No.01036 多要因のノンパラ  【さくら】 2006/09/04(Mon) 18:26

こんにちは,いつもこちらの掲示板にはお世話になっております。

今回,間隔尺度データに対して,条件間の 平均値の差を3要因(各2水準)の分散分析によって検討しようとしたのですが,分布の正規性が仮定されませんでした(一見すると単峰形で正規分布のように 見えるのですが,コルモゴロフ・スミノフ検定でもだめでした。尖度と歪度をみると歪度は0に近いのですが,尖度も0.20くらいになってしまい,正規分布 と考えることはできないようです)。

そこでノンパラで検定することを考えたのですが,このときにどのように比較対を作って比較すればよい か迷っています。説明の便宜上,要因と水準に名前をつけますと,要因I=AとBの2水準,要因II=A'とB'の2水準,要因III=A"とB"の2水準,がそ れぞれ含まれているとします。
このとき,要因IのAとBという2水準の効果を比較する際の方法として,主に2つの考えがあり
ます。

1.いわゆる「主効果」だけを見るかのように,要因IIおよび要因IIIの全水準をつぶして,要因Iに含まれる2水準の比較を行う
(要因Iの水準Aについての,要因IIおよび要因IIIの水準をつぶした平均値
 vs 要因Iの水準Bについての,要因IIおよび要因IIIの水準をつぶした平均値)

2.いわゆる「交互作用」だけを見るかのように,要因IIおよび要因IIIの各水準ごとに,要因Iの2水準についての比較を繰り返して行う
(まず,要因Iの水準Aの,要因IIが水準A'かつ要因IIIが水準A"のときの値
   vs 要因Iの水準Bの,要因IIが水準A'かつ要因IIIが水準A"のときの値
 つぎに,要因Iの水準Aの,要因IIが水準B'かつ要因IIIが水準A"のときの値
   vs 要因Iの水準Bの,要因IIが水準B'かつ要因IIIが水準A"のときの値
 つぎに,要因Iの水準Aの,要因IIが水準A'かつ要因IIIが水準B"のときの値
   vs 要因Iの水準Bの,要因IIが水準A'かつ要因IIIが水準B"のときの値
…のように,要因Iの効果を検討するために,要因IIと要因IIIのすべて組み合わせ(2*2=4通り)について検定を繰り返す)

こ のどちらが妥当なのでしょうか。実験者としては,それぞれの要因の主効果を見たいので1の方法を採りたいのですが,要因IIと要因IIIの影響によって要因Iの 作用の仕方が異なることに言及できなくなってしまうという点で誤りのように思われます。しかし,もともとノンパラ検定なのだから要因間の interactionまで分析することは要求されていないのでしょうか。結局,結果の解釈がしにくくなってしまいますし…。

ご教示いただけますようお願いいたします。

No.01037 Re: 多要因のノンパラ  【青木繁伸】 2006/09/04(Mon) 18:43

よく分からないのですが,なぜ最初からこんなにややこしい条件設定をするのかなぁ(^_^;)

最初に,要因I, II, III のどれが重要なのかをまず調べないといけないのでは?
そう言うこと抜きで「要因IIおよび要因IIIの水準をつぶして」要因Iのに水準を比較して良いのかどうか。

2.の方法もそうだけど,これだけ複雑な実験条件だとそれこそ検定の多重性がどんどん増えていくのでは?

だからといって,解決方法を提案できるわけではないので恐縮ですが。

3元配置分散分析のノンパラ検定を考案してはいかがでしょうか(^_^;)

教えて欲しいんですが,正規性を調べたとのことですが,水準ごとに平均値が違う可能性のあるデータの正規性を見るときは,平均値で調整してから正規性の検定を行ったのでしょうか。(そうすることが正しいのかどうかさえ,私は分からないので教えてください。)

No.01039 Re: 多要因のノンパラ  【さくら】 2006/09/04(Mon) 19:33

さっそくご返事いただきありがとうございました。

実は本当に効果を見たい要因はIだけなのですが,要因IIと要因IIIについては実験で統制した都合上,それらに効果がないことを示しておかなければならないと思って組み込んでいるものです。
(た とえば,ある薬品の効果を見るときに被験者として男女を同数ずつ参加させたとします。このとき,薬品の効果だけを見たかったとしても,男女差があるかどう かを考慮せずに論じることは読み手に疑問を持たれてしまうので,やむなく性差も変数として入ってものです。仮説では性差があるかわからない状況でした。と すれば,思い切って男性か女性のどちらかの結果だけを使用すればいいのかもしれませんね…。)

以下このことに関連しまして,具体的な手法のこととは別の話題をさせてください。
た とえば分散分析において主効果や交互作用があった場合,すべての要因について多重比較をする必要はないといわれます。それはあくまで実験のモデルに従っ て,必要な部分だけを比較すればよいという意味だと解釈しています。しかしそうすることは,比較しなかった場所でもなんらかの差異がある可能性を排除でき なくなると思うのです。つまり,結果の分析の仕方が,実験者の都合のいい部分だけを取り出して論じている,恣意的なものになってしまうように思います。こ の点について,先生はどのようにお考えでしょうか。

なお,
> 水準ごとに平均値が違う可能性のあるデータの正規性を見るときは,平均値で調整してから正規性の検定を行ったのでしょうか
についてですが,平均値で調整はしておらず,水準ごとにみていました。

No.01040 Re: 多要因のノンパラ  【青木繁伸】 2006/09/04(Mon) 19:42

今までの,素朴なデータ解析では,たとえばまず性別に差がないことを確認できなかったら性別は込みにして分析して良い,次に○○に差がなければ○○を込みにして分析。。。というようにやってきたように思いますけどねぇ。

> 要因IIと要因IIIについては実験で統制した都合上,それらに効果がないことを示しておかなければならないと思って組み込んでいる

そもそも,要因IIと要因IIIについて先行研究から影響がないという結果が得られているなら,それを実験に組み込む意味がないわけでは?
そ れに,前述のような素朴なデータ解析からは,まず,要因II,IIIには差がないことを示してから次のステップに移るべきでは?複雑な要因を全部考慮して 実験計画を立てるのは慎重なようでいて,実際は考えるのは後回しでまずあとで困らないようにデータを採ろうという安直な考えが反映しているのかも知れませ んね。

今更言っても仕方がないのですが,そのデータが理論的に言って正規分布に従いそうなのか,草でないとして3元配置分散分析に相当するノンパラ検定があるのかどうか,検討してから実験を始めるべきでしたね。

また,組み込んだからには解析ということなら,他に重要な要因があるのに組み込んでいないじゃないかという異論が出たら,あなたの実験は無に帰するのですか?

特殊な分野(というか,それぞれの分野はいろんな意味で特殊なんでしょうが)のようなのですが,あなたには指導教員みたいな人はついているんでしょうか?その人はどう言っているんですか。
というか,先行研究では類似のデータどのように扱っているんですか?先行研究もないような先端領域でのお話なのかも知れませんが。

No.01041 Re: 多要因のノンパラ  【さくら】 2006/09/04(Mon) 19:59

指導してくださる先生はいますが,これまで先行研究がないデータであることから,さまざまな方面の先生方の意見を伺ってみたいと思い,質問させていただきました。

要因IIと要因IIIについても,先行研究が示されておりません。しかし先生がおっしゃるように,これらの要因を今回は捨てることにしても十分意義のある実験だと思っていますので,その点についてはもう少し柔軟に考えてみるようにします。

また別の方向の話なのですが,先生のおっしゃった
> たとえばまず性別に差がないことを確認できなかったら性別は込みにして分析して良い,次に○○に差がなければ○○を込みにして分析。。。
と いう部分について,以前から気になっていたことがあるのですが,この場合「性差→○○」という順に分析されていますが,この順番で分析すると,○○の効果 が性別によって異なる場合にことを言い示すことができなくなるのではないでしょうか?(つまり,○○の効果が性別によって違うことを言いたくない場合に は,性別を先にcollaspしてしまうことによって逃れる,というように悪用できてしまうのではないでしょうか。)こうした分析の順序は,実験者が自由 に決めてしまってもよいものなのでしょうか。
なんだか揚げ足を取るような質問になってしまってすみません。

No.01042 Re: 多要因のノンパラ  【青木繁伸】 2006/09/04(Mon) 20:50

> 「性差→○○」という順に分析
そういうわけではありません。

因子の効果という のは,主効果,二次の交互作用,三次の交互作用という順に小さくなってゆくので(そうでなきゃやってらんない),まずはそれぞれの要因について差があるか ないかを同レベルで調べるでしょう(実際に同時にはできないので,順に検定していくと言うだけです)。ですから,例ではそのように書きましたがそれは主作 用の効果を判断する順序というか便宜的なものであって,まず○○は差がない,□□は差がない,△三角は差があるという結果になったら,その次の段階は△△ について重点的に調べていくだろうということです。

> ○○の効果が性別によって異なる場合にことを言い示すことができなくなる

それはあるかも知れないが,主効果よりは小さいはずという前提があるわけです。

> これまで先行研究がないデータであることから

成 果を上げるのを急いで,全ての要因を考慮して結果を求めるのも素晴らしいことではありますが,実験も,データ解析と同じく手順を踏んで行うのが正統な方法 ではないでしょうかねぇ。あらゆる要因を考慮して実験をしたとしても,そのデータを解析するのは階層的に行うのではないでしょうか??

No.01043 Re: 多要因のノンパラ  【さくら】 2006/09/04(Mon) 20:57

成果をあげるのを急いだわけではありませんが,このような実験計画になってしまったことをわれながら残念に思います。今後の研究活動の糧とさせていただきます。
もろもろの質問に対してご丁寧に回答していただき,ありがとうございました。

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