No.02740 信頼性係数  【波音】 2007/02/14(Wed) 19:29

はい=1,いいえ=0という2択の回答を求める場合の信頼性係数αを求めるための公式として「クーダー・リチャードソンの公式」(http://www.ikuta.jwu.ac.jp/~yokamoto/books/pm/appendices/ap52.pdf)というものを知ったのですが,この式におけるs_X^2の意味が分かりません。

クロンバックのα係数におけるs_X^2は各被験者の合計点の分散ですから,これも同じではないのでしょうか?添付図に従って計算すると,

α = {5 / (5 -1)} * (1 - 1.19 / 0.98) = -0.2678571

となってしまうのですが,間違いを指摘していただきたいと思います。

fig


No.02741 Re: 信頼性係数  【takahashi】 2007/02/14(Wed) 20:22

それでいいんじゃないですか?

No.02742 Re: 信頼性係数  【波音】 2007/02/14(Wed) 20:54

早速の回答ありがとうございます。

> それでいいんじゃないですか?

えっ?そうなのですか?
た しか信頼性係数は0から1の値を取るのだと記憶していたので,マイナスの値になるのは計算間違いなのではないかと思っていたのです。参考書に計算例などが 載っていれば確認できるのですが,それもなく,webで検索しても公式は載っていても具体的な計算例が見つからないので困っていたのですが,,,

No.02743 Re: 信頼性係数  【takahashi】 2007/02/14(Wed) 21:44

計算例ではないですが,青木先生が書かれたRのプログラムを見ればよいかと。

http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/R/alpha.html

式を見る限りαのとる範囲はα<1のように見えます。
何か他に制約があるのでしょうか?

No.02744 Re: 信頼性係数  【青木繁伸】 2007/02/14(Wed) 21:46

第2列と第3列が他と負の相関を持っているので,0,1を入れ替えて計算すれば,正の値の解になるでしょう。
α信頼性係数もそうですが,逆転項目はそれを考慮して配点を逆にしないと,尺度得点(合計点)も,従って,α信頼性係数もですが,正しいものではなくなってしまいます。

No.02745 Re: 信頼性係数  【波音】 2007/02/14(Wed) 22:10

回答ありがとうございます。

ご指摘いただいたように2列目のデータと3列目のデータの1と0を入れ替えたら正の値になりました。今回のデータは練習のために自分でテキトーに打ち込んだだけなのですが,実際に使う時には逆転項目に注意してやる必要があるのですね。

> 式を見る限りαのとる範囲はα<1のように見えます。

確かに参考書にも「ただし0 <= α <= 1」というようには書かれていません。たしか大学の授業で「信頼性係数は0から1まで」と教わったような気がしましたが,どうやら私の勘違いだったようですね。

No.02746 Re: 信頼性係数  【takahashi】 2007/02/14(Wed) 22:25

すみません。α<1じゃなくてα <= 1でしたね。

Wikipediaなどには,

>α can take values between negative infinity and 1 (although only positive values make sense).

と記述されていました。

No.02747 Re: 信頼性係数  【青木繁伸】 2007/02/14(Wed) 22:40

各変数間の相関が0のとき,変数の合計値の分散は,各変数の分散の合計に等しいので,α信頼性係数は0になります。
変数間の相関に負のものがあるとα信頼性係数はマイナスの値になります。
変数間の相関が完全に1のとき,α信頼性係数は1になります。
変数間の相関が完全に-1のとき,α信頼性係数はー∞になります。
簡単のために,以下の関数により,指定した相関係数を持つ2変数を考え,そのα信頼性係数を求めてみる(計算上,相関係数が正確に1,-1の場合は示せないのでそれに近い値を使う)。
gendat2 <- function(nc, r)
{
z <- matrix(rnorm(2*nc), ncol=2)
r2 <- cor(z)
res <- eigen(r2)
coeff <- solve(r2) %*% t(sqrt(res$values)*t(res$vectors))
z <- scale(z) %*% coeff
return(z %*% chol(matrix(c(1, r, r, 1), ncol=2)))
}
まず,相関係数が1のとき
> alpha(gendat2(100,0.99999999))
[1] 1
次に,相関係数が0のとき
> alpha(gendat2(100,0.0))
[1] 2.220446e-16
最後に相関係数が-1のとき
> alpha(gendat2(100,-0.99999999))
[1] -2e+08
この前のコメントで takahashi さんが引用している,αが正の場合のみ意味があるというのは,負の値が得られるのは前述のように逆転項目があるからということで,尺度構成の観点からは意味がないということを指しているのですね。

No.02748 Re: 信頼性係数  【takahashi】 2007/02/14(Wed) 23:16

すでに元の質問は完全に解決され,かつ青木先生の説明で十分かと思うので蛇足かもしれませんが,
いろいろ眺めてたら,ネガティブなαについては以下のページがうまくまとまっていますね。

http://www.ats.ucla.edu/STAT/SPSS/library/negalpha.htm

"My Coefficient α is Negative!"というタイトルがいいです。

No.02754 Re: 信頼性係数  【波音】 2007/02/15(Thu) 19:21

青木先生にtakahashi先生,度々の説明ありがとうございます。

α係数というのは変数同士 の相関係数によって左右されるものだったのですね。いつもながら青木先生の説明を見て考えさせられるのですが,教科書に載っているように「α係数は0.8 以上あるとよいですよ」といった指示に従って使っているだけでも駄目ということはないと思います。でも,数値がどのようなものかという理屈を理解していな いといけないですね(でないと勉強していても面白くない)。

> ネガティブなαについては以下のページがうまくまとまっていますね。

確かに分かりやすい説明でした。でも流石に日本語ほど流暢には読めないので,もっと修行が必要ですね(^_^)

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