですが,

判別関数係数 構造係数
x1  0.613   0.500
x2  2.125   0.583
x3  -1.534   0.321

のようになっていました。x3の判別関数係数はマイナスなのに,構造係数がプラスになっているのは,どうしてなのでしょうか。もしかするとx2とx3には0.90の強い相関があることと関係があるのでしょうか。

No.02902 Re: 判別関数係数  【ファン】 2007/03/01(Thu) 19:59

>もしかするとx2とx3には0.90の強い相関があることと関係があるのでしょうか。

その通りですね。一般に,統計的な多変量の式を「普通の数式のように解釈してはいけない」,という好例になっていると思います。なので以下,少し突っついてみますね。
数値例「 z = y - x なのに,z と x の相関が正???」
> y = c(5, 0, 0)
> x = c(5, 1, 0)
> z = y - x
> cor(cbind(z, y, x)) #相関係数
z y x
z 1.0000000 0.5000000 0.3273268
y 0.5000000 1.0000000 0.9819805
x 0.3273268 0.9819805 1.0000000
二変量の場合の一般的関係:
  z = αy - βx (α, β > 0)
  Cov(z, x) = Cov(αy - βx, x) = αCov(y, x) - βVar(x)
 よって
  Cov(z, x) > 0 ⇔ αCov(y, x) > βVar(x) ⇔ α[Cov(y, x) / Var(x)] > β

Cov(y, x) / Var(x) は y を x に回帰した傾きを表している。この傾きを正と考えると,,,
1) x が 1 単位「増加」する。
2) [直接変化] z = αy - βx なので,z は β だけ「減少」する。
3) [間接変化] データが持つ統計的構造から,y も Cov(y, x) / Var(x) だけ(平均的に)増加し,z はそれに α を掛けた分だけ「増加」する。
4) (他の変量を通じた)間接的な増加が,直接的な減少を上回れば,x ⇒ z の影響は正になる。

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