No.00357 Re: 対応のあるデータの検定について 【青木繁伸】 06/06/15(Thu) 20:44
対応のある場合の平均値の差の検定において,あなたの言うように b = 1 は仮定されていません。
というか,逆方向から。
対応のあるデータの平均値の差の検定をするにおいて,元データがない場合,二つの平均値と標準偏差とデータの組数が分かっているだけでは検定をすることができません(対応がない場合ならできるんですけど)。
これにプラスして必要なのは,相関係数です。この相関係数は1が想定されているわけではありません。任意の値をとりうるのです。この相関係数と回帰式のスロープには関係がありますから,スロープが1に限定されているのではないと言うことがおわかりいただけると思います。
原データを必要としない(代わりに相関係数を必要とする)検定の公式は,あんまりどの教科書にも載っているというものでもない。岩原信九郎の本には載っていたが,今ここにはないので。
No.00365 Re: 対応のあるデータの検定について 【青木繁伸】 06/06/16(Fri) 11:10
岩原信九郎「教育と心理のための推計学」日本文化科学社(2001)
187〜188 ページ
平均値 x1, x2; 不偏分散 u1^2, u2^2; 相関係数 r; データ組数 n
t = (x1-x2) / sqrt((u1^2+u2^2-2*r*u1*u2)/n)
二つの標本の「母分散は等しくなくても良い」!!> d1 <- c(2,5,1,6,5,7)
> d2 <- c(4,2,4,3,5,6)
> x1 <- mean(d1)
> x2 <- mean(d2)
> u1 <- sd(d1)
> u2 <- sd(d2)
> r <- cor(d1, d2)
> n <- length(d1)
> t <- abs(x1-x2)/sqrt((u1^2+u2^2-2*r*u1*u2)/n)
> cat("mean1=", x1, "sd1=", u1, "\nmean2=", x2, "u2=", u2,
"\nr=", r, "n=", n, "\nt=", t, "p=", pt(t, n-1, lower.tail=FALSE)*2)
mean1= 4.333333 sd1= 2.338090
mean2= 4 u2= 1.414214
r= 0.1814575 n= 6
t= 0.3261640 p= 0.7575094
> summary(lm(d2 ~ d1)) # 単回帰分析の結果
Call:
lm(formula = d2 ~ d1)
Residuals:
1 2 3 4 5 6
0.2561 -2.0732 0.3659 -1.1829 0.9268 1.7073
Coefficients:
Estimate Std. Error t value Pr(>|t|)
(Intercept) 3.5244 1.4366 2.453 0.0702 .
d1 0.1098 0.2974 0.369 0.7308
---
Signif. codes: 0 ‘***’ 0.001 ‘**’ 0.01 ‘*’ 0.05 ‘.’ 0.1 ‘ ’ 1
Residual standard error: 1.555 on 4 degrees of freedom
Multiple R-Squared: 0.03293, Adjusted R-squared: -0.2088
F-statistic: 0.1362 on 1 and 4 DF, p-value: 0.7308
> t.test(d1,d2,paired=TRUE) # 対応のあるt検定
Paired t-test
data: d1 and d2
t = 0.3262, df = 5, p-value = 0.7575
alternative hypothesis: true difference in means is not equal to 0
95 percent confidence interval:
-2.293752 2.960418
sample estimates:
mean of the differences
0.3333333</pre?
No.00376 Re: 対応のあるデータの検定について 【ムツゴロウ】 06/06/16(Fri) 22:17
青木先生有難うございました。サイズ,平均,分散および相関係数からt−統計量を算出できました。
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