No.00204 Re: 相関係数の比較 【青木繁伸】 06/05/30(Tue) 16:09
貴方が聞きたかったのは,
「以下のリンク先の検定はスピアマンの相関係数の場合も使えるのでしょうか?」
ではないのでしょうか?
リンク先は r と書いてあるので,ピアソンの積率相関係数ですね。
貴方が rs を持ち出したのは,その手法がスピアマンの順位相関係数の場合にも使えるだろうかという意図でしょうね。
ス ピアマンの順位相関係数は,元のデータに順位を振り,その順位をデータと見なしてピアソンの積率相関係数を求めればそれがスピアマンの順位相関係数になる という関係になっています。よって,計算の元になるデータが異なるわけですが,計算にはピアソンの積率相関係数を求める計算式が使われるわけですから,出 てきた数値に対して同じ検定法が使えるのは当然と言うことになります。
No.00206 Re: 相関係数の比較 【はたはた】 06/05/30(Tue) 22:52
ありがとうございます。
ピアスンとスピアマンを反対に書いてしていました。
説明に納得しました。
関 連した質問ですが,市販の本では(岩原2001改訂版)では,例題として「ある学校で知能と学業成績の差をとったところ一年で0.50, 二年で0.40, 三年で0.60であった。」として,この3つの係数に有意な差はあるのか,というものがあります(p. 356)。どの学年も50名を仮定し,計算の上の正解は「同質性とみとめうる」というものでした。
ここで例題をアレンジして,仮に知能と 学業成績の相関係数として有意なものは三年のみであった。その上で3の学年の知能と学業成績は「同質性とみとめうる」という結果がでた場合のような結果の 解釈はどのようになるのでしょうか。個々の係数をみると三年だけが,係数間の有意差の問題になると同質性がみとめられたという場合です。
(1)個々の係数は有意でも,差の検定では有意な差がないので,個々の係数の有意性は無視できる,として議論を進める。
(2)係数間の有意差はなくても,個々の係数の有意性に注目することで,「係数間の差はないが,個々の係数の有意性は重要である」として議論を進める。
2つの選択肢のうち,納得がいくのはどちらでしょうか?
専門分野の関心にも依存するのかもしれませんが。。。
No.00218 Re: 相関係数の比較 【にゃんちゅう】 06/05/31(Wed) 15:24
「同質性」の解釈を間違っているのではないでしょうか。
岩原信九郎だと思いますか,正確に本とページ数を挙げてください。
No.00220 Re: 相関係数の比較 【はたはた】 06/05/31(Wed) 18:40
にゃんちゅう様
はい,岩原信九郎氏です。
書名は『教育と心理のための推計学』で,356ページです。
手元の本は新改訂版です。
例題の1です。
同質性の解釈としては差の有無の検定だと解釈しています。
相 関係数自体が有意なことと相対的な差の問題は別問題であり,かならずしも矛盾するものだとは考えてませんが,ある相関係数が有意であると,それを重要性の 根拠としますが,有意でなくても他の係数と比較して差があれば,それも重要性の根拠に使えるのではないかと思っています。たとえば,サンプル数60で, 0.20 と-0.20を比較するとここの相関係数は取るに足らないもののようですが有意な差がでてしまうからです。
No.00223 Re: 相関係数の比較 【にゃんちゅう】 06/05/31(Wed) 19:31
>その上で3の学年の知能と学業成績は「同質性とみとめうる」
のところに引っかかっていたのですが,「相関係数」に関する記述が抜けているのでしょうか。
今のことばとしては「相関係数の同質性」というのはちょっとつらいですね。似たことばなら同等性くらいではないでしょうか。
答えは(1)のほうでしょう。相関を同じと見てよいかという問題に,そもそも個々の相関が有意かどうかを何故問うのですか?
もし問うのなら全体として相関は有意かどうかになるのが自然な流れのように思えますが。
No.00224 Re: 相関係数の比較 【はたはた】 06/05/31(Wed) 20:06
>相関を同じと見てよいかという問題に,そもそも個々の相関が有意かどうかを何故問うのですか?
これは研究の問いに依存する問題だと思うのですが,たとえば:
算数の成績を高不安群と低不安群で得た上で,高低の不安群別にみた場合に,算数の成績と不安指標の間に差はあるのか,ということをみたいとします。
個々の郡内の不安との相関係数が
高不安群 0.55 (p = 0.05)
低不安群 0.32 (p = 0.10)
<算数得点と不安指数の群別の相関係数>
だったとします。この場合,個々の係数の有意性をみると高不安群だけが有意ですが,係数間の差はないという結果がでた場合,解釈が分かれるのではないでしょうか(それを研究者の見識に任せるというのなら選挙方式になりますが)。
2 つの群にわける利点としては,高低の不安群にわけないと全体の相関はやや低くなると考えられるので,高低の不安群にわけて分析した方が,全体では見えにく いローカルな関係性がみえてくると仮定しています。しかし群をわけて分析を進めると,上のような解釈のあいまい性が生まれてしまったような場合,相関係数 の有意性と係数間の差の有意性の解釈がかちあってしまいます。
No.00225 Re: 相関係数の比較 【青木繁伸】 06/05/31(Wed) 21:37
> 高不安群 0.55 (p = 0.05)
> 低不安群 0.32 (p = 0.10)
個々の相関係数の有意性は,母相関係数=0との個別比較
同等性は,ある種の平均的な相関係数と両群の相関係数の同時比較
比較する基準が異なるので,両方の検定結果が異なることも当然あり得る。
比較する基準が異なるのは,研究者の仮説の違い。どっちを検討しているのか。
No.00228 Re: 相関係数の比較 【はたはた】 06/06/01(Thu) 00:14
>比較する基準が異なるので,両方の検定結果が異なることも当然あり得る。
比較する基準が異なるのは,研究者の仮説の違い。どっちを検討しているのか。
たとえば,先の結果から「総合的に」次のような結論(あるいは提案)は妥当なものといえるのでしょうか:
算数の成績と不安指標の関係は,高不安群と低不安群の相関係数の比較では統計的な有意差はみつからないが,仮に小学校のクラスで不安指数別のクラス編成を行う場合には,高不安群のクラスでは不安指数と算数の成績の関係を無視することはできないだろう。
それともやはり基準が違うので,難しいでしょうか。
No.00231 Re: 相関係数の比較 【青木繁伸】 06/06/01(Thu) 10:17
> 算数の成績と不安指標の関係は,高不安群と低不安群の相関係数の比較では統計的な有意差はみつからないが,仮に小学校のクラスで不安指数別のクラス編成を行う場合には,高不安群のクラスでは不安指数と算数の成績の関係を無視することはできないだろう。
後半は少しおかしい。
高不安群と低不安群で,共に算数の成績と不安指標の相関がある。高不安群では有意な相関といえるが,低不安群では有意ではない。それだけではないでしょうか。
あるテストの成績で,a君は81点,b君は79点。二人とも甲乙つけがたい成績ではあるが,a君は評価A,b君は評価Bということで(80点以上がA,70-79点がBとして),絶対基準での成績評価には差がある。 それと似ているのでは?
みたいなモンでは?
No.00232 Re: 相関係数の比較 【はたはた】 06/06/01(Thu) 21:03
ありがとうございます。
この掲示板はとても勉強になります。
昨日の自分と今日の自分の小さな差は,僕にとっては大きな差です!!
大きな意味があるんですね。
謝謝!!
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