★ 病期と検査値: Spearman's rho ★

6535. 病期と検査値: Spearman's rho 風雲デブ 2005/05/05 (木) 15:15
└6536. Re: 病期と検査値: Spearman's rho 青木繁伸 2005/05/05 (木) 20:49
 └6537. Re^2: 病期と検査値: Spearman's rho 風雲デブ 2005/05/05 (木) 21:22
  └6538. Re^3: 病期と検査値: Spearman's rho 青木繁伸 2005/05/05 (木) 22:55
   └6539. Re^4: 病期と検査値: Spearman's rho 青木繁伸 2005/05/05 (木) 22:55
    └6551. Re^5: 病期と検査値: Spearman's rho 風雲デブ 2005/05/06 (金) 22:53


6535. 病期と検査値: Spearman's rho 風雲デブ  2005/05/05 (木) 15:15
疑問が解決しないので質問させてください.

ある新しい血液検査がある.
病期 1-4 の患者に対してこの検査を行い,病期と検査結果の値について Spearman's rho を計算したところ,P = 0.01 となった.
従ってこの検査は病期を反映しており,臨床上有用である.

この理論は正しいのでしょうか?
順位相関係数が有意であっても,たとえば ANOVA で有意にならず,病期ごとの検査値に差があるとはいえない場合もありそうだと感じるのですが,どうでしょうか?
それとも,相関係数で有意 = 病期で差がある,のでしょうか.
相関係数は有意になりやすい感じがして,それだけで有用であるとするのは納得しがたいのですが,漠然とそんな気がするだけなのでどなたかにご教授願えると幸いです.

風雲デブ

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6536. Re: 病期と検査値: Spearman's rho 青木繁伸  2005/05/05 (木) 20:49
> 病期と検査結果の値について Spearman's rho を計算したところ,P = 0.01 となった.
> 従ってこの検査は病期を反映しており,臨床上有用である.
>
> この理論は正しいのでしょうか?

判断するための情報が欠落しています。

順位相関係数はいくつだったのでしょうか。できれば,例数も。

有意確率(P値)だけでは,判断できませんよ。

> 順位相関係数が有意であっても,たとえば ANOVA で有意にならず,病期ごとの検査値に差があるとはいえない場合もありそうだと感じるのですが,どうでしょうか?

そうですよ。
なぜ,「感じる」のでしょう。
感じるのではなく,理論的基礎があるべきとおもいます。
どのようなときに,ANOVA と順位相関係数の結果が異なると思いますか。簡単な例を挙げて(探して)みましょう。

> それとも,相関係数で有意 = 病期で差がある,のでしょうか.

理論的な因果関係と,疑似相関というのもあります。
この場合は,どちらになるでしょうね。

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6537. Re^2: 病期と検査値: Spearman's rho 風雲デブ  2005/05/05 (木) 21:22
青木先生,ご指摘ありがとうございます.

> 有意確率(P値)だけでは,判断できませんよ。
ここなんです.
順位相関係数と合わせて有用かどうか判断する基準はあるのでしょうか?
論文に示された2つの値(もしくは症例数も加えた3つ)から読者がそれぞれ判断するしかないのでしょうか.
世の臨床家にそれが正しくできるものでしょうか?
僕は無理だと思いますし,実際むずかしくてよく分かりません.

> 簡単な例を挙げて(探して)みましょう。
はい,excel でrand() を使ってシミュレーションしてみました.
N=80 (20 x 4, 病期1-4)
Spearman 順位相関係数 = 0.24, P = 0.032
で,
ANOVA F = 1.14, P = 0.34
の架空データを作ることができました.
すなわち,この程度のSpearman 順位相関係数と有意確率では,少なくとも臨床上有用ではなさそうに思えます.

では,rho = 0.5, P = 0.03 だと有用? P = 0.01 なら?
さっぱりです.

理論的な因果関係があれば,例数を増やせば相関係数はそのうち P < 0.05 となると思います.
役にも立たない検査結果を相関係数だけ示してこれはすごいぞ役に立つ,と主張する論文と,そうではない実際有用な論文と,読み分ける方法が分からないのです.
で,それに対する意見をいただけると幸いです.

風雲デブ

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6538. Re^3: 病期と検査値: Spearman's rho 青木繁伸  2005/05/05 (木) 22:55
> 順位相関係数と合わせて有用かどうか判断する基準はあるのでしょうか?
> 論文に示された2つの値(もしくは症例数も加えた3つ)から読者がそれぞれ判断するしかないのでしょうか.
> 世の臨床家にそれが正しくできるものでしょうか?
> 僕は無理だと思いますし,実際むずかしくてよく分かりません.

それで,順位相関係数はいくつだったのでしょうか。
あなたは,おわかりになっているとは思うのですが。

順位相関係数の場合はちょっと解釈が面倒な点は有りますが,順位に対してピアソンの相関係数を計算したものがスピアマンの順位相関係数であるという関連をふまえて。スピアマンの順位相関係数の二乗が片方の順位がもう一方の順位を説明する割合だと思いますが。

> N=80 (20 x 4, 病期1-4)
> Spearman 順位相関係数 = 0.24, P = 0.032
> で,
> ANOVA F = 1.14, P = 0.34
> の架空データを作ることができました.
> すなわち,この程度のSpearman 順位相関係数と有意確率では,少なくとも臨床上有用ではなさそうに思えます.

Spearman 順位相関係数 = 0.24 の二乗は 0.24^2=0.0576だから,6%弱しか説明していないのです。

あなたがシミュレーションで作ったデータの実際がわかりませんから,同とも言い難いのですが,相関関係とANOVA では,以下のような違いがあります。
グレード  数値
第一段階   1
第二段階   2
第三段階   3
第四段階   4
は段階によって数値の増加があります
グレード  数値
第一段階   1
第二段階   4
第三段階   2
第四段階   3
でこぼこですね。
ANOVA だと両方とも同じ検定結果になる。
この点を考える必要があるでしょうね。
同じデータを別の方法で分析する場合,別の結果が出ることがあるかもしれないが,どちらが(どれが)理論的にも最適であるかは決まるわけですから。


> では,rho = 0.5, P = 0.03 だと有用? P = 0.01 なら?
> さっぱりです.

P 値の大小で有用か否かを決める局面も確かにあるでしょうが,0.03と0.01で意思決定が異なるようなそんな微妙なものに頼るのは危うすぎます。

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6539. Re^4: 病期と検査値: Spearman's rho 青木繁伸  2005/05/05 (木) 22:55
> 理論的な因果関係があれば,例数を増やせば相関係数はそのうち P < 0.05 となると思います.
> 役にも立たない検査結果を相関係数だけ示してこれはすごいぞ役に立つ,と主張する論文と,そうではない実際有用な論文と,読み分ける方法が分からないのです.
> で,それに対する意見をいただけると幸いです.

P値だけを示すよりは相関係数だけを示すほうがましです。前述の通りその二乗値を考察すればいいのですから。
例数が記述されていればP値は自分で計算できます。
P値が記載されていても相関係数を逆算することはできますが。。。

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6551. Re^5: 病期と検査値: Spearman's rho 風雲デブ  2005/05/06 (金) 22:53
青木先生,詳しくお教え頂いて本当にありがとうございました。
勉強になりました。

> P値だけを示すよりは相関係数だけを示すほうがまし

目の前の霧が晴れた気分です。

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