★ なぜt分布に従うのか? ★
5165. なぜt分布に従うのか? 白中 2004/12/08 (水) 15:20
├5177. Re: なぜt分布に従うのか? 若輩者 2004/12/08 (水) 22:59
│└5178. Re^2: なぜt分布に従うのか? 白中 2004/12/08 (水) 23:45
└5168. Re: なぜt分布に従うのか? 青木繁伸 2004/12/08 (水) 17:06
├5175. Re^2: なぜt分布に従うのか? 白中 2004/12/08 (水) 22:28
└5169. Re^2: なぜt分布に従うのか? 白中 2004/12/08 (水) 17:30
└5182. Re^3: なぜt分布に従うのか? 浦城 2004/12/09 (木) 17:09
└5189. Re^4: なぜt分布に従うのか? 白中 2004/12/09 (木) 21:45
└5220. Re^5: なぜt分布に従うのか? 白中 2004/12/13 (月) 05:25
5165. なぜt分布に従うのか? 白中 2004/12/08 (水) 15:20
一つ教えて下さい。
区間推定を行う時,もし,母分散が分かっていれば,
(標本平均−母平均)/母標準偏差/sqrt(n)
の分布は正規分布に従うとあります。ですので,これを用いて±1.96標準誤差を算出すれば,95%の信頼区間を推定できます。
母分散がわからない場合は,
母分散の変わりに不偏分散(n-1で割る)を用いて,
(標本平均−母平均)/不偏分散から求めた標準偏差/sqrt(n)
を算出します。その時,これはt分布に従うとあります。
(本によっては,n>30だと正規分布に近似するので,標準正規分布の表を用いても問題はないなどの説明があります)
なぜ,t分布に従うのでしょうか?
また,t分布に従うということは,小標本の場合,正規分布よりも裾野が長い分布になる,つまり,母平均から外れた標本平均が多く生じるということだと思いますが,なぜそのようになるのでしょうか。
説明をしている本は少ないように思います。
説明をしている本によれば,
「不偏分散自体が標本から推測したものだから」
「少数の標本の場合,(正規分布に比べて)母平均から離れた標本平均が多く生じるような分布になる」等という記述をみました。
しかし,不偏分散は,母集団の分散の推定値として偏りがないから不偏分散なのだから,不偏分散を求めた自体でちゃんと推測できているはずです。
また,少数の標本の場合,という説明だと,母分散がわかっている場合にも,この問題は生じるはずですので,これだけが原因ではないように思います。
いろいろと調べたところ,
不偏分散は推定値であり,母分散がわかっているわけではない。
ということが問題のように思いました。
では,なぜ,不偏分散のように推定した値で標本平均の分布を求めるとt分布になってしまうのでしょうか?
無理な注文かもしれませんが,直感的に理解できるような説明はないでしょうか。もしくは,微積分などを含まない数式での説明はできませんでしょうか。
ここが理解できれば,区間推定だけでなく,各種のt検定もすっきり理解できるのですが。
お教え頂けると幸いです。よろしくお願いします。
|
[このページのトップへ]
5177. Re: なぜt分布に従うのか? 若輩者 2004/12/08 (水) 22:59
永田靖(1996).統計的方法の仕組み.日科技連.
の,pp.188-189,「28.4 t分布の定義」あたり,いかがですか?
|
[このページのトップへ]
5178. Re^2: なぜt分布に従うのか? 白中 2004/12/08 (水) 23:45
> 永田靖(1996).統計的方法の仕組み.日科技連.
> の,pp.188-189,「28.4 t分布の定義」あたり,いかがですか?
ご紹介ありがとうございました。早速注文しました。
Amazonの解説などを読みましたが,他にも良い説明が多いようで,期待できます。
|
[このページのトップへ]
5168. Re: なぜt分布に従うのか? 青木繁伸 2004/12/08 (水) 17:06
大本でしたら,ゴセットの論文とそれを発展させたフィッシャーの論文を見るのがよいのでしょう(私は見てませんが)
天野徹著「統計学の想像力−覚束ない未来のために-」,ハーベスト社
の177〜186ページ前後に書いてありますが,それで白中さんが満足できるかどうかは私にはわかりません。
> ここが理解できれば,区間推定だけでなく,各種のt検定もすっきり理解できるのですが。
そうですか?わからなくても,ちゃんと使えれば問題ないのではないでしょうか。
|
[このページのトップへ]
5175. Re^2: なぜt分布に従うのか? 白中 2004/12/08 (水) 22:28
天野先生の本が大学図書館にありましたので,一読しました。
Gossetはビールで有名なGuiness社の社員だったのですね。
身近に感じられました。歴史的経緯もわかり,勉強になりました。ありがとうございました。
> 天野徹著「統計学の想像力−覚束ない未来のために-」,ハーベスト社の177〜186ページ前後に書いてありますが,それで白中さんが満足できるかどうかは私にはわかりません。
不偏分散についてはよくわかりました。n-1で割る理由もよくわかりました。
しかし,母分散を推定して標本平均の分布を求めた場合,その分布が正規分布ではなく,t分布に従うということの理由についてはよくわかりませんでした。
あれから自分なりに調べてみたのですが,この掲示板の過去ログ
「分散と不偏分散の違いとは?標準偏差の求め方について教えてください。」
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/mb-arc/arc010/001.html
の議論で出てくる,
「不偏分散の平方根をとっても,それは母標準偏差の不偏推定量ではない」ということ辺りが関連するのでしょうか。
他
の本には,nが小さい場合は,不偏分散の平方根は母標準偏差の不偏推定量とならず,少なく見積もられてしまうということが書かれていて,少なく見積もられ
るのを補正する係数が書かれていました(例えば,岩原信九郎「教育と心理のための推計学」p.59,大村 平「統計のはなし」p.110)。
t分布の分母は,√不偏分散/√nですので,
nが小さければ,√不偏分散の部分が少なく見積もられることになり,t分布の分母は小さくなってしまう。そのため,t分布はnが小さければ裾野の広い分布となってしまう。
というような理解の仕方は間違いですか?
漠然とした理解の仕方ですが,これでよければ私自身は納得がいきます。
たびたびですみませんがご教授頂ければ幸いです。
よろしくお願い致します。
|
[このページのトップへ]
5169. Re^2: なぜt分布に従うのか? 白中 2004/12/08 (水) 17:30
青木先生
お返事ありがとうございました。
早速,天野先生の本を取り寄せてみます。
それで満足いかなければ,ゴセットとフィッシャーの論文を取り寄せてみます(どちらも歴史的論文ですね)。
> > ここが理解できれば,区間推定だけでなく,各種のt検定もすっきり理解できるのですが。
> そうですか?わからなくても,ちゃんと使えれば問題ないのではないでしょうか。
本を読んで,使い方は理解できました。
区間推定,z検定,t検定の間のつながりも理解できてきました。
ただ,この部分だけが「腑に落ちない」のです。
これは「t分布に従う」のだ,と飲み込んでしまえばいいのでしょうが,そういう丸飲みの仕方は,中身のまったく分からない機械を使っているようで,気持ちが悪いのです。
多少とも仕組みが分かれば納得がいくのですが。
(高校の数学で「虚数はこういうものだ」と教わって,ひどく苦痛を感じたことを思い出します。)
ともあれ,まずは,天野先生の本や,ゴセットの論文を読んでみたいと思います。
ありがとうございました!
|
[このページのトップへ]
[このページのトップへ]
5189. Re^4: なぜt分布に従うのか? 白中 2004/12/09 (木) 21:45
> はじめまして
> Fisherの論文に関してですが
>http://www.library.adelaide.edu.au/digitised/fisher/papers.html
> ここにFisherの論文を集めているところがあります
> まず,あたってみてはいかがでしょうか?
ご紹介いただきありがとうございました。
さっそく拝見しました。
Applications of "Student's" Distribution.
Metron, 5: 90-104 (1925)
Expansion of "Student's" integral in Powers of n-1.
Metron, 5: 109-120 (1925)
あたりをざっと眺めてみましたが,数式(積分などもありますね)が沢山あり,私のレベルでは理解するのは難しいようです。
(専門は臨床系で,統計は専門ではありません)
やはり「こういうもの」と納得させるよりないでしょうか。
何か,わかりやすい説明があれば,お教え下さい。すみません。
|
[このページのトップへ]
5220. Re^5: なぜt分布に従うのか? 白中 2004/12/13 (月) 05:25
> なぜ,t分布に従うのでしょうか?
> 説明をしている本によれば,
> 「不偏分散自体が標本から推測したものだから」
> 「少数の標本の場合,(正規分布に比べて)母平均から離れた標本平均が多く生じるような分布になる」等という記述をみました。
> いろいろと調べたところ,
> 不偏分散は推定値であり,母分散がわかっているわけではない。
> ということが問題のように思いました。
> では,なぜ,不偏分散のように推定した値で標本平均の分布を求めるとt分布になってしまうのでしょうか?
自分自身への回答です。
皆様方に教わった参考文献や,自分なりに文献を当たってみた結果,
中村義作 1997 よくわかる実験計画法 近代科学社
p.73
「式
のtは正規分布にしたがわない。その直観的な理由は,σ(シグマ)は一定なのに,sは試料ごとに異なる値をとるからである。こうして,tの確率分布のおよ
その形は,正規分布を上下に少し押しつぶし,左右に裾野を広げたものとなる。この分布はt分布と呼ばれ・・・」とありました。
つまり,不偏分散は,推定値であるため,標本を取るたびに値が変わるということですね。従って,母分散だと正規分布するけれども,不偏分散を分母に入れると分母の値が変動するので,計算結果の散らばりが大きくなり,左右に裾野が広い分布になる,と理解すればよさそうです。
ちなみに,これも自分への返答ですが,
>「不偏分散の平方根をとっても,それは母標準偏差の不偏推定量ではない」ということ辺りが関連するのでしょうか。
他
の本には,nが小さい場合は,不偏分散の平方根は母標準偏差の不偏推定量とならず,少なく見積もられてしまうということが書かれていて,少なく見積もられ
るのを補正する係数が書かれていました(例えば,岩原信九郎「教育と心理のための推計学」p.59,大村 平「統計のはなし」p.110)。
>t分布の分母は,√不偏分散/√nですので,nが小さければ,√不偏分散の部分が少なく見積もられることになり,t分布の分母は小さくなってしまう。そのため,t分布はnが小さければ裾野の広い分布となってしまう。
というのは,間違いですね。
t値は,不偏分散を元に式を作っていますので,この影響はありません。
不偏分散の平方根が,標準偏差の不偏推定値とならないことは間違いないですが。
自分なりには理解できました。
ご指導,ご助言いただきありがとうございました。
以上,ご報告まで。
|
[このページのトップへ]
● 「統計学関連なんでもあり」の過去ログ--- 031 の目次へジャンプ
● 「統計学関連なんでもあり」の目次へジャンプ
● 直前のページへ戻る