★ 「正確確率検定」と「直接確率計算法」 ★
286 「正確確率検定」と「直接確率計算法」 (1) 勉強中 1999/05/25 (火) 11:23
287 「正確確率検定」と「直接確率計算法」 (2) 勉強中 1999/05/25 (火) 11:24
288 「正確確率検定」と「直接確率計算法」 (3) 勉強中 1999/05/25 (火) 11:34
291 Re: 「正確確率検定」と「直接確率計算法」 (3) 青木繁伸 1999/05/25 (火) 15:08
294 Re^2: 「正確確率検定」と「直接確率計算法」 (3) 勉強中 1999/05/26 (水) 17:28
295 Re^3: 「正確確率検定」と「直接確率計算法」 (3) 青木繁伸 1999/05/26 (水) 20:32
289 Re: 「正確確率検定」と「直接確率計算法」 (3) 青木繁伸 1999/05/25 (火) 14:56
293 Re^2: 「正確確率検定」と「直接確率計算法」 (3) 勉強中 1999/05/26 (水) 17:23
286. 「正確確率検定」と「直接確率計算法」 (1) 勉強中 1999/05/25 (火) 11:23 |
この二つの用語について本HPで詳しく述べられています.しかし,統計学を専門としないものにとっては,「直接確率計算法」の方がわかりやすいと私は感じています.また,"exact test"の訳として「直接確率計算法」が適切ではないとしても,「正確確率検定」は誤解を招く表現であり適切ではないと思います.むしろ直訳した「正確検定」や「精密検定」の方が良いのではないかと思います.
まず,増山先生の訳について若干補足いたします.残念ながら,初出の文献としてHPで引用されている「日新医学」(1943年)の論文を読んだことはありません.しかし,先生の有名な著書の一つである「少数例のまとめ方(I)」(1964年初版第1刷. pp.240-241.二つの母出現率の比較)では,"Fisher's exact test"について次のように書かれています.
「(i)正確な方法(フィッシャーの直接確率計算法)・・・(iii)適合度法(連続修正したもの,イェーツの方法)・・・」
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287. 「正確確率検定」と「直接確率計算法」 (2) 勉強中 1999/05/25 (火) 11:24 |
つまり,"exact test"は「正確な方法」と訳されており,( )内の「フィッシャーの直接確率計算法」は,"Fisher's exact test"の具体的な内容を表現したものではないかと思います.そして,その方が直観的にわかりやすいので,"Fisher's exact test"の訳としては,「正確な方法」や「正確検定法」ではなく,「直接確率計算法」が日本では広がったのではないかと思います.
直訳ではなく,意訳表現の方が日本語としてわかりやすいということは,多くの分野でよくあることではないでしょうか."exact test"などという,どの分野のどの方法でも使えそうな一般的な表現の場合は,特にそうではないかと思います.ただし,元の表現があまりに省略された「直接法」は,方法の内容がわかりにくくなっているので良い用語とは思えません.
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288. 「正確確率検定」と「直接確率計算法」 (3) 勉強中 1999/05/25 (火) 11:34 |
次に,"Fisher's exact probability test"という表現を日本で最近見かけることがあります." Fisher's Exact Probability Method (FisherEPM)"という計算プログラムをHPで見たこともあります. これは,「正確確率検定」という用語に引きずられた英訳ではないかと思っています.
"the Fisher exact test"あるいは"Fisher's exact test"という表現は,論文や統計学の参考書などで昔から見かけます.しかし, "Fisher's exact probability test"を見かけるのは最近のことです.
これが「正確確率検定」を直訳した誤訳であるならば,統計学の専門家以外の誤解を招かないという点において,(Fisherの)「正確検定」や「精密検定」という全くの直訳の方が「正確確率検定」よりも適切な表現ではないかと思います.
ただし,"Fisher's exact probability test"という表現が英語圏の国々でも使われているのかどうか,この点についてはあまり調べていませんので私の誤解であればご容赦下さい.
以上です.
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291. Re: 「正確確率検定」と「直接確率計算法」 (3) 青木繁伸 1999/05/25 (火) 15:08 |
ノンパラメトリック検定の古典的な名著である
Sidney Siegel: Nonparametric Statistics for the Behabioral Sciences, McGraw-Hill, 1956
のChapter6 (96ページ)に,“The Fisher Exact Probability Test” と表記されています。
ちなみに,この訳本である
S.ジーゲル 藤本煕訳:ノンパラメトリック統計学,マグロウヒル(1985)
においては,「Fisher の直接確率検定」と訳していますね(101ページ)。
> "exact test"などという,どの分野のどの方法でも使えそうな一般的な表現の場合は,
日本語の学術用語は漢字が使われるので特別なニュアンスが付加されますが,英語は日常的に使われるものがそのままテクニカルタームになりますから,しかたないですね。
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294. Re^2: 「正確確率検定」と「直接確率計算法」 (3) 勉強中 1999/05/26 (水) 17:28 |
> ノンパラメトリック検定の古典的な名著である
> Sidney Siegel: Nonparametric Statistics for the Behabioral Sciences, McGraw-Hill, 1956
> のChapter6 (96ページ)に,“The Fisher Exact Probability Test” と表記さ
Siegelの本は前もって見ておいたのですが,重要な用語を載せているはずの索引・目次・数表とも,"Fisher exact test ..."しかありませんでした.また,本HPのご解説では,Siegelの本は"Fisher exact test"の両側検定の確率を誤って記述している本として掲載されていたので,なまけて本文を丁寧に見ませんでした.
今回本文を確認したところ,最初のほうに1箇所(P.103),"Fisher exact probability test"がありました.ところが,他の本文・目次・数表などの記述は"Fisher exact test"で統一されているようです.
表紙裏の統計手法早見表に,"Friedman test"と書かずに,"Friedman two-way analysis of variance by ranks"と丁寧に書くSiegelが"probability"の一語を省略するようには思えないのですが,事情はよくわかりません.
なお,私が見たのは,Siegel and Castellan (1988)の同書第2版です.
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295. Re^3: 「正確確率検定」と「直接確率計算法」 (3) 青木繁伸 1999/05/26 (水) 20:32 |
> Siegelの本は前もって見ておいたのですが,重要な用語を載せているはずの索引・目次・数表とも,"Fisher exact test ..."しかありませんでした.
1956年版には,
索引,目次には Fisher exact probability test
表については,目次(本文)では Fisher test となっておりますね。
第二版というからには,Siegel が宗旨替えをしたのかなとしか思えませんね。
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289. Re: 「正確確率検定」と「直接確率計算法」 (3) 青木繁伸 1999/05/25 (火) 14:56 |
> "the Fisher exact test"あるいは"Fisher's exact test"という表現は,論文や統計学の参考書などで昔から見かけます.しかし, "Fisher's exact probability test"を見かけるのは最近のことです.
>
> これが「正確確率検定」を直訳した誤訳であるならば,統計学の専門家以外の誤解を招かないという点において,(Fisherの)「正確検定」や「精密検定」という全くの直訳の方が「正確確率検定」よりも適切な表現ではないかと思います.
Yahoo.com で "Fisher's exact probability test" を引くと,20件程度ありました(私のも1件に含まれていた(^_^;)
alta vista でも 40 件くらいありますね。
なお,私のページに "Fisher's exact probability test" という言葉が出てくるのは,私の訳ではありません(どの本からもってきたんだっけ?)
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293. Re^2: 「正確確率検定」と「直接確率計算法」 (3) 勉強中 1999/05/26 (水) 17:23 |
> Yahoo.com で "Fisher's exact probability test" を引くと,20件程度ありま
Yahoo.comを私も検索してみました."Fisher's (または Fisher) exact probalility test"を含むページが36ありました.しかし,probabilityを含まない方は666ありました.
おもしろいことに,Probabilityを含むHPの6割は医学に関する研究のようでした.医学に近い研究者によるものではないかと思われるようなものまで含めると7割近くになります.明らかに他の研究分野(心理学,社会学,生物学など)と思われるのは数人でした.
このことから,医学統計に関する教科書の中に"Fisher exact Probability test"を用語として採用しているものがあるのではないかと想像しています.
また,パソコンでSPSSを使用している友人に聞いたところ,SPSSの英文マニュアルは"Fisher's exact test"であるのに,和文マニュアルは「正確確率検定」だそうです.統計学全体を考えれば英語でも日本語でも出現頻度が少ない「正確確率検定」を用いているということは,日本でSPSSを使うのは医学関係の人がかなり多いということを意味しているのでしょうか.
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