No.01984 対応のある2群のt検定  【なめたけ】 2006/12/21(Thu) 19:03

私はアニマルセラピーについての研究を行っているのですが,今回馬に乗った前後の皮膚温変化について論文を作成しておりま す。測定誤差をなくすために乗馬前後に各3回測定し,その平均をとって対応のある2群のt−検定を行おうと思っているのですが,この方法であっているで しょうか?

No.01985 Re: 対応のある2群のt検定  【青木繁伸】 2006/12/21(Thu) 19:42

物事を正確に行おうと言うことで3回ずつ測定して平均を取って,ということを考えるのでしょうが,そういうことを言い始めると,3回で十分か10回必要かなどとなり,また袋小路に入り込むのではないでしょうか。
測定間の誤差より効果の方が大きいはず(そうでないとやっていられない)なので,前後1回ずつにして,条件設定を十分にして対象者を増やすことの方へ注力した方がよいのではないでしょうか。
対応のある平均値の差の検定を説明した文書・教科書で,前後において数回ずつ測定してその平均値を求め,それを検定に使うべし,とか注意書きをしてあるのは,私は見たことがないです。

No.01986 Re: 対応のある2群のt検定  【なめたけ】 2006/12/21(Thu) 21:22

青木先生
返信ありがとうございました。環境に注意して測定を行い,その値で検定にかけたいと思います。御多忙の中ありがとうございました。

No.01991 Re: 対応のある2群のt検定  【青木繁伸】 2006/12/22(Fri) 16:14

パワーアナリシスをやった結果を補足しておきます。
対応のあるt検定を行うとき,前後とも3回ずつ測定して平均値を使う場合には,分析に使うデータの標準偏差は1/sqrt(3)になります。
そこで,100人についてこれを行うと以下のようになり,パワーは0.929です。
> power.t.test(100, delta=0.2, sd=1/sqrt(3), type="p", al="t")

Paired t test power calculation

n = 100
delta = 0.2
sd = 0.5773503
sig.level = 0.05
power = 0.9292653
alternative = two.sided

NOTE: n is number of *pairs*, sd is std.dev. of *differences* within pairs
つぎに,もし同じ100人について3回測定するのではなく,新たに200人をリクルートして,合計300人に1回ずつ測定します。このときには分析に用いるデータの標準偏差は変わりません。そして,この場合には,パワーは0.932となりました。
> power.t.test(300, delta=0.2, sd=1, type="p", al="t")

Paired t test power calculation

n = 300
delta = 0.2
sd = 1
sig.level = 0.05
power = 0.93228
alternative = two.sided

NOTE: n is number of *pairs*, sd is std.dev. of *differences* within pairs

100人に前後3回ずつと,300人に前後1回ずつは,ほぼパワーは同じであるようです。
では,どちらが実際に適用可能性が高いかと言えば,100人を3回ずつかなぁ。

しかし,30人1回ずつを,3人で10回ずつにしても,後者は前者に及ばない。それは,理にかなっているなぁ。
> power.t.test(30, delta=0.2, sd=1, type="p", al="t")

Paired t test power calculation

n = 30
delta = 0.2
sd = 1
sig.level = 0.05
power = 0.1839206
alternative = two.sided

NOTE: n is number of *pairs*, sd is std.dev. of *differences* within pairs

> power.t.test(3, delta=0.2, sd=1/sqrt(10), type="p", al="t")

Paired t test power calculation

n = 3
delta = 0.2
sd = 0.3162278
sig.level = 0.05
power = 0.1008390
alternative = two.sided

NOTE: n is number of *pairs*, sd is std.dev. of *differences* within pairs

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