★ 大規模臨床試験の有意水準 ★

9572. 大規模臨床試験の有意水準 臨床医 2006/03/04 (土) 15:47
└9573. Re: 大規模臨床試験の有意水準 青木繁伸 2006/03/04 (土) 19:13
 └9577. Re^2: 大規模臨床試験の有意水準 臨床医 2006/03/05 (日) 20:46


9572. 大規模臨床試験の有意水準 臨床医  2006/03/04 (土) 15:47
初めてこのサイトに投稿します。一臨床医です。
最近の医学の世界では,evidence based medicine といって大規模臨床試験に基づいた医療を行うようになりました。そこで糖尿病治療薬,ピオグリタゾンの大規模臨床試験(PROACTIVE)の評価にについてお尋ねしたく思います。(http://www.proactive-results.com/index.htm
この臨床試験では,プラセボ群とピオグリタゾン群でアウトカムを比較したものですが,一次エンドポイントである,総死亡+非致死性心筋梗塞+脳卒中+急性冠症候群+下肢結構再建術+経皮的冠動脈インターベンションまたは冠動脈バイパス術については実薬群が10%の減少でしたが,p=0.095と有意水準に達しませんでした。
しかし,二次エンドポイントの総死亡+非致死性心筋梗塞+脳卒中の合計は16%の減少で,p=0.027であり有意差がついたため,evidence が得られたとされています。
しかし,一次エンドポイントで有意差がなかった場合,二次エンドポイントの有意水準は多重検定の補正をかけないといけないのではないでしょうか。もしBonferroniの補正をかけますと,有意水準は0.05÷2 = 0.025となり,二次エンドポイントも有意水準に達せず,evidenceは得られなかったといわねばならないのではないでしょうか。
よろしくお願いいたします。

     [このページのトップへ]


9573. Re: 大規模臨床試験の有意水準 青木繁伸  2006/03/04 (土) 19:13
このような場合にも,厳格に P 値を評価しなくてはならないのだとは,どこの誰が主張しているのだろうかと,若干,元気がなくなる思いがするのは私だけでしょうか。

確かに,統計学的に有意かどうかは,データの評価をする際に重要な役割を果たしますが,このような場合にまで厳格に適用して 0.05 より大きいか小さいかだけで評価すべきものであるかは,非常に疑問に思います。

ま,それしかいえませんが。。。

     [このページのトップへ]


9577. Re^2: 大規模臨床試験の有意水準 臨床医  2006/03/05 (日) 20:46
回答,ありがとうございました。
仰るとおり, P 値が0.05より大きいか小さいかだけで評価すべきでないと思います。
 しかし,大規模臨床試験では,0.05を有意水準として,この水準に達する症例を見積もって試験を行うわけですから,0.05以下にならなかったら,その試験は失敗,即ち薬効は認められなかった,という結論を下す人が多いのも事実です。
 P 値が0.07だったので,この試験は失敗,すなわち仮説は検証されたかった,つまり薬効は認められなかったと結論している先生方が多いのです。
 データの信頼性の大小と,薬の効果の大小を混同しているのだと思います。
 貴重なご意見ありがとうございました。
 

     [このページのトップへ]


● 「統計学関連なんでもあり」の過去ログ--- 037 の目次へジャンプ
● 「統計学関連なんでもあり」の目次へジャンプ
● 直前のページへ戻る