★ t検定での対応の有無について ★

9236. t検定での対応の有無について bear 2006/01/26 (木) 14:26
└9255. Re: t検定での対応の有無について 才藤 2006/01/27 (金) 14:44
 └9256. Re^2: t検定での対応の有無について bear 2006/01/27 (金) 17:00
  └9257. Re^3: t検定での対応の有無について 青木繁伸 2006/01/27 (金) 22:49
   └9258. Re^4: t検定での対応の有無について bear 2006/01/27 (金) 23:58


9236. t検定での対応の有無について bear  2006/01/26 (木) 14:26
生物分野で実験を行っている者ですが,t検定の対応の有無についてGOOGLEやこのサイトでの過去のスレッド,統計学の書籍を調べても明確に分からないことがあり,ご意見を伺いたく初めて投稿いたしました。

培 養した細胞を使って実験を行っていますが,最初に大量に細胞を培養し,それを20本の試験管に同じ数ずつ分注します。この試験管のうち1本目から10本目 は対照群,11本目から20本目は薬物処理群として細胞の反応を測定し,対応のあるt検定によって測定値の平均値の差を検討して薬物の効果を判断しようと 思います。

対応のあるt検定の計算過程では最初に対応のあるペアのデータの差を取ります。今回のケースは1つの細胞集団を対照群と処理群 に分けたものですから対応があると思われますが,必ずしも1本目の対照群の試験管と11本目の薬物処理群の試験管に対応があるわけではなく,計算過程では 1本目の試験管のデータから12本目または13本目の試験管のデータを引いても良いわけです。
この場合,計算過程での対照群と薬物処理群の試験管の組み合わせによっては検定結果が異なることが考えられるのですが,例えば実験前にデータのペアは1本目と11本目,2本目と12本目というように,あらかじめ決めておけば良いでしょうか。

みなさまのご意見,ご教授をお願いいたします。

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9255. Re: t検定での対応の有無について 才藤  2006/01/27 (金) 14:44
というか,その設定なら対応してないじゃないですか??
10繰り返しの平均値を比べてるわけだから,
ただのt検定かMann-Whitney検定を行うのが適当かとおもいます。

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9256. Re^2: t検定での対応の有無について bear  2006/01/27 (金) 17:00
ご意見をいただき本当にありがとうございます。
たしかに私が今回示したケースでは実験前後のような明確なデータの対応はなく,対照群と薬物処理群に割り当てる試験管の数を揃えなくても実験は成り立つため,対応は無いかもしれないと考え悩んでいました。

私が悩んでいた理由は他にも主に四つあります。
1.これまでに発表されている培養細胞を用いた今回のケースのような論文では,paired t-testが頻繁に用いられている。
2.“一つの”細胞集団を二つの群に分けて行なった実験なので,対応無しとするのにはやや違和感がある。
3. 性別や年齢などをマッチさせて対応付けをする手法は良く知られており,臨床試験のようなデータでは性別や年齢,病気の重篤度などをマッチさせてデータの対 応付けを行なうが,その際にほぼ同じ条件の患者が複数いる場合にはどの患者にどの対照をマッチさせるかが明確でなく,対応のつけ方により検定(または区間 推定)の結果が異なる場合が考えられる。
4.上記3と似ているが,マウスを用いて10匹を対照群,10匹を薬物処理群に割り当てる場合には,性別 は完全に一致させることができ,月齢もほぼ同一にすることが可能なため対応ありとも考えられるが,この場合にも群間でマウスをどのように対応づけるかが必 ずしも明確ではない。上記3や4の場合には,培養細胞を用いた自分の実験との相違はどこにあるか。

以上のような理由でこちらの掲示板でご意見をいただこうと考えたのです。
もしも上記3や4のようなケースでの一致した考え方がありましたらご教示をいただけないでしょうか。

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9257. Re^3: t検定での対応の有無について 青木繁伸  2006/01/27 (金) 22:49
たとえば,ヒト(あえてカタカナで)を対象にした臨床試験では,性・年齢・病期でマッチすることがありますね。
結果として得られる標本(片方だけ)をみれば,性別・年齢・病期は様々です。その構成比率が両者で同じようになるということです。

一方,実験動物は遺伝的には均一で,性・年齢を揃えてその他の条件も揃えてしまうとまるっきり均一なんですね。背景要因に分布がない。
こ のような状況では対応を付けるには何をもって対応を付ければいいのでしょうか。一匹ずつ取り出してマーキングをして取り出した番号順に対を作りますか?そ れ以外の対の作り方もありますし,そのどれが不適切と言うこともないですね。極端なことを言えば,結果を見て,一番良い結果が出るように対を作っても言い 訳です。

しかし,前のようなヒトを対象としたマッチングの場合にはそういうことは絶対できませんね。
言い換えれば,たとえばヒトを対象とした試験の場合でも,性・年齢・病期・遺伝特性・家族歴・その他諸々を完全に規定して得られた 2n 例を n 例ずつに分けたら,どんなにしても合理的な対応付けはできないでしょう。

要するに,マッチングとか対応のあるデータというのは,制御すべき要因はたくさんあるけどそれらを全部制御するのは不可能だから,せいぜい特性の似通っているペアをできるだけたくさん揃えて,それぞれを二つのグループに振り分けましょうということです。

たとえば,細胞を対象にして何らかの試験を行うような場合に対応のあるデータといえるのは,性,年齢,遺伝属性,食生活,諸々。。。が異なる多数のヒトからとった細胞を二つに分画して,一方の細胞群はある処理,他方の群はまた別の処理というような場合ではないですか?
で,こういう実験の結果として得られるのは,「色々な属性を持つ細胞でも,二種類の処理の結果は異なる」ということでしょう。

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9258. Re^4: t検定での対応の有無について bear  2006/01/27 (金) 23:58
貴重なご意見をくださり本当にありがとうございます。

青木先生の仰る通り,培養細胞を用いた場合に明確に対応付 けができるのは,一つの種類の細胞であってもその系統(あるいは細胞の採取元)が異なるものを複数系統用いた場合ですね。この時には,もしもt検定を行な うことが必要であるならば,対応のあるt検定を行なうことになりますね。
そのような複数の細胞系統(細胞株)を利用できない場合や,ある分野で決まりきって用いられる一種類の細胞株を用いて実験を行なう場合には,等分散か不等分散かは別にしても,やはり対応が無いものとして扱う必用があるということですね。

才藤先生,青木先生,本当にありがとうございます。
あらためて関連しそうな文献やインターネット上の情報を調べてみたのですが,今回私が疑問に思ったことにぴったり合う例題や情報はやはり見つからず,どうしようかと考えておりました。

過 去の様々な論文を読んでみると,paied t-testを一種類の培養細胞のデータに適用している論文は多数あります。しかしながら,特に医学分野での論文には統計処理の誤りが多いとの指摘は以前 からあり,“医学論文における統計処理の誤り”のような内容のreviewが国内外の様々な医学系学術雑誌に掲載されています。そのため自分のデータも他 の論文での解析法で良いという確信が持てず,また今後も良い内容の実験を行なうには統計学上の知識に基づいて実験計画を立てる必要があるとも考え,この掲 示板で皆様のご意見を伺いました。
ありがとうございました。

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