★ F検定の両側棄却域に関して ★

723. F検定の両側棄却域に関して りょう 2003/10/01 (水) 23:00
└724. Re: F検定の両側棄却域に関して 青木繁伸 2003/10/01 (水) 23:32
 └725. Re^2: F検定の両側棄却域に関して りょう 2003/10/02 (木) 01:05


723. F検定の両側棄却域に関して りょう  2003/10/01 (水) 23:00
両側棄却域について教えてください。

両側棄却域には分布の右側と左側に棄却域が存在していますが,なぜF境界値は一つしか存在しないのでしょうか?
「F0<F境界値両側ならば帰無仮説を採用できる」とあっても,感覚的には右側の棄却域には入らなかっただけで,F0が限りなく小さかった場合,左側の棄却域に入ってしまうように思ってしまいます。
また「F0は1以上になるようにしましょう」とある理由も分かりません。
どなたもこのような質問をされていなかったという事は常識な事なのかも知れませんが,教えていただきたいと思います。
よろしくお願い致します。

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724. Re: F検定の両側棄却域に関して 青木繁伸  2003/10/01 (水) 23:32
最初に,「F検定というのは対象が広すぎる」ことに注意しましょう。

二群の母分散が等しいかどうかの検定
この場合の説明に「分散の比を取るときに,分子の方に大きい分散が来るようにしましょう」と指定しているわけですね。
統計の教科書の後ろについているF分布表は,「上側確率がαとなるような F 値の表」になっているのですね。そのような F 値は 1 より大きいのです。下側確率がαとなる F 値の表を作ってもいいのですが,面倒というだけです。
で,今説明したように,上側の確率がαなわけですから,もし5%の有意水準で検定しようとすると,「上側確率が2.5%のF分布表が必要!」になるわけですね。(ちょっと余計なことだったかな)。
コンピュータで統計分布に関する計算が容易になった今,「F 値が1以上になるように検定統計量を制限する」必要は,さらさら無くなったわけです。事実,R にある var.test では,計算される F 値は1以上になるようになどという無意味な制限は付けていませんが(だから,びっくりする人もいるかもしれないが),計算されるP 値は(あたりまえですが)正しい値です。

さて,次に,一般の分散分析について(例えば一元配置分散分析)

これは,さらにややこしくて,F 分布における棄却域は右側のみに存在するのですが,意味的には両側検定です。(F は自動的に?1以上になる)
この「意味的には」という言葉の解釈で,論争にもなる(^_^;)のですが,「棄却域が片側にしかないのだから一元配置分散分析は片側検定である」という人と,「二群の平均値の差ならどっちが大きいかというのがあるので,片側検定と両側検定があるが,二群の場合に無理矢理一元配置分散分析のやり方で検定するとそれは両側検定を行った結果と同じになる。だから,二群の場合もそれを拡張した三群以上の場合にも一元配置分散分析は意味的に両側検定なのだ」(実際は,もっと細かく条件などを述べないといけないのだが面倒)。

というわけで,一元配置分散分析(をふくめて,分散分析一般)は,片側検定だとか両側検定だとか簡単に言うのではなくて帰無仮説をきちんと書きましょうという,第三の立場も出てくるのではないかと思います。

過去に,大暴れした人もいるのですが,ま,あまり細かいことにこだわらないと言うのも一つの生き方かと思います。

http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/mb-arc/one-two.html
も,参考になるか?

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725. Re^2: F検定の両側棄却域に関して りょう  2003/10/02 (木) 01:05
返事が遅れまして申し訳ありません。
今回,私が行ったF検定は「二群の母分散が等しいかどうかの検定」です。

> 二群の母分散が等しいかどうかの検定
> この場合の説明に「分散の比を取るときに,分子の方に大きい分散が来るようにしましょう」と指定しているわけですね。
> 統計の教科書の後ろについているF分布表は,「上側確率がαとなるような F 値の表」になっているのですね。そのような F 値は 1 より大きいのです。下側確率がαとなる F 値の表を作ってもいいのですが,面倒というだけです。
> で,今説明したように,上側の確率がαなわけですから,もし5%の有意水準で検定しようとすると,「上側確率が2.5%のF分布表が必要!」になるわけですね。(ちょっと余計なことだったかな)。
> コンピュータで統計分布に関する計算が容易になった今,「F 値が1以上になるように検定統計量を制限する」必要は,さらさら無くなったわけです。事実,R にある var.test では,計算される F 値は1以上になるようになどという無意味な制限は付けていませんが(だから,びっくりする人もいるかもしれないが),計算されるP 値は(あたりまえですが)正しい値です。

↑の部分は掲載してくださったURLに書いてありました。
確認不足で申し訳ございません。

そして,後者の場合の判定を行う統計表は添付されていないので前者のみPr{F > F0(> 1)}の判定を行う訳である。

↑が成立するならば,F0<1の場合も当然成立するというわけになるわけですね。

遅い時間に詳しく説明して頂き,ありがとうございました。
F検定について調べていて,たまたまこのホームページに辿り着き,ダメモトで質問をしてみたのですが。こんなに早く返事を下さっていたなんて・・・,感謝いたします。

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