「統計学関連なんでもあり」の過去ログ---025

★ メロディーは似ている? ★

563.　メロディーは似ている?　ひでき　2003/08/27 (水) 23:38
├569.　Re: メロディーは似ている?　ひの　2003/08/29 (金) 00:49
│└574.　Re^2: メロディーは似ている?　ひでき　2003/08/29 (金) 23:49
└565.　Re: メロディーは似ている?　青木繁伸　2003/08/28 (木) 00:02
　└568.　Re^2: メロディーは似ている?　ひでき　2003/08/28 (木) 23:13

563.　メロディーは似ている?　ひでき　　2003/08/27 (水) 23:38

はじめまして。既出のトピックかもしれないのですが，さっと過去ログを流してみたのですが，なかなか欲しいコメントが見付からなかったのであらためて投稿させていただくことにしました。

今，二つの曲のメロディーを比べたいと思います。両方の曲はそれぞれ同じ小節数です。比較するにあたり，音符を以下のルールで数値化させました。ドは1，ミは3，ラのシャープは6.5，一オクターブ上のレは9。。。等。簡単にするために，符割り(音符や休符の長さ(四分休符，八分休符。。。など))は両曲間で同じとしました。

このようにして，数値化された曲A，曲Bのデータセットを用意しました。データサイズはそれぞれ50ポイントずつです。単純にピアソン相関関数Rを計算すると，R=0.43，P値は0.008という結果になりました。

ここで次の二点について意見を伺いたいと思います。

(1)　耳で聞いた印象を考えずに，単純に解析結果だけを見た場合，両曲の類似性に統計的な有意性があると言っても構わないでしょうか?　(希望としてはあまり高くないけれども類似性があるといいたいのです。)

(2)　A，Bのデータセットはそれぞれ曲のメロディーを数値化したものです。そのデータの性質を考えると，曲のメロディーなので，各データポイントは隣接データポイントから必ずしも独立ではありません。つまり，i-1の音がミだったら，iの音はそれに比較的近い音になる確率が高く，例えばオクターブ以上跳ね上がったりすることはまずありえません。つまり，各データセットが，それぞれ弱い自己相関を持っています。この自己相関をi-1(またはi+1)とiのポイントを比較することにより調べてみると，AもBもピアソン相関関数がR=0.6くらいで，P値は0.01くらいでした。i-1とi+1は殆ど対称でした。i-2,i-3,i-4,
(i+2,i+3,i+4)とiについても調べましたが，だんだんと相関は弱くなり，i+/-3以上では殆ど相関はなくなりました。さて，データセットがこういった性質を持つことがわかったとき，(1)の解釈は正しいでしょうか?　もし，正しくないのなら，妥当な検定方法を何か教えていただけないでしょうか?　ちなみに，順位検定っていうのをやってみたんですが，r=0.45っていう結果になりました。この方法が適切な方法であるという自信がないので，解釈も出来ないでいますが。。。

よろしくお願いします。

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569.　Re: メロディーは似ている?　ひの　　2003/08/29 (金) 00:49

> (1)　耳で聞いた印象を考えずに，単純に解析結果だけを見た場合，両曲の類似性に統計的な有意性があると言っても構わないでしょうか?　(希望としてはあまり高くないけれども類似性があるといいたいのです。)

　統制的に相関が有意とはいえても，曲が類似しているかどうかはまったく別の問題。もっと多くの曲の組み合せについて同じ計算をして，相関係数がどのような値を取るか調べて見るべきだと思います。
　たとえばショパンの曲同士の組み合せなら相関係数がどのくらいとか，クラシックとロックの組み合わせならどのくらいとか…。そのうえで相関係数の値の意味を解釈すべきだと思います。

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574.　Re^2: メロディーは似ている?　ひでき　　2003/08/29 (金) 23:49

コメントどうもありがとうございます。

現在はAとBのみの比較ですが，いずれはおっしゃるように対象を広げていき，何かしら発見はないものかと期待しています。現状では，まず，最初の一歩として，とりあえず2曲の比較を行い，統計的なアプローチを試みたものの，時系列的な性質に気付いてうろたえている次第なわけです。一たび二曲間の類似性を統計的に判断する手法が確立すれば，同様の手法を沢山の曲に適用していこうと思っているのですが，今はピアソン相関関数，または順位相関くらいしか方法が思い浮かばず，自信がなくて躊躇しているわけです。

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565.　Re: メロディーは似ている?　青木繁伸　　2003/08/28 (木) 00:02

> (1)　耳で聞いた印象を考えずに，単純に解析結果だけを見た場合，両曲の類似性に統計的な有意性があると言っても構わないでしょうか?　

類似性を表すために相関係数を使うのは差し支えないと思います。
しかし，「有意性」という概念はなじまないのではないかと思います。二つの理由が考えられますが，同じ二つの曲の比較でも，比較する曲の小節数が多くなればたとえ相関係数が同じであってもP値はどんどん小さくなっていきます。また，貴方自身も言っているようにそれぞれのデータも独立ではないので，通常の統計理論がよって立っている基盤とは異なります。

> 音符を以下のルールで数値化させました。ドは1，ミは3，ラのシャープは6.5，一オクターブ上のレは9。。。等。

数量化の基準が，客観的かどうかということも一つあります。物理的な基準を当てはめるなら，Hz を採用すればいいのかもしれません（私にはわかりません）。つまり，ドと上のドは，Hz は倍だったと思いますが，貴方の割付では 1 と 8 のように8倍になるのでしょうか?

> (2)　この自己相関をi-1(またはi+1)とiのポイントを比較することにより調べてみると，AもBもピアソン相関関数がR=0.6くらいで，P値は0.01くらいでした。

一般的に，時系列データについてはそのようなことが観察されるのでしょう。

> 検定方法を何か教えていただけないでしょうか?　

検定というのは，なじまないでしょう。（前述の通り）

> 順位検定っていうのをやってみたんですが，r=0.45っていう結果になりました。この方法が適切な方法であるという自信がないので，解釈も出来ないでいますが。。。

各音階にどのような数値を与えるかというのが一意的に決められないなら，順位相関係数を求めるというのが無難かもしれないわけです。（これも，前述の通り）

貴方の直面している問題は，時系列データの解析という点ではいろいろな知見・ノウハウが蓄積されている分野だと思います（音楽の分野だけとは限らない訳なんですね）。
音楽の分野においても，同じようなアプローチは今まで無かったのでしょうか。先行研究の検索も試みてみた方がいいように思います。（車輪は二度発明される必要はない。。。ただ，発明の醍醐味を味わうには，先人が何をしていようが気にせず，あるいはそういうものをあえて無視して，自分で自分なりにやってみるのがよい。先人が見落とした新たな発見があるかもしれないしね）

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568.　Re^2: メロディーは似ている?　ひでき　　2003/08/28 (木) 23:13

早速のコメントありがとうございます。

ご指摘のように音符の数値への変換方法は非線形で，トリッキーな感じはしますね。一応，各音は一意的に数値化されているはずなのですが，音階の性質上，例えばミのシャープ=ファということで，3.5という数値は取りえない，というような事情が事を複雑化しているのかもしれません。そうですね，周波数(Hz)を用いた変換法のほうがスマートですね。これだと，例えばギターのフレットのように，一オクターブ(倍音)を半音階ずつ12等分した増減させた指標で対応させることが出来るので，変換されうる数値にギャップが生じなくなります。これで，事情はぐっとシンプルになった気がします。

次の問題は，これが最大の興味なのですが，AとBの曲が似ているかどうかの判定をどう行うか?という問題です。頂いたコメントの後半から，これは時系列データの比較方法という問題に置き換えることができると読み取りました。示唆いただいたように音楽の分野の先行文献をあたってみます。

ところで，現時点では，先に書きましたようにピアソン相関関数R(0.43)とP値(0.008)という状況があるのですが，P<0.01っていうのは統計の世界では結構信憑性が高い結果ですよね。くだけて言うと，100回のランダムな試行中1回以下の割合でR=0.43にあてはまらない結果が出るという意味ですね。もちろん，データが時系列性の性質を持つのでR,P値の単純な解釈には難があるのは承知しています。しかし，①自己相関を調べてみたところ，A，Bのデータセットは共にR=0.6くらいで，P値は0.01くらいとあまり強いものではない，②自己相関がある事情はAもBも同じで非常に対称的である，③順位相関解析でもピアソン相関関数による解析結果とよく似た結果を得た，ということから，現時点でピアソン相関関数R(0.43)とP値(0.008)をもってして，両データ間には弱い相関があると結論付けることにはどう思われますか?

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