★ log rank検定の適用 ★
9196. log rank検定の適用 ひらい 2006/01/24 (火) 14:54
└9197. Re: log rank検定の適用 青木繁伸 2006/01/24 (火) 15:22
└9199. Re^2: log rank検定の適用 ひらい 2006/01/24 (火) 15:51
└9200. Re^3: log rank検定の適用 青木繁伸 2006/01/24 (火) 15:58
└9201. Re^4: log rank検定の適用 ひらい 2006/01/24 (火) 16:19
└9248. Re^5: log rank検定の適用 西浦博 2006/01/27 (金) 01:05
9196. log rank検定の適用 ひらい 2006/01/24 (火) 14:54
以前こちらでRisk Ratioに関して質問させて頂きました(スレッドNo.9065)。その際のご指摘を基に検討し,log rank検定などはどうかと考えております。この様な場面で使用することは妥当でしょうか?
【検定したいこと】
・発症日数("+"の日数)を比較したい
・但し,死亡("*")以降は不明であるということを評価に入れたい
投薬後の観察日数(day)
対照群
No 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9
1 - - - - - - + + + +
2 - - + + + + + * * *
3 - - - - - - - - - -
4 - - - - + + + + + +
5 - - - - - - - - - -
投薬群
6 - - - - - - - - + +
7 - - - - - - - - - -
8 - - - - - - + + + +
9 - - - - - - - - - -
10 - - - - - - - + * *
【log rank検定を行う】
観察日毎に発症している個体数を計算し,それぞれで期待値を計算し,Χ二乗値を求めました。
da db dt na nb nt ea eb
0 0 0 0 5 5 10 0 0
1 0 0 0 5 5 10 0 0
2 1 0 1 5 5 10 0.5 0.5
3 1 0 1 5 5 10 0.5 0.5
4 2 0 2 5 5 10 1 1
5 2 0 2 5 5 10 1 1
6 3 1 4 5 5 10 2 2
7 2 2 4 4 5 9 1.8 2.2 #対照群で1個体死亡
8 2 2 4 4 4 8 2 2 #投薬群で1個体死亡
9 2 2 4 4 4 8 2 2
結果は,X2=3.24となり,x2(0.05)=3.84より有意差なしと判断致しました。
様々な情報を見ると,log rank検定は,生存率の検定に用いられておりますが,このような用途に用いても構わないのでしょうか?
本サイトで参照されております「治療効果判定のための実用統計学」は,残念ながら品切ればかりで手に入れることが出来ておりません。
もしくは,発症した日数を観察が可能(死亡していない)な日数で割り,平均を求めてMann Whitney検定を行うのはどうかとも考えております。
アドバイス頂ければ幸いです。
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9197. Re: log rank検定の適用 青木繁伸 2006/01/24 (火) 15:22
この種の分析法は「生存率解析」というカテゴリーに含まれているため,生存と死亡を対象にするように思いこまれていますが,そんなことはないのです。
あることがら(A)が起きた後,
注目する別のことがら(B)が起こるまでの
時間についてのデータ
の分析なのです。
普通にある例としては,
手術(A)から死亡(B)までの時間
のようなものです。
ふつう,B は一度しか起こらない事象を対象にします。
B
は死亡に限らず,発作がおきることのようなことでもかまいません。ただ,発作は何回も起きる可能性があるので,「A
の後の最初の発作」というような条件を付ける必要があったりします。このデータは,生存率データと言うよりは,「発作が起きなかった日数のデータ」等と言
うことになるでしょう。
ひらいさんの例では,発症が(A)にあたり,死亡が(B)であり,データは「病気であった日数のデータ」ということです。
ということで,定義としては何ら変なことはありませんよね。
な
お,(B)
が起きる前に対象者が行方不明になったり,それ以上同じ治療を続けるわけに行かなくなったり,研究が終了したり,(B)が死亡であっても,(A)とは無関
係な死亡(例えば交通事故死)などのようなことが起きてデータが打ち切られる場合(C)があります。これが打切りデータなんですね。
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9199. Re^2: log rank検定の適用 ひらい 2006/01/24 (火) 15:51
ご回答下さり誠にありがとうございます。とてもよく理解することが出来ました。また,打ち切りデータの意味に関しましてもスッキリと整理することが出来ました。
しかしながら,一点気になることがあります。
ガ
ンなどの生存率解析では,(A)が治療の開始で,(B)が死亡ということが多く,(A)が観察開始と同時になると思います。今回質問させて頂いた場合の
ように,(A)を発症とした際には,(A)が観察の途中から生じますが,このことは,特に検定の趣旨に背いているわけではないということでしょうか?
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9200. Re^3: log rank検定の適用 青木繁伸 2006/01/24 (火) 15:58
厳密に言えば,「それまで何らかの意味で事前に継続観察されていた対象」ということで,母集団からの標本とは言えなくなるかもしれません。
まあ,それとても,ある病院に通院していて癌であることがわかった患者の手術後の予後などという状況などを考えると,そんなに問題にはならないのではないかなぁと私は思いますがどうでしょう。
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9201. Re^4: log rank検定の適用 ひらい 2006/01/24 (火) 16:19
事前の状況が解析したい事象に関連していれば,さして問題ではないということと理解いたしました。
同じように,今回の場合では,発症後に健康体に回復した個体も観察終了まで評価しています。
解析したい事とは,
「投薬することによって,観察期間内に発症している日にちが減少するか」
ということですので,観察期間の途中から発症して,観察期間の終了前に健康になった場合でも,その前後の健康であった状態は,非常に重要な事柄だと考えております。
従いまして,発症前後の状況も踏まえて,今回の様に解析しようと思います。
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9248. Re^5: log rank検定の適用 西浦博 2006/01/27 (金) 01:05
横からすいません,疫学のコメントします。実験のサンプル数は表示の10だけでしょうか。もし,それだけならデザイン立て直してやった方が,せっかくの実験が勿体ないような気がしました。
抗
菌薬でもワクチンでもいわゆるDuration
effectを分析する場合はOutcomeがキーになると思います。具体的に最もわかりやすくやる場合は,現在のデータだと(1)投薬による死亡リスク
減弱(DichotomisedでContingency
tableなど),(2)投薬による症候性期間短縮(Log-rankなど),(3)投薬による発症から死亡までの期間短縮(Log-rankなど),で
やる例が多いようです。
(2)と(3)はOutcomeが生存か死亡かによって分けた方が明確ではないでしょうか(でないと発症から死亡
までの期間が投薬の効果なしの場合は,症候性期間短縮が現在のデータだと混在して誤った結論を導く場合がある)。また,症候性期間の終了時の定義が重要に
なると思います。
目的によりますが,必ずしも検定する必要はないかも知れずサンプル数増やして期間のDistributionを見せた方
がキレイなこともあるようです(例えばClin Infect Dis 2002; 34:
159-66みたいな感じ)。またサンプル少なすぎてキレイでなければMann-Whitneyでやった方がシンプルかも知れないです(J
Infect Dis 2005; 192: 2092-8, Clin Infect Dis 2001; 33:
1834-41とか)。デザインからExplicitな感じで企画されると良い結果になると思いました。
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